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【どうして】私のバイク旅行【こうなった】

これは私がバイクで行った旅行の際に起きた最初のゴタゴタである。

 私がバイクに興味を持ったのがいつのころなのか、それははっきり言って覚えていない。

 だが、漠然と高校生の頃からバイクに乗りたい、そのために免許取る! みたいに考えていた。

 やがて私は高校を卒業。進学するほどの学力も無かったことと、早く働きたい、という思いがあって就職の道を取った。

 

 そして社会人になったものの、ここ2~3年ほどでバイクに対しての思いは薄らいでいった。理由は簡単。仕事が忙しかった。頭の出来が良い方ではなかったこともあり、仕事を覚えるのに時間がかかったのだ。そして後輩が入れば教えなけらばならず、そういう意味でも忙しかった。それでも何とか一社会人として日々を送って行き、自動車の免許(ちなみにAT)も取った辺りでようやく色々な意味で余裕が出来た。

 

 そうしてふと、高校生の頃からの思いを思い出す。そしてそれは燃料となって私の中で、燃え上がった。

 気が付けば私は教習所に一年と経たずに再びやって来た。今度はバイクの免許を取得するために。自分の意志で。

 というのも、自動車免許は会社から取れ、と言われてしぶしぶ取ったものだったからだ。その癖補助も無い。これが社会のやり方か…! と憤慨したものである。

 何はともあれ、2ヵ月そこらでバイクの免許は取得した。因みにMTの中型二輪である。大型二輪の免許はそこの教習所ではやってなかったのだ。(なお、それから1年と経たずに大型二輪の教習も始まったが)


 何はともあれ、こうして中型二輪の…バイクの免許も取得した。ちなみに、車の免許を所有していたおかげで本試験が無かったのは嬉しい誤算だった。

 

 そして、かねてから見た目に惚れこんで購入したバイクをバイク屋に取りに行き、そのまま乗って家まで帰る……と最初は思ったのだが、テンション爆上げ状態だったために、そのまま車で一時間程の距離にある実家まで乗っていった。


 ついに念願のバイクに乗った私。そこで、私はあることを思いついた。



 ———そうだ。京都に行こう。



 なぜ京都? 答えはただ一つ。なんとなく、である。

 

 そして忘れもしないあの11月初頭の日。私は勢い赴くままに京都に向かってバイクを走らせた。

 昼頃には京都に到着して。観光して。八つ橋でも食べて……


 ……そんな思いは高速道路のインターチェンジをミスして長野に降りてしまったことで、もろくも崩れ去った。


 いや、それだけならまだ良かった。ちょっとした旅の思い出程度にできただろう。問題はその後だ。スマホのナビを見ながらヒーヒー言いながらどうにか岡谷から高速道路に乗ることができた。そして時速120kmほど出しながら一気に京都に行こうとしたところで、再び高速道路に乗れたことで安心したのだろう。空腹感を覚えた。時間も昼過ぎ、ここらで昼食でもと思い近くのSAに寄った。そして気が付いた。




 ———財布が無い。




 一気に慌て、青ざめた。上着、ズボン、リュック…様々な場所をひっくり返したがついに財布は見つからなかった。

 私はそのSAのインフォメーションセンターに行き、財布は届いてないかと聞いた。一縷の望みを掛けて。が、ダメ…! 財布は届けられておらず、財布を落とした旨を告げ、その場を離れた。

 財布を落としたことと、その日踏んだり蹴ったりだったこともあり焦っていたのだろう。私はそのまま再びバイクに乗り高速を降り、再び岡谷まで下道で戻った。財布を探すために。

 

 岡谷まで戻った後、私は近場の交番に行き、紛失届を出した。しかしこれは解決ではない。まだ途中なのだ。

 私は記憶を掘り返し、最後に財布を使用した場所まで戻った。最後に使用したのは大和田有料道路の出入り口。そこまで戻って周囲を探したがやはり無い。この時以降財布を取り出していない。つまり、大和田有料道路から岡谷までの間。もしくは岡谷から途中のSAまでの間。高速道路を探すことはできない。というか、無理。つまり、日が暮れるまでの間に岡谷までの間を再び走り、財布を探さなくてはならない。


 私は目を凝らした。当然前方不注意で事故を起こさないよう気を付けながら。

 だが、結果は…無理だった。どこにも見当たらない。財布の中身には保険証にキャッシュカード、ポイントカードに幾らかの小銭…そして、五万円。

 私の今までの人生で財布を拾ったことは無い。無いが…私がもし財布を拾って中身を見て五万円があったら……多分、ぐらりとくるだろう。多分である。多分。

 ここまで探して無いとなると、私は流石に諦めるしかなかった。さすがに高速道路に乗って探すわけにもいかない。何より、もう日も暮れてしまったうえに、バイクのガスが心許無い。これ以上の探索はどのみち無理だった。

 

 どうすれば……。そう思った私は悩んで考えた結果…交番を頼ることにした。上記の通り、ガスが心許無い。家に帰ろうにも間違いなく途中でガス欠を起こす。だから、交番の警察官に事情を説明して……ガス代をお借りした。

 因みに、金を借りるなら身分証明は必要だろう。身分証明とかどうするんだっていう話だが、不幸中の幸いというべきか、バイクの保険証のコピーがあったのと……情けない話だが、誤って長野に降りた際、金が不足していたのだ。その際料金所で後で料金を払うための証明書を発行してもらっていたのだ。いわば、それが証明書の代わりになった。

 都合してもらった金は二千円。これだけあればガス代と大和田有料道路の通行代をどうにかできる。正直、警察に感謝をしたことが無いわけではないが、間違いなく人生で最も且つ誠心誠意の感謝をしたのはこの時である。

 本来であれば、このままガスを補給して一気に家に…と思ったのだが、ある情報を聞いて尻込みした。夜中に路面が凍結している可能性があるのだという。

 流石にその情報を得て夜中に走る気は起きなかった。私は一晩野宿することに決めた。その際、雨風を凌げる所はないかと警察官に聞いた結果、上諏訪駅で一泊過ごすことに決めた。

 贅沢は言ってられない。しかし、上記でも書いたが時期は11月。下手すりゃ凍死…するかは知らんが寒いことに変わりない。実際寒かった。

 私は可能な限り厚着をした。着替えのシャツをもう一枚着て、フルフェイスメットを被り、可能な限り防寒した。これで多少は……どうにもならなかった。寒い。クソ寒い。


 結果的に、私は一睡もできなかった。少しでも動いて体温を下げないようにすることにしたのだ。……寒すぎて眠れなかったのもあるが。


 そしてついに始発の時間となり、駅の待合室の扉が開いた。私はまずそこに入り暖を取った。

 体を温め、私は軽く頬を叩いて、バイクに乗り家を目指した。因みに路面凍結の件は完全に頭から消えていた。

 しかし、ここで更なる問題が起きた。大和田有料道路が死ぬほど寒い。指がチギレそうな寒さだった。あの寒さは今でも忘れない。忘れようがない。

 何はともあれ、大和田有料道路を超え、ガスの補給をして…高速道路に乗ってどうにか家まで帰ることができた。因みにガスは本当にギリギリだった。あと1kmでも走ったら確実にガス欠になるほどだった。というか実際そうなっただろう。


 私は家に戻って一息つくこともせずにそのまま印鑑や通帳などを持って銀行に向かった。銀行で五万を引き落とし、キャッシュカードの再発行などを行った。そして近場のファーストフード店に行き腹いっぱいハンバーガーを食った。そして家に帰って死んだように寝た。もう限界だった。

 起きたのはその日の日付が変わる数分前。妙に意識がはっきりしていた私はそのはっきりしていた意識である決心をした。


 

 ————バイクにナビとグリップヒーター付けてやる…!!



 心からそう決心した。


 因みに、お借りしたお金は翌日何よりもまず最初に郵送して返却した。

 あの時の警察官の方…ありがとうございます。

 なお、この経験から私は冬にバイク旅行に行くことをひどく嫌うようになったのは、言うまでもない。

因みに、私はその後以下の旅行とトラブルに見舞われています。

一年目:本作の内容

二年目:京都に行く。この時から旅行は夏に変更。バイク用のナビとグリップヒーター購入・装備。ナビのおかげで迷いはしなかったが朝っぱらからの土砂降りに苦しむも途中で雨がやみ高速で120kmでぶっ飛ばした結果到着することには完全に乾く。なお、帰りに警察とスピード違反が原因で10kmほど追走劇やらかす。

三年目:青森…というかほぼ東北地方。去年の反省を生かし、バイク用のレインコートを購入。早速降られるも雨は問題なし。だがレインコートの存在によってリュックにバイクジャケットが入らず泣く泣く置いていく羽目に。なお、雨は一時間そこらで止んだ。

四年目:和歌山へ海底ポストや猫駅長目当て。去年の反省を生かし、バイクのサイドにパニアケースを購入・装備。これにより持ち物の容量が増えた。が、ナビが接触不良起こして停止。昼ぐらいにつくはずが結局夕方に到着。道の駅の方、安い宿を教えてください、ありがとうございました。そして無償でナビの接触不良を直してくださった工場の方々もありがとうございました。

五年目:神奈川…というか横浜中華街及び湘南へ。前回の反省を生かし、旅行一週間前にバイクなどの整備を頼むように。が、当日頭痛に悩まされて思うように楽しめず……

六年目:新潟へ。去年の反省を生かし、体調管理も万全を期す。ついでに健康にも気を使った結果体が健康になった。で、当日に会社の上司から電話。なんでも突発休をしてしまった人が多く、このままだと仕事回らないんで休日出勤してくれとのこと。会社に初めて殺意が沸く。

七年目:今度こそ新潟へ。ついに何の問題も無く旅行をやりきる。

八年目:宿敵長野へ。もうあの時の俺ではない。豪遊して満足して帰宅。リベンジは果たした。

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