召喚の理由
はい、例の如く
やる気あるのですかねこの作者
「わかった。本題に移ろう。」
自分に対して短く答えた国王は召喚した理由を語り始めた。
話を要約するとこうだ。
先ずこの世界には北方に魔族の領域、そして森を挟んで南方に聖教国、王国、連邦国と大きくこの三国に別れており、そこに亜人、人間が社会を形成している。
当然北方は実りが少なく魔族は南方の領域に資源を求めて攻め入ろうとする、それがこの世界の常らしい。そしてそれを統率する者…詰まるところ魔王がいる訳だが、それらは基本的には統制を取り、襲いはするものの最低限で済ませ基本進んで世界の均衡を崩そうとはしない。
【なんと言うか…倭寇の様なモノと考えて宜しいかと。倭寇は海賊と言うイメージが強い…と言うか小中学ではそんな感じに教わるそうですが知ってました?彼らって実は商人なのですよ】
島を拠点にする以上農業がキツいから貿易して生計を立てる…みたいな感じですかね?
…で貿易相手の中国が当時鎖国、もとい海禁政策をしてた為に食料諸々を手に入れられず
【それでもって生活の為に止む負えず…ドン!ってそれが倭寇の起こりらしいのですよ。ここ、テストに出ます】
確かにけっこうごちゃごちゃしてますから理解しろ…と言われても難しいのかもですね。
で、数十年に1度それをしようとする者が現れると。
つまりそういう事である。
そしてそれに対抗する勢力として異世界から青年を招くのだそうだ。
…いや、自分達でなんとかしろよ。
それも勇者に鍛え上げる時間も必要なため、少し早めに。そして今回はかなり余裕があるらしい。
…いや、自分たちの世界でしょうが。
【然しながらやはりどうやってそれを知ったのかが甚だ疑問ではありますね…】
予言とか神託の類でしょう、どうせ。
「―という事だ。しかしどういう訳か今回はインターバルが短過ぎる、はっきり言って異常だ。故に人数を少し増やさせてもらった。その分苦労した上に魔術師を数名失った、挙句この様な事故も起こってしまったのだがな。それについては改めて今謝罪する」
ひとしきり説明を終え一呼吸置く。
そして
「どうか助力願えないだろうか」
そして国王は頭を少し下げた。
「私達にはただ頭を下げる事しか出来ません。ですがどうか私達を、いいえ。この国を、世界を、人々をお救い頂けぬでしょうか。」
そう言って王女は深く、深く頭を下げた。
「頭を上げてくれないか?。」
そう言ったのは直衛だ。
全員の注目が彼に集まる。勿論自分も彼を注視した。
ここで真っ先に口を開くのは東宮だと思ってたからだ。
突然注目を浴びた事にナオエはたじろいだが直ぐに持ち直し話し始める。
「俺には難しい事は分からない、正直王様の話なんて理解出来たかどうかは微妙なところだと思う。世界がどうのって言われてもスケールデカすぎるんだよ。」
「でもな!どのみち俺らはやんなきゃいけないんだろ?でなきゃ死んだ人はどうなんだ?俺らのせいで人が死んだんだ。勿論覚悟はしていただろうけどなら尚更その覚悟を無駄にする訳にはいかない。俺らはここが異世界だと知った時だいたい事情は察せたろ?。だから覚悟はみんな出来てる筈だ!!」
直衛が吠えた。
「あぁ、勿論だよ」
対してアサクラは静かに答える。そして
「国王様、俺らは言われずとももう答えは出てます。勿論、お受け致します。至らないかも分かりませんが、どうかよろしくお願いします」
そう答え頭を下げた。
「――感謝する」
国王は静かに、そう一言。
王女などは既に泣き腫らしていたが…早い早い。
「して、ヒイラギ・ヨツキ。君はどうするのだ?怪鳥相手に空戦を制したその実力、世界の役に立ててはくれぬか?」
国王は自分に目を向けてきた。
当然自分の答えは決まっている。
「当然…」
最早言うまでもないだろう。
そう…
「お断りします。」
答えはNOだ。
今回キリが良いので少し短め…
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