表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

ゲームスタート 0→1 ②

 店の中は薄暗く、かなり狭かった。


 店内にあるのは天井の半分程の高さの棚のみで、両壁にある棚には骨董品が。


 真ん中にある棚には、ずらりと本が並べられていた。


 遼也と包が狭い店内をゆっくり見て回っていると、急に遼也が足を止めた。


「どうした、遼也。何かいいものがあったのか?」


 包が遼也に話かけるが、それに遼也は応えず、じっと一冊の本を見ている。


「遼也、遼也! しっかりしろ!」


 包が遼也の肩を揺すると、遼也はハッと我に返ったように包を見た。


「わ、悪い、包。本棚を見ていたら急にこの本に目が吸い寄せられて」


 そう言って遼也は、一冊の本を手に取る。


 黒一色の本の表紙には、白い文字で「GAME BOOK ~WONDER WORLD~」と書かれていた。


「ゲームブック? ゲームの攻略本か?」


「なんて説明すればいいんだろ。本を読みながらプレイするRPGって言えばいいのかな」


 遼也は上手く説明することができず、苦い顔をする。


「まあいいや。で、遼也。今回の報酬はどうするんだ」


「この本がいいかな」


「了解。じゃ、さっさと買って帰ろうぜ」


 遼也が包の要件に付き合う代わりに、その行先で包が遼也に何かをおごる。それが二人の間で交わされている約束だった。


 店の奥に行くが誰もおらず、レジも見当たらない。


「すみませーん、お会計お願いします」


「買うものはそれだけかい?」


 包が店全体に聞こえそうな声で店員を呼ぶと、遼也たちの後ろから声がした。


 声の主は老齢の男性で、ファンタジーの世界の魔法使いが来ている古いコートを着てフードを被っている。


「うおお、びっくりした!」


 包が驚いて大きな声で叫ぶ。遼也は驚きのあまり声が出なかった。


「すまんな、で、買うのはそれだけかい?」


「あ、はい。これいくらですか? 値段とか書かれてないですけど」


「タダでいいよ」


「え?」


 包は驚いて聞き返す。遼也も耳を疑った。


 装丁は単純だが、作りはしっかりとしているものだ。無料というのは信じられなかった。


「だからタダでいいよ」


 包は遼也の顔を見る。


「どうする遼也、やばいものかもしれないぜ」


「いや、いいよ」


 遼也は包の手から本を取る。


「じゃあ、これ貰いますね」


 そう言って遼也と包は出口へ向かう。


「気を付けてな」


「え?」


 老人の気になる一言に遼也は振り返る。だが、老人の姿はそこにはなかった。








  包と別れ、家に帰った遼也は、私服に着替えると椅子に腰かけ、さっき手に入れた本を取り出す。


「さてと、早速やりますか」


 メモ帳、栞、ペンを並べて最初のページへ進む。


 そこには「他のプレイヤーと協力し、WONDER WORLDをクリアせよ」と記されている。


「他のプレイヤー? ゲームブックなのにか?」


 疑問に思いながらページをめくる。


 その瞬間、遼也の視界は白い光で埋め尽くされた。








「うう、一体何が起きたんだ」


 遼也が目を覚ますと、そこは白一色で囲まれた部屋だった。


「ここは……、どこだ……?」 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ