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ディメンション×ソード   作者: 空のいさや
第二章-大演武-
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大演武 ~激闘~

 今俺の前には西の天才、成瀬なるせ兆也きざやが立っている。試合開始の合図が鳴る。


「お前ともう一度会うことになるとはな、青騎士の弟君」

「……こないだの借りを返しにきたぜ」

「はっはっは。朔夜さくやを倒したぐらいでいい気になってんじゃねーぞ。剣なし」

「剣ならあるさ」


 俺はさやから木剣を引き抜く。


「そんな木屑きくずで、俺に届くと思っているのか? 笑わせてくれる」

「やってみなきゃ分からないだろ」

「なら見せてみろよ」


 兆也が次元刀を顕現し、向かってくる。

 兆也の次元刀の刀身はあの青い炎を纏っていない。


「能力を出すまでもないって言いたいのか」


 俺は兆也の一撃に備える。相手は西の天才。たとえ能力を使わなくてもその剣撃けんげきは他と騎士学校生とはを一線を画する。

 俺は相手の動きを見て守りに徹する。そして隙を見つけて反撃をするつもりだ。

 しかし。


「一撃が重すぎる」

「守ってばっかじゃ勝てねーぞ」


 俺は防戦一方で相手の攻撃を防げてはいるが、相手の一撃が重すぎて、ガードしてても体力が削られる。そしてそれが限界に近づいた時。


「もういい、お前もつまらないな。失せろ」


 その瞬間兆也の刀身に青い炎が宿る。熱さと重みで力が入らない。

 そして俺の木剣でのガードがずれ、兆也の次元刀が俺の体を突く。


「あああっ」


 俺の両膝が地に落ちる。やはり勝てなかった。結局俺は口だけであいつに勝つなんて最初から無謀だったんだ。

 このまま俺の意識は飛んでいくのだろう。それでも仕方ないか……。


 兆也はもう終わったと思い、俺から歩いて遠ざかっていく。

 そして最後にこう言い放つ。


「偉そうなこといいやがって雑魚じゃねーか。結局お前も、お前の兄貴の青騎士も、兄弟揃って中途半端なんだよ。はっはっは」


 高笑いが聞こえる。

 ドクン。


――――――――――――お前になにがわかる――――――――兄貴が中途半端だと――――――――――兄貴はお前なんかよりもずっと強かったんだ――――――――――それに兄貴も、兄貴が助けてくれた俺自身も――――――――――なにも知らないお前に――――――――――否定されてたまるかよ――――――――――だから――――――――――二度とお前にそんなことは言わせない――――――――――俺はお前を――――――――――


 客席から歓声が沸き起こる。


「まさか……」


※※※


 兆也が後ろを向くと、夾也がゆっくりと立ち上がるところだった。しかしその気配はさっきまでの夾也と違っていた。そして顔を上げた夾也の片目は赤くなっていた。兆也はなにが起きているのか理解できず、動けずにいた。


※※※



「だったら……見せてやるよ」


 俺は木剣を鞘にしまい、相手を見据みすえる。


「剣をしまっただと……!? 血迷ったか、雑魚があああ」


 兆也が再び次元刀を顕現し、突進してくる。

 無防備な俺に最後の一撃を食らわせようと、そして二度と立ち上がらせないために、さっき以上の力で次元刀を斬りつけてくる。


「なん……だと」


※※※


 兆也は三つのことに驚いていた。一つ目は次元刀を召喚できないと聞いていた相手が、漆黒の次元刀を顕現したこと。

 二つ目は速さに自信がある俺が動き出してから、相手が次元刀を顕現し、さらに余裕で防いでみせたこと。

 そして三つ目は、俺の次元刀が相手の次元刀に触れた瞬間……。


※※※



「俺の能力ほのおが消えた……だと」

「こんなもんかよ……兆也」


 そうだ、兄貴はお前なんかよりも何倍も、何十倍も強かったんだ。

 兄貴の力、経験が俺に流れこんでくる。俺は眼前で止まっている兆也の次元刀を押し弾く。兆也の体が後ろに押される。

 そこに俺は猛攻をかける。兆也は防戦一方になる。


「くそおおおこんなカスに」


 兆也が防戦一方なこの状況を打開しようと俺から距離を離そうとする。


「させるか……」


 それを見て俺は次元刀を兆也の体に向かって投げ、俺は距離を離されないようにダッシュする。兆也の体に真っ直ぐ投げられた俺の次元刀は、俺や兆也の走る速度を超え標的に向かっていく。

次元刀がその手から離れ、夾也の片目の色が赤から黒に戻る。


「うっ」


 兆也は無理な姿勢で、俺の次元刀を自分の次元刀で防いだため、兆也の次元刀もその手から離れ、俺の次元刀と一緒に宙を舞う。


 兆也は急いでその手に次元刀を再び顕現しようとする。しかし俺はそのラグを見逃さない。俺はさっき鞘に収めた木剣を再び引き抜く。


 そしてこれがお前の否定した……!


「俺の力だああああああああああああ」


 木剣を兆也の身体にななめに振り下ろす。


「あああっ」

「……」


 そのまま後ろに倒れる兆也。





 しかし兆也が倒れると同時に俺の意識も闇に落ち倒れてしまう。

 試合終了の合図が、誰も立っていない特設ステージに鳴り響いた。





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