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豺狼  作者: いじぇくと
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ディザスター

初投稿です。

一応投稿前に推敲とかして試行錯誤しながら書いているんですがまだまだなところが多いと思います。

人気があれば次回作考えてます←←←

どうぞよろしくお願いします。

ラザラス・ベルガーの耳に入る音はレシプロ機の鳴らすレシプロエンジンの音だけ。

小型のレシプロ機にある座席はたったの12席だがそれに乗っているのはラザラス1人。最後列の座席に座っている。

彼はフランス系アメリカ人であり、金髪のヘアスタイルはツーブロック。一見華奢に見える体格であるが、筋肉質であり重い物も軽々と持ち上げるくらいのことはできる。

彼はこれから行く島の資料を読みつつ窓の外の景色を見る。

いつもと変わらない南太平洋の海。日差しが窓に差し込んできてそれが膝に当たり少し暑さを感じる。そしてなにより綺麗な海。それがラザラスを南太平洋の上空にいるということを実感させるものだった。

「目的地まであとそんなに距離はないぞ。パラシュートの準備はしなくていいのか?」

パイロットのデューイがラザラスに聞く。

ラザラスは、読んでいたこれから行く島「グロス島」の資料をしまいながらデューイの問いに答える、

「ああ、そうだな。ゆっくりしてはいられない。」

ラザラスはそう言うと席から立ち上がり飛行機のドアのすぐそばのフックに掛かっているパラシュートパックを取り、慣れた手つきで背中に背負いこむ。

「今日はどんな仕事だ?厄介事はごめんだぞ。3か月前は対空砲火で撃ち落とされかけた。」

「大丈夫だ。今度の島はもうすでに機能していない。」

「なんだっけ・・・グロス島だか言うその島には何があるんだ?」

「いつもどおりSSCの研究所さ。戦うのは生きた人間じゃないだろうけどね。」

SSCとはスウィートサイエンスカンパニーの略称で、国際的製薬企業のことである。医療用ガーゼから伝染病のワクチンまで薬品だけではなく幅広い医療品を扱っている。表向きでは、発展途上国への伝染病予防ワクチン投与や衣食住関係の支援などを行う「善良な」企業だが、ラザラスの知るSSCはそんなクリーンな会社ではない。

元研究員であったラザラスはSSCがアメリカ政府に兵器として売るための生体兵器を製造していることや、そのために非道なる人体実験を行っていることを知っていた。所謂、SSCの闇の部分だ。それに耐えきれずラザラスはSSCを退社し、各報道機関にその事実を報告しようとしたが、ラザラスの両親はおろか、婚約者まで殺害されてしまった。もちろんラザラス自身も追われる身になった訳だが、今回ラザラスの乗る飛行機のパイロットを担当しているデューイによって匿ってもらい、デューイの知り合いに頼み武器の扱い方や高度な体術を習得するために訓練し、1年前から様々なSSCの研究施設に妨害工作や破壊工作をしかけている。

そして今回工作活動を行うグロス島。SSCの研究所がある島だ。

その関係者が住む為の街もあり、警備用の軍事基地まである。

彼の友人がそこでスパイ活動を行っていたのだが二日前から連絡が取れなくなっていた。その友人は几帳面な性格のため一日おきに状況を報告していて、一度たりとも連絡が来なかったことが無い上、こちらから呼びかければ24時間以内には応答する。

そんな彼が二日以上も連絡をよこさないということはあり得ない。なにか起きたに違いない。

そう思いラザラスは単身でグロス島に潜入することにした。

デューイが口笛を鳴らす、

「今度はゾンビか!?まるで映画の主人公だ!」

ラザラスは少し微笑む、

「デューイ。ゾンビでもないし俺は主人公でもない。犯罪者だ。」

「いや、SSCのやり方は俺も不満を持っている。お前から聞かされた研究所の実態の話、ありゃあ反吐がでるね。」

「現実はあれより酷い。一緒に降りて見てみるか??」

軽くジョークを飛ばす、

「俺は映画の中だけで充分さ。そら、もう少しで島に着く・・・うわあ・・・ひどいな・・・。」

操縦席から島の様子を見たデューイは、島の中心部のあちこちで炎が上がっているのを見て思わずため息を漏らした。

ラザラスの予想通りだった。島で大規模な災害が起きていた。それが生物災害なのか、自然災害なのか、はたまたテロ活動なのかは分からない。しかしSSCが深くからんでいることは間違いないだろう、

「これがSSCさ。今さら感傷に浸る場合でもないだろう。」

デューイは強い憤りを感じながらも起こった事態は仕方ない、と納得せざるを得なかった。

デューイはその怒りを納めるかのように話を転換させる、

「パラシュートの点検はしっかりしてるよな?降下中に開かなくてグシャリってのはよくある話しだぞ?」

ラザラスは肩をすくめる、

「デューイ。いまさら俺がそんなミスを犯すと思うか??」

「ま、大物犯罪者は抜かりがないからな。」

機内に笑いが漏れる。

ラザラスは操縦席まで行きデューイに向かってこぶしを突き出す。

デューイもこぶしを突き出し、それをラザラスのこぶしに当てる。

「お前のことだから死にはしないと思うがな。付近の私有の空港を使えるようにしておいた。そこで待機してるから回収の際は呼んでくれ。」

「分かった。いつもどおり、だろ?」

ラザラスは飛行機のドアを開ける、

「ボンボヤージュ!ラザラス!」

ラザラスが飛び立とうとした途端。

飛行機の右翼が突如吹き飛んだ。

機内に大きな衝撃が走り、ラザラスは投げ出されそうになるが、機はバランスを失い回転しながら降下しているため、機内に放り込まれる。

「デューイ!どういうことだ!」

「わからん!くそ!落ちるぞ!」

警告音が鳴り響く、

「ああ、もうくそったれ!ラザラス!もう街は機能していないんじゃないのか!!」

「俺だってなんでこうなったのかわからん!」

「あー・・・こりゃもう駄目だ―」

機は徐々に降下していきグロス島の森林に墜落した。



どのくらい時間が経った?まだ日が差しているからそこまで時間は経っていないだろう。昼下がりぐらいだろうか。

骨は折れていないか?いや、手足の感覚はしっかりある。

パラシュートのロープが機内の座席に引っ掛かっている。まずその問題から片付けよう。これでは身動きが取れない。

ラザラスは現在自身で思う様々な疑問を解決していた。

墜落した機体は2本の木々の間に挟まっており、奇跡的に爆発はしなかった。

しかし機体は地面に向かって斜めの状態になっており、ふとした衝撃で地面に激突する可能性がある。それはそれで衝撃の痛みが来るから避けたい、とラザラスは考え慎重にパラシュートパックを自分の体から切り離す。

「デューイ。大丈夫か。」

デューイに呼び掛けるが返事が返って来ない。

ラザラスは斜めを向いている機内でなんとかバランスを取りながら歩き操縦席まで行く。

操縦席のガラスに血が飛び散っているのが客席からでも確認できた。

操縦席を覗き込むラザラス。

デューイは息絶えていた。

木に衝突した際に、木の枝が機体のフロントガラスを貫通。そのままパイロットであるデューイの頭を貫いていた。

デューイの眉間から滴り落ちる血液。その先にあるのは血だまり。顔も青白くなって完全に生気が感じられず、さっきまで話していたのは夢のように思えた。

死体は見慣れているラザラスであったが友人となれば別である。それはどんな屈強な戦士でも同じだろう。

その光景を見て顔を手で覆うラザラス。せめてもの救いは彼が苦しまずに死んだであろうことだけだった。

ラザラスは機の外へ出るために、開いているドアから地面へ飛び降りた。

少し脚に衝撃を感じたがなんともない。大丈夫だ。

M16系列のマガジンが8つ入るチェストリグとM4カスタムを抱えて彼はグロス島の森林を漂うことにした。


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