手遅れ
大雨の降る中、二人で一つの傘を使って学校から帰っていると、彼女は恨めしそうに空を見つめた。
「雨は嫌い?」
私がそう言うと、彼女は急に悪戯っぽく笑って傘を奪った。
雨は私の制服を直ぐに満遍なく濡らした。
「好きよ、とってもね」
制服が透けて私のブラジャーが露になると、彼女はデザインを指でなぞりながら
「こうなるからね」
と言って、更に指を動かして、少し硬くなった敏感な部分を撫でようとしたので、頭を叩いた。
「馬鹿、透けちゃったじゃない……」
「大丈夫」
「何が大丈夫なのよ!」
「だったら乾くまでウチに寄ればいーんじゃない?でもさ」
「な……なによ」
「今度は違う所が濡れちゃうかもね?まあ……私はもう手遅れだけど」
少し息の荒くなっている彼女に、私は口が裂けても言えなかった。
私も手遅れよ、なんて。