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望みし楽園①

暑い……。

寝苦しさを感じた私は、分厚い掛け布団をはねのけるようにして飛び起きる。

豪華で煌びやかな部屋や天蓋付きのベッドを見て、ここはどこかと困惑した私だったが、すぐに今までのことを思い出し、納得した。






◆◆◆◆◆






都会の街中でトラックに引かれて死んだ筈の私は、気が付いたら無傷で森の中に1人で突っ立っていた。

ファンタジーではテンプレのチートを貰って神様転生とか、赤ちゃん転生で貴族に生まれて内政チートとか、そんなちゃちなモンじゃねぇ。もっと恐ろしい何かの片鱗を味わったぜぇ!!

転生といえば異世界ファンタジーでは割と定番に使われる手段だが、その転生にも複数のパターンがあるのは知っているだろうか?


二大転生とも呼べるのが、赤ちゃん転生と神様転生だろう。

間違えてうっかり殺しちゃったなどと言って神様が新しい体を作ってくれたり、身体を作り変えて異世界に送ってくれるのが、神様転生だ。

魂となって異世界の母体に宿り、生まれるところからやり直すのが、赤ちゃん転生だ。

この2つはセットで使われることも少なく無い。

他にも異世界に実際に生きていた者の体に憑依する、憑依転生。私の知っている限りでは憑依転生は3パターン読んだことがある。

1つは入れ替わり型。

その体の持ち主が何らかの事情で死ぬなりして、魂の無くなった空っぽの体に宿る場合だ。

大抵の主人公は、その体の持ち主になりすまして生きようとしていたな。

もう1つは共存型。

1つの体に2つの魂というのは、ファンタジーのルールでも否定的なものが多く、もう一つの魂は体の外に弾き出されて幽体として漂っているとか、活動が出来ないなど、制限や理由付けがいろいろあるのが普通だったな。

最後は奪い合い型だ。

憑依した側とされた側で体の支配権を巡って殺し合い、魂の強い方が勝つという考え方だね。

憑依された側が勝利し、逆に転生で憑依した側の知識を手に入れた設定の話には驚かされたものだ。

他には……召喚転生というのもあったな。

召喚するときに、その世界に適応出来るように体や思考の一部を改造されて呼び出している設定だね。

定番な勇者召喚や、爆発魔法しか使えなかった落ちこぼれ扱いの魔法使いが呼び出したハーレム主人公とかはおそらくコレだろう。

後は転生とは少し違うが、転身というものもある。

新しい体で生まれ変わるのでは無く、本人の体をそのまま異世界に転送してしまうやり方だ。



ハッ!! また思考が逸れていた。

とりあえず、死んだ筈なのに気が付いたら森にいた私は、自分が転生したということを理解した。

私の場合は何転生というんだろう?

さっき言った転生には条件が当てはまるものが無いぞ? ……じゃなくて! とにかくその時の私はここが何処なのかとか、どういう状況なのかを把握する為に森の中をさまよった。

すぐに今までの世界ではありえない生き物を見つけ、異世界だと悟った訳なのだが。


人のような身体に子犬のような頭。二等身サイズのそいつはいわゆるコボルトと呼ばれる生き物だろう。

私が知る限り、地球上にこんな珍妙な生物は物語の中、すなわちフィクションにしか存在しない。

泥だらけになってコロコロとしている毛むくじゃらのそれは、大抵のゲームなどで最弱の種族や、愛玩用のペット扱いされる。

実際に見てみるとどこが可愛いのかあまり理解出来ない。触るのを躊躇う程には汚れている。

まぁ、しっかり洗って毛並みを整えれば、まともになるのだろうが……わざわざやりたいとは思わないな。


しばらくコボルトを木の枝でつつき回して現実逃避をしていた私だったが、何時までもそうしている訳にはいかない。

つつかれては愛くるしい動作を見せるコボルトを弄りながら、今後どうすれば良いのかを考え始めた。

現在は森の入り口にいる。

野宿の経験など無いし、やり方も分からない以上出来れば街に行きたい。

ファンタジーの世界でコボルトがいるということは、他にももっと危険なモンスターがゴロゴロといるだろうし、出来れば暗くなる前には街につく必要があるだろう。

なにしろ、こういう世界では夜はモンスターが強くなる。そして、世界観は中世ヨーロッパ風もどきというのがテンプレだしね。

日が沈めばおそらく街の入り口の門は閉められてしまうだろう。

あれ? よく考えると奴隷制度とかがあって、街の中も安全じゃ無いとかもあり得るのか。

どうしたらいいんだ~!!


本当に情報って大事なんだな~。と簡単に情報が手には入った、前の世界のありがたさと便利さを思い知らされた私だったが、しみじみとしていても何かが変わるわけでは無い。

とにかく状況を変える為に森の外の地平線が見える平原か、森の奥に向かって歩くことにした。

……しばらく悩んだ末に森の外周に沿って歩き出したのはご愛嬌だと思って欲しい。何も無い平原を歩くのも、強いモンスターが出てきそうな森の奥に行くのも怖かったんだからしかたがない。


私が歩き出すと、何故かさっきまでつつき回していたコボルトが一緒に着いて来た。

コレはいったいどういう状況なのだろうか?


「ねぇ、コボルト。あなたついて来るの?」

「キッキ! キッキ・・・」


うん、何を言いたいのかさっぱりだ。

1人は寂しいし、勝手に着いてくるのならそれはそれでいいだろう。



コボルト が 仲間 に なった。

話のちょうどいいタイミングの切り方掴めない。

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