表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ディメンション×ソード   作者: 空のいさや
第三章-決闘-
23/51

決闘 ~いつかまた~

 目が覚めるとそこは病室だった。

 周りを確認すると夏陽や由良、帝が近くに座っているのが見えた。


「また負けたのか……」


 俺の声に気付き、皆が声をかける。


「おはよう夾くん、惜しかったね」

「夾也あんた最近入院ばっかりして、もっと体を大切にしなさいよ」

「衛上くん、おはようございます。いい勝負でしたよ」


 俺と霞河秋人の決闘で、俺はまた負けた。

 最後の俺の一撃は全然届かなかった。

 でも俺は自分の力をやっと見つけることができ、やっとスタートラインに立った気がした。


「そういえば昨日先生が行ってたけど、あいつ今日の朝、元の学校に汽車で帰るらしいわよ」


 今日の朝、霞河秋人が帰る……。なにか胸にひっかかるものがあった。

 ふと周りを見渡すと。


「あの青い花は?」

「あれは最初から置いてあったよー」


 由良が答える。

 最初から置いてあったのか……。

 でも花を持ってきてくれる人なんて、今ここにいるメンバー以外思いつかない。


「あっそうそう、ここにお見舞いに来る途中で霞河くんに会ったよ」


 由良が続けてそう言った。


「もしかしてあいつ、夾也をお見舞いに来たんじゃ」


 夏陽がそう言った。

 霞河秋人が俺の見舞いに、だとしたら俺は。


「9時半、南領行きの汽車が出るのは10時ですから、急げばまだ間に合いますよ」


 帝がそう言い、俺はベッドから降りる。


「夾也もう大丈夫なの?」


 不思議なことに、少し動いてみても、痛みはほとんど残っていなかった。


「大丈夫、もうほとんど治ってるみたいだ」

「夾くんあんなに怪我してたのに、すごい」


 由良が驚きで目を丸くしていた。


「俺行ってくるよ」


 俺は急いで着替えて、病室を飛び出した。


 急いで駅に向かう。

 病院から駅までは歩いたら50分はかかる。


 俺は行かなきゃいけない。

 もう一度会わなければいけない。

 だから、走る。


「はぁー、はぁー」


 息を切らし、駅までたどり着く。駅の時計を見ると時間は9時55分を指している。病院を出たのは35分くらいだからおよそ20分で着いたことになる。


 俺は駅のホームで霞河秋人を探す。すると東領騎士学校の制服を着た女子が群がっているのが見えた。

 まさかあれかよ。近づいていくとその隙間から霞河秋人が見えた。 

 俺は女子の群がりなど気にせず、声をかけた。


「霞河秋人、腕大丈夫か?」


 秋人の左腕はぐるぐるに包帯で巻かれていた。


「衛上夾也か、なんで勝った俺が負けたやつに心配されんだよ」


 秋人が笑って答える。その笑顔にどこか救われた。

 そして俺は言いたかった言葉を口にする。


「秋人、次は……必ず……俺が勝つ! 絶対……届かせてみせるからな!」


 秋人は口元を僅かに緩める。まるでこの言葉を待っていたかのように。


「できるならやってみろよ。夾也」


 秋人はそう言い、時間通り来た汽車に乗り込む。


 秋人はいつかまた夾也と戦う日が必ず訪れるという、限りなく確信に近い予感を抱く。

 同時に、再び好敵手とも次元刀けんを交える日を楽しみに思った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ