第一章 終幕 Thirteen&Michel
PM3:15 Monday
「マジかよスネーク・・」セブンはスピーカーから聞こえる銃声に身体を震わせながら呆然と座り込んだ。怒りよりも恐怖で震えてる様に見える。俺はコレクションの棚にガシャンと手を突っ込み引抜いた。
「これでいい・・」
「・・は、何言ってんだよ・・」
「御宅の社長の仇を取るんだろ。ナイフ一本なら安いもんだ。」
「無理だ・・昨日・・エッグポーカーでうちの私兵団隊長と実力者達がやられた。援護は無いに等しいお前一人で何ができんだよ」
床を殴り銀髪をかき上げ「クソ・・お終いだ」・・「セブンそのビルまでのナビを頼む・・」それを尻目にエレベーターに乗り一回へ向かった・・怒り・殺意・・僅かな恐怖を見えな敵に感じながらの頭に過ぎるグリルの噂・・オカルト・・サイコパス・・セル・・「気味の悪い野朗だ」恐れを吐き出すかの様に・・・一階自動ドアが開いた。普段と変わらないであろうビジネスをこなしている社員。ナイフを片手持つ男に警備員が反応。しかし、取り押さえる気は無いようだ・・「清春様・・副社長が話があるそうです」・・「はっ」・・キーン・・エレベーターが開いた。
「清春ぅ。俺をパーティーに連れてかないなんてドンペリ抜きの墓参りだぜ」
「また・・お早い復活だなセブン・・」
俺は車へ走りセブンは受付の元へ走った。呼び止めたが聞いちゃいない・・
今にも泣きそうな面を作り愛人と語っていた受付嬢に訴えかけた。
「もし・・俺が死んじゃってもさー。泣かないでくれよベイビー」
カウンターに身を乗り出し、女の前髪を撫でる様に耳の裏まで指を走らせた。モデル並みに整った顔はバツの悪そうな表情を浮かべている。
「セブン!」
二度目は強い口調で警告した。どうしたらそんな気分をコロコロ変えられるのか不思議だったが、さっきまでの怒りや恐怖に身を任している状態が嘘の様に冷静さを取り戻せている・・銀髪は背中をビクっとさせたが、一人で別れを惜しんでる様子。受付嬢は予めプログラムされている機械の様なしなやかさで、空気を読み違えてる男に言い放った。
「いってらっしゃいませ・・」
助手席のシートにナイフを突き刺す、アタッシュケースをボンと叩きガバメントを取り出し弾のチェック。マガジンスペアをデニムに詰め込み、蟹股で走るセブン・・エンジンを掛ける「COOLに行こうぜ・・」助手席のドアが開くや叫び声が響いた。
「少しは待てって。もう二度と会えないかも知れないんだぞ・・」
「はん・・お前にそんな気があったなんて知らなかった」
「て、お前このナイフ・・どんだけ価値があると思ってんだ。連続殺人鬼ブロンクス・ビーバーの愛用品、1964年イギリスのデイビット・フィーチャー伯爵のDNA鑑定書付きのプレミア物なんだぞ・・ちくしょう・・」
「どうせ盗んだんだろ。それに今はもう俺のナイフだろ。プレミア付けてもいいぜ」
「馬鹿か・・」
セブンはナイフを引き抜き静かにそれを後ろの座席に置いた。そして携帯をとりだしモニターを操作して「マジで死んじゃったらどうしようかなー・・七つの頭脳を持つ男&副社長のレッテル天国に持ってけねーかなー」なんて図々しい独り言を吐きながら携帯のキーを弄くり倒している。
「あっ。取り合えづまっすぐね運転手さん」
肺まで浸み込んで来そうな毒を吐き出したかたが相手にしたくなかった。
「そのビルはどのくらいで着きそうなんだ」
「待てって。お前ホントせっかちだな、設計をハッキングしてんだよ・・OK。早くて47分・・スネークが居た部屋は513号室」
居た・・疑問に思ったがセブンに言わせれば死体はもういないことになるのかも知れない。携帯のモニターを覗くと立体模型が写しだされていた。
「グリルがノコノコとビルに留まっててくれればいいんだがな」
「あぁこいつを始末しちまえばマンバが潰れる確立が格段に減るからな・・スネークの意思はあの会社に残そうぜ」
「たまには良い事言うじゃねーかチンピラ」
「俺は良い事しか言わねーよ・・・単純馬鹿」
車はオルガニズムの支配下に入った。ダウンタウンは嵐の前の静さ包括させるほど人が見当たらなかったが、粘々とした覗くような視線が纏わり付く・・スネークの囚われているビル・・ビルとは名ばかりで正面玄関は悪装飾が付いた大きな柱・・今にも動き出しそうなガーゴイルの像・・神殿の様な外壁・・どれをとっても悪趣味の一言。ついでに俺の隣で不思議な呪文を唱えてる奴がいる。
「お祈りは済んだか・・」
「ちょ・・話しかけんなよ・・神よ死者の魂はあなたの糧に、ワイングラスに注ぐ紅、野獣の遺伝子は四角い皿へ・・サキュバス・ディアボロス・・」
「はぁ・・いいか、サキュバス・ディアボロスもここにはいねー、いるのはサイコパス・・グリルってイカれた人間だろ」
セブンはガッカリしたよ様に言った。
「いいじゃねーか。この方が雰囲気でんだろ」
「スネークが死んだなんて思いたくねーが、俺らはリベンジャーだろ・・」
「復讐劇も俺流なんだよ、分かってねーなー」
「キャラが濃すぎんだよ・・」と、ため息をつく。深呼吸をする要領で高ぶる感情を和らげた。ウザイがこいつのペースに合わせてやるかって感じになってくる・・ガバメント&ブロンクスナイフを手に・・
「パーティーの始まりだぜ」
「清春ぅ。ノッてきたじゃんか」
オートロック付き正面玄関のガラスをセブンは迷わず鉛玉で粉砕した。明らかに一般人ではない男がその音に気付き出てきたがセブンに銃を向けられ硬直・・グリップで眠らされた。「意外とやるじゃねーか。」銀髪は決める様なポーズ・・・。一階はロビーになっている。中はやはりビルというよりホテルみたいな作りで薄暗さで洋館の様にも思える。五階へあがるエレベーターもレトロな感じの物が二箇所。シャッターで閉めるだけで各階のオープンスペースが眺められる仕組みだが、各階を通り過ぎるにつれ銀髪に似た悪魔崇拝者らしき奴らが舐める様に下から上へと青白い顔の黒フードを被った男が数人俺達を見ている・・
「セブン・・お友達か」
「冗談だろ」って顔で首を横に振った。そして、「これって・・罠・・じゃないよな・・対応が早すぎるもんな。ただのジャンキーの集まりさ・・」
「・・・鬼が出るか蛇が出るかってな」
五階フロア。このフロアだけ何処からか音楽が掛かっている・・シャッターを開き踏み出すと黒フードの集団が居たがジャンキーの様にただうな垂れているだけ・・1、2、3・・全部で8人・・待ち伏せしていた・・って分でも無さそうなノリ。513号室を探す。赤と黒の幾何学的なデザインのカーペットが二股に伸びている。間にはガラス張りの吹き抜け。絡みつく視線の中、トカレフ&ブロンクスナイフを再度構えて左へ進む・・第六感。セブンは黒フードの一人に銃を突きつけ大声で罵しっている。それを嘲笑う16個の目・・
「ちぃ、気持ちわりぃ奴らだなー。おい、513号はどっちだ」
青白い顔を上げ、ゆっくりと清春が進んだ方向を指差した。
508・・509・・510・・近づくに連れ音量を増す音楽。511・・512・・513・・ここから音楽が鳴ってる様だ・・・セブンは唾を飲んだ。
「やっぱ・・罠か、舐めやがって・・」
ドアノブに手を掛け、ゆっくり回す・・開いている・・セブンに目で合図をした。ガチャン・・勢い良く飛び込んで行った「命の保障はしないぜ・・」一歩遅れて入ったがセブンは音楽の鳴る部屋まで一直線に向かったらしい・・「清春!」微かに残る死臭・・各部屋をざっと見ながらセブンの元に急いだ。そこにはコンポ・スネークの携帯・手錠で繋がれた少女がいた。
「清春。何だこのガキ・・グリルってのはこっちの趣味もあんのかよ・・それに携帯だけでスネークの・・・居ねーし」
死体と言おうとしてためらったみたいだ・・とりあえず、耳障りなロックを止めようと消した、と同時に何かを読み込みだした。
・・・始めましてサーティーン・・・グリルよ・・・
銀髪はコンポに銃を向けた。
「おちょくってくれるじゃん変態野朗が・・」
「止せ・・手掛かりかも」
・・・聞いてたと思うけど・・蛇の頭は潰れたわよ・・・
・・・ふふふ・・あなたが考えてることはスネークのことよ・・答えはその子が持ってるわ・・それに貴方が来ることが何故分かったか・・疑問よね・・考えることはないわ・・悪魔が喜ぶゲームなの、シュチエーションもバッチリでしょ・・ブルーイナフの悪魔と呼ばれた男・・サーティーン・・・これは私からの招待状よ・・思う存分楽しんで頂戴・・一つだけ攻略のヒントをあげるわ・・あなたにとってその子が全てになる・・では、死のゲームをご堪能あれ・・ふふふふふ・・ふふ・・ふぅひゃっひゃひゃひゃひゃひゃひゃ
ダンダンダン・・・俺はコンポは粉砕した「ゲームだと、ふざけやあって。出て来いイタチ野朗・・ビビッて姿も出せねー癖によ」セブンも続いた「その通りだ腰抜けめ・・」・・・空しく響く声・・「う・・・ぅんん」少女が目を覚ました様だ。その瞳は徐々に光を取り込んで行きやがて羽を開く様に綺麗な瞳が現れた。すべての罪を洗い流してくれる・・そんな気さえするその瞳の奥は誰かに似ている・・女神との約束・・俺の全て・・か・・この子が俺の全てになる・・・
「清春ぅ・・てめーの大事な全てってのが起きたぞ。まさかな・・ロリコンだったなんて以外だったけど」
「俺にそんな趣味ねーよ・・グリルって野朗もホラ吹くならもっとマシな事言えよ」
「・・・おじさん達・・誰・・」
「おーじーさーんだーー。クソガキィ、お兄さんだろーがぶっ殺すぞ。アァ!・・・ていうかさっきのさー俺のことまったく眼中になかったよね。盗聴されてたのか裏切られたのか知らねーけど、俺の存在まったくここに居ないよね。マジFUCKだぜ」
俺の全てっての考えるのは後回しだ・・スネーク・・
「なぁ。何か渡された物はないか」
「分からない・・・外で遊んでて・・気がついたら・・お兄さん達が居たから」
少女は繋がれて無い方の手でポケットの中を探した。
「あっ。これ・・」
一通の封筒。少女は伏目がちにそれを渡しす。封筒を開けながら質問した。
「名前は」
「ミシェル・エリオット・・」
「何処に住んでるんだ」
「・・・ユニオンスクエアの三番街」
セブンが割ってはいる。
「三番街だー。理性の街の高級住宅街じゃん。ボンボンが本能の街で迷子かな」
俯く少女の顔を覗きこみ吐くセリフは、まるで二流映画の悪党。ミシェルには悪いが笑わせてくれる。が、それも封筒に入っていた何枚かの写真を見て凍りつく・・スネーク・・蛇の抜け殻が写る紙切れに怒りと共に心を奪われそうな気がした。セブンは呆気にとられた姿を見て写真を除きこんだ。グロテスクな物体と化した仲間・・リビングに走って行き・・嘔吐。ピンポーン・・ピンポーン・・呼び出し音・・リビングにあったインターホンを無意識に取ってしまう銀髪。
「誰!!」
「ルームサービスだぜサーティーン」
「俺はセブンだ。七つの頭脳を持つお・・」
玄関から銃弾・・「FUCK」身を屈め元の部屋へ滑り込む。俺は銃を抜きミシェルの手錠を打ち抜いた。「キャッ」と声を震わすが、すぐに傍に来るように合図した。玄関の男に応戦しているセブン。弾切れ・・「クソが、こんなサービスじゃすぐ会社潰れちまうぞ」と叫び、投げる銃身。
「終わりだな・・昔てめーに砕かれた顎がよ、この頃疼くんだよ・・へへ」
男は何を勘違いしてるのかゆっくり部屋に近づいてくる・・息を潜め構える・・ズカズカとせまる影・・「迂闊な野朗だ・・」飛び出し
ダンダンダン・・ダンダン・・
男はとっさに急所を守り腕でガードした。9mmの穴が五発開き、落ちた銃をセブンが拾いもがく男に見下す様に銃を構える。
「あばよ腐れボーイ」
カシャッ・・・
「くそ・・またかよ・・」
やっと思い出した。
「・・・殺し屋のルームサービスならやる事は一つだよな・・グリルに雇われたんだろダニエル」
傷口を踏みつける・・悲鳴。微かに動く手で顎を撫でる。
「俺の恨みはピーターパンを憎むフック船長より深いんだ」
セブンと目が合い笑った・・「決まらねーな」そして、脱出経路を頭の中でシミュレーションした。これは罠だ、恐らくこの建物にはあのジャンキーみたいな連中が狙ってくる。ミシェルのいる部屋に戻り、窓を覗いた。逃げ道はない・・隣のビルの屋上にアサルトライフルで狙うハットを被った奴が獲物を捕らえていた。その口元は釣り針で引かれたように引きつっていた・・むしろ微笑んでいるのだろう。口元が戻り何か行った様だ・・ガバメントを発射しながら怯えるミシェルの手を引きリビング走った。
「ダニエル・・殺られちまったのか。ママには勇敢だったと伝えておくぜ・・」
炸裂音も無く窓から降りつける5.56mmのアイスピックでさした様な後が迫る。
リビングにいたセブンの足もかすめる「ぐあぁ」・・ダニエルに被弾・・「ローートーーー」少なくともまた三発は穴が増えた様に見えた・・玄関まで走りぬけ、廊下にでた。
「やっぱだだじゃ返さないよな・・ミシェル下がってな」
エレベーター前にいた黒フード共がゾンビの様にゆっくりと近づいてくる。「シィィィ」口元から漏れる呼吸音。あきらかに尋常な奴らじゃない・・ドサッ・・玄関からセブンが足を引きずり倒れこむ。
「クソ、誰だかしらねーが仲間もろとも撃つなんてロクな奴じゃねー・・なんだ・・・さっきの連中じゃねーか・・」
「セブン・・あいつら何かおかしくないか・・」
「きったねー奴らだな。ヨダレ垂れ流しじゃん・・も、もしかして・・こいつらが・デットクリィーチャーズ・・」
「なんだそれ・・」
「前にオルガニズムの兵隊の一部は特殊なドラックで覚醒された死兵になるって報告があった。見るのは初めてだけどな・・」
「覚醒された死兵、俺には棺桶に片足突っ込んだジャンキーにしか見えないけどな」
部屋から叫び声が聞こえた「サーティーン・・これで終わりじゃないぜ」ダニエルは今にも死にそうな傷を負いながら「へへへ」と笑い、注射器を取り出し自分の首に注す。セブンは言った。
「なんであいつ笑ってんだ。何発も撃たれて死にそうだったのによ・・」
「マゾなんだろ。それより」セブンにガバメントとマガジンを投げ渡した。「ミシェルを頼む」
「はっ。マジかよ・・いいけど、あいつらにナイフ一本て無謀じゃね」
「俺が誰だか忘れたのか」
「ブルーイナフの13番目だろ・・」
「見せてやるよ・・俺がなんでブルーイナフの悪魔て呼ばれたか。」
「き・・清春・・」
セブンの驚く面をバックにデットクリーチャーズだか腐れジャンキーだかに向かった。セブンは壁の窪みに震えるミシェルを押し込み、辺りを見回しながら胸元から安く光るバタフライナイフを舞わし片手でガバメントを構えた・・・それを俺は肌で感じる・・ヒシヒシと刺す殺気、ミシェルの悲鳴にも似た微かな振動、セブンの恐れを隠した呼吸音・・どれも感じるといったレベルで把握できる。この感覚を開放するのは最後にファーストと戦っていらい・・約七年ぶりのサーティーン。まるで世界はスローモーションで動く灰色の深海。孤独と執念の結晶=最自由=暴君・・サーティーンはボソッと呟いた。
「Welcome to Greed Island・・」
怒り・憎しみ・恐怖が生むサーティーンの世界。俺はこいつに飲みこまれて行くのに抵抗は無かった・・スネークに捧ぐ鎮魂歌の如く、だが音も無く変わる世界・・始めに聞いた音は{グシャリ}という死兵の顔が潰れる音だった・・
黒い影はゆっくりと近づき間合いの手前で動きを急変させた。恐ろしく早いスピアー、しかし、灰色の深海ではスローに・・サーティーンは片手でグシャリと顔面から幾何学模様の床に叩きつけ、後ろの男にブロンクスナイフを投げる・・ザク、、胸に命中・・膝から崩れ落ちる男の背景に銃を握る男が二人構えていた。崩れる男の首を掴み盾に・・バンパイアが死の恐怖を払うかの様に吠える奇音の様な声を発し、口を大きく開き威嚇・・ナイフを引き抜き喉に突き刺し前進。二人の男の前に着く・・発砲・・同時にビクン、ビクンと動く盾・・ブロンクスナイフを逆手に持ち、銃を持つ手を一線・・こぼれ落ちる銃と手首・・喉ごと刺し壁に張り付け最後の一人へ・・盾を離し、四角から踏み込みボディーブロウ・・ダン、、空を切る弾丸、アバラがボキボキ音を出して折れる。痛みを感じないのか空いている手で殴りかかってきた・・避してもう片方をいただく、ボキボキ・・それでも倒れ際にトリガーを・・引く前に顔面へ拳打=陥没。転がる二丁の銃を拾い構えながら前進。脱出経路の確保・・サーティーンの顔は純粋に戦闘を楽しんでいた・・
後ろでは何処から湧いたセブンが死兵二人に応戦している。死兵はガバメントの弾をかわし、くらいながら進んでくる。ナイフを持つ奴と斧を持つ奴。後者は弾丸を浴びすぎ、這い蹲りながら向かってきている。撃鉄をカチカチと鳴らし、マガジンも使い尽くガバメントを投げ大声で
「It`s a dance like a buttefly、、、I stab you like a bee、、、」
と、死兵を指差しボクサーみたいなステップを踏み出した。英語でキメるのはもちろん、さっきのサーティーンの真似。足を引きずる、ぎこちない動きをミシェルは不安そうに見つめている。が、以外にも私兵の腹をバタフライが切り裂いた。「YES」セブンはミシェルに見せる様にポーズをキメる。しかし、ミシェルの目は怯えるばかりその後ろを見ていた。それに感づき後ろを向き横なぎに払われるナイフを皮一枚でかわした。「クソ・・なんで動けんだよ」臓器の漏れた男はセブンに覆い被さりナイフを突き刺そうと両手を上げている。
来た時はエレベーター前に8人の黒フードの男がいた。少なくてもあと4人・・セブンの悲鳴にも似た叫び声が聞こえる。エレベーター前には二人、視覚での確認でなく波立つ様な殺気を感じる。手前の非常階段からも迫ってきているのを感じる=サーティーンの能力{ソナー}壁に背をつけ飛び出し左右の銃で二人の額を撃ち貫き、利き手の右銃を円を描くよううにターンさせ、セブンに覆いかぶさる死兵の額を穿つ。左銃は非常階段に向けられ向かってくる死兵の脳を的確に破壊。
ナイフが頬を掠め鏡の様に目と目が合う。ドサッと覆い被さる死兵を邪魔そうに蹴飛ばした。「ワーォ。スリーーポイント、コービー・ブライアントも真っ青なシュートだぜサーティーン」床に刺さったナイフを抜き、はえずる斧男をめった刺しにし、返り血の付いた顔でミシェルにニヤリと笑って見せた。ミシェルは息を飲みこみ清春の元に走った「クソガキィ。俺を置いてくなよー。」セブンはおどける様にからかう。513号室の玄関が空いた「へへへ」と微かに笑う声と共に半死の身体を引きずりダニエルは走り去る少女を目で追った。今度はマジで驚いた・・
「こいつらといい簡単にはくたばらねーな」
バタフライナイフが脇腹に刺さり、ダニエルはクルっと首を向けた。
「今の最高だぜ兄ちゃん、もっとしてくれよ」
「気持ち悪りぃーな・・マゾ野朗・・」
ナイフでえぐる・・
「そうだ・・イッちまいそうだ・・へへ・・そんな変態をみる様な面すんなよ。Feel Timeって言ってなデットクリーチャーのドラックとは全くの別物・・こいつはまさに至福の時だぜ」
言い終わると同時にダニエルは腕を丸太の様に振り回す。セブンはナイフを離す・・なぎ払った腕が柱を粉砕した。
「こいつはやべーな・・」
足を引きずりながらエレベーターの方に走った。「へへへ・・もっと遊んでけよ・・へへへ」追いかけるつもりが床に転がり、立ち上がらずに上半身を起こし天井を見上げている「へへ・・気持ちいいぜ・・」
非常階段からはぞろぞろと死兵が上がってくる。それに応戦しているとミシェルがエレ
ベーターに駆け寄りスイッチを何度も押した。銃を撃ちつくし一段落ついたかの様に死兵は現れなかった。ドクン・・また殺意の波が押し寄せる。ダニエル・・それにエレベーター・・「キャー・・」悲鳴が聞こえる方に走ると四人、ミシェルを襲おうとしていた。死兵達はサーティーンの存在に気付くと、フォーマンセルの陣形をとり持っているナイフを同時に投げつける。四本の刃が向かってくる・・その空気の摩擦をも感じ取る灰色の深海での唯一のソナー。まるで、揺れる柳の様に一本・・二本・・かわす。飛んでくる残りの二本を・・キャッチ&回転。二人の心臓にナイフが突き刺さり力なく崩れる。床に顔面を付けるまで、リングに例えるならキャンバスにキスをするまで、何故倒れているのか理解できないって顔でダウンして行く様。後ろの二人もそうらしい、一瞬でフォーマンセルが崩れたのを理解するのに時間が掛かった。が、理解した時はもうサーティーンの間合いの中、テンプルへの一撃・・死兵の首がゴキっと曲がりそのまま一回転して床に激突。最後の死兵は自ら距離をつめ左右のフックのコンビネーションが頭部を狙う。それをスウェーでかわしながらクロスカウンターで合わせ顎にヒット。ゴキっと言う鈍い音はしたが死兵は止らずにボクサーさながらの左フック・・ダッキングでかわすが、フックが伏線の様に鋭い右ボディーがサーティーンにヒット。唾を吐きながらギラっと目を輝かせるサーティーン。再度、左フックを見舞う死兵・・だが当たったと思った瞬間スゥっとターゲットは消えた。そして、下の方うから「今のは聞いたぜチンピラ野朗が・・」サンドバックの様に死兵が浴びる乱打、吹き抜けの強化ガラスを背に何度もボディー、ストレート、アッパー・・ガラスにひびが入りミシェルが呟く「もう止めて・・」サーティーンは最後の一撃を溜めて放った。同時にミシェルは叫ぶ「もうやめてー!」ガシャンとガラスは割れ死兵は「あぁぁぁ」と呻き声を上げながら落ちていった。ミシェルは純粋に悪魔のゲームを楽しむ男の目を恐れるでもなく、見つめている・・灰色の深海でその目は力強く、また美しく輝いていた。その瞳の中に吸い込まれそうになる感覚。
「・・・クソ、調子狂うぜ・・」
鈍重に流れる世界が速度を増す・・サーティーンの世界はブラウンの瞳の中に吸い込まれて行く・・少女はただ見つめている。
「はいはい分かったよ。で、ここから無事に帰るつもりがあるなら俺から離れんなよ・・」
皮肉交じりだが、悪い感じはしなかった。もう何年の前・・俺を制御不能のブルーイナフの悪魔から救ってくれた人。少女は俺に理性を与えてくれた人と同じ目をしていた・・
「女神との約束・・か」
ミシェルはエレベーターの中に走りはしゃぐ様に言った。
「早くしないと行っちゃうよ」
「この状況で笑えるなんてたいしたガキだな」
見透かした様にまた笑う。
「だっておじさんが守ってくれるんでしょ」
死兵に刺さってるナイフを引き抜き向かった。
「おじ・・ぷるぷる震えてる方がよっぽ可愛げがあったな」と、1Fのボタンを押しシャッターを閉めよううとした。
「で、おじさんじゃなくてお兄さんな」
・・・・
「あっ・・・」
ミシェルとハモった・・顔を見合しセブンを忘れてたことを確認しあった。ガシャっとシャッターに細い指が掛かる。とっさにナイフを構えるが「俺を置いてく気か」セブンは銃で死兵を撃ちながら転がりこんできた。エレベーターが動きだし、銀髪は乱れる息と髪を整えながら目で訴えている。俺は言った。
「お客様・・何階にいたしますか・・」
ミシェルは両手で口元を隠しながら笑った。大きく息を飲みそれを吐く。
「一階だバカ野朗!」
普通に返したこいつに笑いそうになった。4・3階と下り、各階のオープンスぺースには予想に反し死兵は居なかった。セブンは小刻みに呼吸を繰り返し落ち着いたらしく寝ながらミシェルを指差し告げた。
「・・何笑ってんだよクソガキ。俺を置いてきやがって・・てめー、ろくな女にならねーぞ」
「うけるぜ。お前からそんな言葉が聞けるなんてな」
「うるえー。清春てめーもだろ・・まじてめーらには失望したぜ・・くそ」
ピンポーン・・機械音と共にエレベーターは止った・・2F。オープンスペースにはアサルトライフルを構える男が一人。
「ひゃっはー。サーティーン、ドゥユーリメンバーミー」
「ロト・・やっぱお前も着てたのか。」
反射的にミシェルを死角に突き飛ばし身を潜める。乱射される弾丸。
「お前も俺を失望させる気か」セブンは銃を放ちながら言った。ハイテンションに飛び交う弾丸。セブンのまぐれ当たり。
「ぐは」エレベーターは下がっていく。「銀髪野朗がやってくれるぜ・・」ダニエルと同じFeelTimeを首から注入、瞳孔が開き「ひゃはははー」と笑う様が最後に写った。ミシェルはイカれた人間を見るのに馴れたのかあまり気にしていなかった。むしろ怯えるよりもエレベーターを操作して下げたことを褒めてもらえるかの様な表情でリアクションを待っている。俺は片目の動作でそれに答える。セブンの方へと目を向けた・・こいつも何か待ってる様子「は、お前も・・」言葉にはしなかった。無視して一階に居るかも知れない敵に備えた。
ゆっくりとシャッターを開き、ロビーは最初にセブンがのした男が横たわっているだけだった。セブンはそいつのポケットをまさぐり青い錠剤の様な物を取り出した。
「こいつがデットクリィチャーズの正体か・・」
「あぁ、帰ったらお前の雇った傭兵に飲ませてみな」
セブンは苦笑いを浮かべ車へ向かった。非常階段から漏れるロトの声ともう一つのエレベーターが一階に向かうと同時に大きくなるダニエルの声。不気味な笑い声を上げながら二人はここで鉢合わせた。ミシェルが俺のシャツの袖を握る・・いくらなんでのアサルトライフルにフィッシャーレイズ兄弟じゃ分が悪い・・ナイフをロトの利き手に投げ刺す。グサリとささりライフルを持つ手が力なく下がる。「ミシェル今だ・・」同時に車へ走りだす・・が、追ってくる様子も無く、刺さったナイフを気にするでもなく兄弟は話し始めた。俺は振り返り立ち止まった・・「清春ぅ何やってんだよ。今度は俺が置いてくぜー」セブンは車から叫んだ。
「へへ・・兄貴もFeelTimeを使ったのか・・へへ・・タンの野朗、試作品だなんてぬかすから大したことねーと思ってたがよ・・このピルは最高だな」
ダニエルはアバズレが指を突っ込む様に、穴の開いた傷口をかき回している。ロトは至福の時が効きすぎたのか快楽で唾液を垂れ流し、既でろれつが回らなく何を言ってるのか分からなかった。
「なぁ兄貴・・そいつで俺を撃ってくれよ」
ロトは身体をビクつかせながら喜び、横一線に放った。
ダニエルのでかい図体が吹っ飛び仰向けに・・血を吹きながら笑う。
「最高だよ・・マジで・・へへ、ここなんてあと数センチ上だったら致命傷だった。さすが、兄貴だぜ・・へへ・・もっとだ・・もっとくれ」
すでに十発は開いた穴の一つを指し、また血を吹く・・「撃て!ぶっ殺せ!」ロトはその弟を見下しライフルをむけ発射した。カチッ・・・「ガッッッデーーム」本当に悔しそうな力の篭った声が響く。ロトは子供みたく首をかしげている。ダニエルは微かに変わってきた感覚に気付いた。それは・・痛み。胸元から新しい注射器を出す、が弾丸にやられ粉々になっていた。
「兄貴・・FeelTimeを分けてくれ・・もう・・効果が切れそうなんだ・・へへ・・」
首を逆にかしげる。唾がダニエルの顔をにかかりキレる。
「ロト。早くしてくれ。だんだん・・」
フリスビーを投げてくれと哀願するドーベルマンの様にロトは見つめている。
「分かったよ・・そいつで俺の頭を潰してくれ・・へへ・・早く殺れ、なぁ兄貴」
ダニエルは観念したように笑った。ロトは銃口を握りハンマーで杭を打つ様にダニエルの顔面を何度も何度も打ちつけた。打つ度「へへへ」と笑っていたが、最後はビクンと身体を痙攣させていた。
「とんだブラザーシップだな・・」
俺は車に駆け寄った。「遅いぜ清春ぅ何やってたんだよー。」
セブンはアクセルを吹かし、ミシェルは心配そうな顔をしている・・
「いや、なんでもない・・いったんスネークの・・アジトに帰ろう。これからどうするかはその後だ・・」
少し疲れた様に言うと、社内は静まりかえった。セブンはセブンの、ミシェルはミシェルの、そして俺は俺の考えをまとめる時間が必要だった・・・がセブンが一言。
「悪魔のパーティーの後は秘密基地までドライブだぜお嬢ちゃん」
ミシェルは眉間に溝を作り何か言いたげ俺を見上げた・・
「空気読めって・・俺に言うなよ・・」
PM7:13 Monday
地獄があるのなら・・転がり落ちて行く先を考えるよりも打開策を行動に移すべきだ。もしも、頭が真っ白でボディを抉られた様な吐き気を与えられたとしても、身体に染み付いたパンチを出し続けるファイターの様に戦い続けなければならない。マリオネットの糸が切れるまでは・・・
セブンはこれから迎える状況を恐れる様に喋り続けている。予め計画がされた罠・・短時間で消えたスネークの死体、二人組みの殺し屋、グリルの言葉、俺ら行動を逐一監視し、情報を洩らしている奴がいる。ミシェルはセリフのない役者、ナインポインツの町並みを黙って眺めていた。ブラックマンバのアジトと呼ばれるビル・・車が止り中に入って行く。1Fロビー・・隠していた嘘がばれた様にセブンの顔色が一瞬で青ざめた。ビジネスマン、警備員=傭兵、・・皆殺しにされている。セブンは人生の終わりでも告げる様に言う。
「・・なぁ・・てめーは神ってのを信じるか。この光景を見てYESと答えるられるのは悪魔だけだよな・・」
「神だと・・そんなもん信じたら足元をすくわれる」
笑えないって顔で力なく銃を構える。死体には三本爪で引き裂かれえた後、獣に喰いちぎられた様に抉られた傷跡が残っていた。傭兵を含めて20人弱・・銃で撃たれた形跡も無く倒れている。
「ガキは置いて行くかホラーハウスとは訳が違うぜ・・」
ミシェルはうつむいたまま、俺のデニムを掴み首を振っていた。
「悪魔のゲームが終わってないなら、安全なのは俺といること・・だろ」
「てめーはやっぱロリコンでフェミニストだ・・」
受付をチラっと見て構えた銃をだらりと下げた。セブンが別れを惜しんでいた女は首を折られ椅子の背もたれに寄り掛かりながら目を大きく開きながらこっちを見ていた。セブンは急にエレベーターに走り出しボタンを押して回る・・
「くそ、ぶっ殺してやる・・」
2F〜9Fまでのエレベーターと非常階段はロックされているようだ・・
「10Fの直通以外ロックしてやがる・・」
10Fへの扉が開く・・男が二人、酒をあおっている。セブンはぶち切れ叫ぶ。
「ヘルビースト!てめーら裏切りやがったのか。」
ズカズカと足音をさせながら男の目の前に銃を向けた。男はおどける様子も無く、酒を一気にあおりボトルを床にほおった。
「お前は・・サーティーンか・・」
ギロリと鋭い目で睨みゆっくりと立ち上がった。
「シカトかコラ。舐めやがって・・」
セブンは男の顔面を弾いた・・が、同時に中を舞う銀髪・・床に倒れ動かなかった・・
「雑魚は退いてろ・・」
男はまたゆっくりと・・確実に近づく威圧感と共に近づき俺を見下ろした。灰色で獅子の鬣を彷彿させるヘアースタイル、険しい顔付きでは百獣の王の威厳を醸し出している・・俺は男の目の奥を睨みながら言った。
「お前がスネークを売ったのか」
硬直・・もう一人の男が音も無くスゥっと立ち上がる。黒尽くめの男はゴーストの様に近づき瞼から唇に掛かる幾つものチェーンを三本指でかきあげ、指の隙間から少女を見て怯える姿を見つめながら話し出した。ミシェルは俺の後ろに隠れた・・
「始めましてサーティーン、元といった方が的確なのかな。こんな所で会えるなんて光栄です。私はカラス・・彼はグローディアです。私たちはブラックマンバとの同盟を破ったつもりはありません。先程、何者かの手によってスネークの死体が我々の元に届いた、蛇の頭が潰れた、とういことは力のバランスが崩れ、共闘の意味が無くなった・・」
死神が纏わり付く様な気配とは裏腹に三本指からは涼しげな瞳を浮かべている。
「なら、お前らもグリルのゲームにのった口かい・・」
かすれた声でグローディアは言った。
「何・・グリルに会ったのか・・」
カラスは隠れるミシェルを覗きながら「言わば、私たちは弱ったハブに食いついたマングースなんだよ・・」
セブンはよろけながら立ち上がり七つのパソコンまで行き録音していたらしく、グリルとスネークの会話を再生した。
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スネークの死に際の叫びにグローディアは静かに呟いた。
「見事だ・・」
セブンは理解できないって顔で銃を再度向けた。まるで気にする様子も無く獣が遠吠えをあげる様に告げた。
「蛇頭に免じて今日はこれで引き上げてやる。だが、奴の死はナインポインツの均衡を崩した・・ブルーイナフ解散後以来の戦争が起こるだろう。ヘルビーストはこれより戦闘体制に入る・・次に会う時は地獄の獣が牙を剥く・・」
カラスはいつの間にか三本指に鋭利な刃物を装着し切りかかってきた・・ステップバックでかわしたが薄皮一枚切り裂く。
「くくく・・グローディア、それは頭の潰れた蛇に私達と争える力があればの話ですよ・・まぁ、うちの獣どもは血に飢えててね・・餌を与えないとこちらが噛み付かれてしまう」
三本指の表情は終止涼しげだった。ヘルビーストの二人はエレベーターに足を運び「てめーらこんなこと遣らかして生きて帰れると思うなよ」セブンは震える手でグローディアを狙う・・四発、弾は反れ壁に穴が開く「・・・バカな・・俺はちゃんと狙ったのに・・」そして、消えていった・・
虚ろな目でセブンは呟く・・「ブラックマンバはお終いだ・・くそ・・」キメていたオールバックを掻き毟り落ち着いたと思うとパソコンで各フロアのロックを解いていった。生き残っていた2〜9階の社員たちは一斉に外に飛び出し逃げていき、モニターでそれを見るセブンは何も言わずにエレベーターで降りて行った。
俺とミシェルは長いことセブンの帰りを待っていたが、彼は帰って来なかった。また、コロッと態度を変えてくるはずそう思っていたのに・・1Fに降りた俺たちは死体を避けながらセブンを探し外にでた。時計の針はもう1時をまわっていた。スネークのアジトとは真新しいゴーストタウンみたいに静まりかえっているが、遠くで大きな爆発音や叫び声が聞こえる。ブラックマンバ・・スネークの支配を無くした無法地帯・・非難・立てこもり・暴徒。俺は車を荒らす輩を排除しながらミシェルを助手席に乗せアクセルを踏んだ・・携帯でセブンへのコールを鳴らしながら・・
Who・・is・・this・・記憶・・
コンクリートの檻・・
檻と言っても牢獄には近いが他者から隔離された空間ではない
犯罪歴ゼロ・・自ら作り上げた厳重なロック=規律
身内ですら踏み込めぬテリトリー=罠
突然、牙を剥く家畜化されたライオン=弱者
相手にする者はいない・・・孤独を打ち消す打開策=モンスターを生み出した
妊婦の様に腹は出ないが歪んだ心が生んだ{何よりも高密度の何か}化け物が生まれた時の感覚=科学者には理解不能な単位
マスメディアの餌=架空現実の網でもがく雑魚
彼は怯える猫を見て言った「俺を百獣の王だと認めている」
虚無の王。現実にぶつかる度、彼の中でヘドロが流れる様にゆっくりと確実に成長して行く非現実
ある日、爆発的は成長を遂げる・・現実と対面
一通の通知書。掛けられた保険金=犯行未遂
加速するネガティブな妄想・・血の滴る包丁・・高密度の膨張
衝動的にとった行動の後始末。刻まれた死体=首、手足、胴体。返り血は血縁
取り出した16番アイアン・・首にフルスイング・・・感傷的なものかは不明
紙くずを捨てる様にバスタブに放り込まれた肉片
鼻歌を歌いながら返り血をシャワーで流し目を瞑る
そこに居たのは{何よりも高密度の何か}の正体
モンスター、ゴースト、サイコパス・・まだいる・・=対話・・・
虚無の王から虚無が消える瞬間
「すがすがしい気分だ・・まるで成長を飛び越えた進化・・生まれ変わったと言ってもいい・・なぁ、そうだろ・・俺には新しい名が必要だろ・・お前達の王・・俺の名は・・セブン」