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ディメンション×ソード   作者: 空のいさや
第一章-騎士の学校-
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騎士の学校 ~実技~

 騎士学校に入り二週間が経った。

 騎士学校での授業は、アストランド王国やアストランド騎士団の歴史を知るための歴史。

 騎士としての正しい言葉使いやふみの書き方を覚えるための国語。

 一般的な教養としての数学や科学。

 体力を鍛えるための体育。

 そして、これが俺の最近の一番の悩みとなっている実技……つまり次元刀の扱い方を学ぶ授業。これらで構成されている。


「はああー、今日も実技あるじゃん……辛い」

「夾也あの時間、ずっと木剣ぼっけんで素振りしてるだけだもんな」

「笑うなよ、こっちはあれで真剣なんだよ」

「夾くん、そういえばあの木剣どうしたの?」

「最近この学校の剣術部に入ったって言っただろ。そしたらあの木剣と木剣をしまうためのさやをもらえたんだ。部長曰いわく、入部特典だって」

「そうだったんだ。でもけっこう年期入ってそうだったけど、新しいのもらえなかったの?」

「いやーなんかさ、その日準備してた以上に新一年生が入部したみたいで、新しい木剣渡すの待ってもらえるって言われたんだけど。俺その日すぐ欲しくて、新しくなくても全然いいですよって言ったら、部の倉庫の奥にあったこの古い木剣もらえたんだ」

「そうだったんだ、私も剣術部入ろうかな」

「楽しいよ、入ろうぜ」

「どうしよっかな~」

「義朝は入らないのか? 転校するまで俺は、義朝や夏陽と同じ道場にいたんだぜ。義朝や夏陽に勝ちたくて俺けっこう頑張ってたんだ」

「結局一度も勝てなかったけどな。夾也負けるともう一回、もう一回って何度も挑んでくるんだぜ。諦めの悪さだけは一流だったな」

「うっ、それは、お前らの方が剣を始めたのが早かったから勝てなかったんだ。たぶん……それに義朝だって夏陽に一度も勝ててなかったじゃないか」

「あいつは当時から化物並に強かったからな」

「夏陽さん、すごい」

「話はそれたが、剣術部か……俺は入らないかな、次元刀あるし」

「そうなんだよな。部長も言ってたけど、この学校の剣術部はあまり人気がないらしい。そもそも騎士になってから木剣使って戦う人なんて俺も聞いたことないしな」


 そんなこんな話していると先生が教室に入ってくる、次は歴史の授業だ。

 

 歴史の授業は聞いていて面白い。

 受験のためにアストランド王国の歴史は勉強したのだが、アストランド騎士団の歴史については試験範囲ではなく勉強したことがなかった。

 だから、知らないことばかりで聞いていてとても新鮮だし楽しい。


 歴史の授業が終わり、俺達下位クラスの生徒が校庭に集まる。担当の教員が来て実技の授業がスタートした。


 各々おのおのが次元刀を顕現けんげんして、その扱い方を学んだり、身体からだを慣らしていく。

 身体を慣らすとは、次元刀の力によって次元刀顕現時、顕現者の身体能力は強化されるのだが、その強化された身体能力に自分の感覚を合わせていくということである。

 騎士は次元刀によって強化された身体能力とその次元刀が持つ能力を基本ベースに剣さばきや身のこなしを用い戦っていく。これらを教えることができるのは、この学校の先生は皆現役の国を守る騎士であるからだ。

 騎士団の部署の一つにこうして騎士学校で働く部署があり、そこの部署の騎士たちが先生となり、騎士の卵である騎士学校の生徒に授業をしているのだ。


 ブオン。


「義朝の黒剣か」


 義朝が次元刀を振るうたびに空気が大きく振動して、他の人より大きな風を切る音を出していた。義朝の黒剣は一体どんな能力を持っているのだろうか。義朝の次元刀は火や電気などを帯びてないぶんどんな能力を持っているのか未知数だった。


「由良のは……きれいだな」


 由良が一生懸命次元刀を振るたび、次元刀に帯びた雷がまわりに飛び散る。由良のがんばる姿と雷の相乗効果でショーを見ているように見蕩みとれてしまった。


「俺もがんばらないとな」


 意識を自分に戻す。木剣を握り、兄貴の剣さばきを思い出す。俺は試しの儀以来、兄貴の姿を前より思い出せるようになっていた。

 あの事件の日のことはまだモヤがかかって思い出せないこともあるが、兄貴が高等妖魔を倒した時の姿は鮮明に思い出せる。


 俺は木剣を鞘から引き抜く。

 目を閉じ兄貴の動きをイメージし、目を開け、3度素振りをする。


「夾也ー」


 俺の方へ義朝が駆けよってきた。


「たまたま見てたんだけどさー、夾也の今の動きすごいな。俺でも見るのがやっとなくらい速く木剣を振れてたぜ。しかもそれを次元刀のサポートなしにやるとは」

「本当か……自分では集中していたせいかよく分からなかったけど」

「そうなのか……まっ、がんばれよ」

「おう!」


※※※

――義朝視点


 俺は夾也から離れながら。


「……気のせいだよな」

 

 と、独り言を呟いた。

 なぜなら俺にはさっき夾也が木剣で素振りをした時、夾也の紋章が一瞬反応して輝いたように見えたからだ。

 しかし次元刀や妖魔にしか反応することはないと教わった紋章が、木剣に反応して輝くことなんて……あるはずないよな。

 俺は無理やり自分を納得させた。


※※※

 


 




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