楽屋で
更新遅れました。
今回は、性格悪い双子兄サン視点です!
さっさと内容進めやがれ!!って方本当に申し訳ないです!これでしばらくは莉彩視点に戻します。
今月と来月は、更新が遅れる場合があります。できるだけ急ぎますので温かい目で見てくださりますと非常にうれしいです。
「「お疲れ様でした」」
撮影を終えると、2人は休憩をするために楽屋へ向かう。
そして楽屋の前に着くと、ドアを開く―――が、閉めた。
「誠」
「どうした?彰」
後ろでドアを開けないの首を傾げながら、彼に尋ねた。
「ユーが、いた」
ちなみに、ユーとは優真である。
彰は仕事以外ではかなり無口だ。
誠は頷きながら会話を追求した
「うん、それで?」
「微笑んでた」
「は?」
一瞬、誠は言われたことが分からないまま、彰を見つめてしまった。
無言でドアの前に立ち、屈んでかすかにドアを開き―――そして閉めた。
「あ.....あれは誰だ」
ドアを閉めた後、ものすごく小声でそう呟いた。
(仕事以外で微笑えむ事なんて滅ッ多になかったぞ・・・・・いや、むしろ初めて見た、やり取りをしてる相手は誰だ?!)
誠は珍しさあまりに写真を取ろうと携帯を出した。のだが・・・・・
ガチャ
「こんな所で何してる?」
優真は眉を顰めて、ドアを開けたままの状態で2人を見ている。
「.....物音がしてたから先客が誰かと思ってた」
そういって彰は誠が開きっぱなしのままになっている携帯を指差した。
(―――そういうことか)
誠は彰の言いたいことを理解して、さらに付け足す。
「そうそう!ほら今さ、予定とか携帯に書き込めるからそれで場所が本当にあってるか確認してたんだよね」
幸い携帯はまだ待ち受け画面のままになっていた。誠は素早く携帯の画面を【スケジュール帳】にして優真に向けた。
携帯を向けると優真は「俺もそれ使かってるな。楽だし」と言いながら2人を避けて楽屋とは逆の方向へ歩き出した。
「ユー、どこ行くの?」
「今からドラマの撮影だ」
優真は歩いていた足を止めて、少し2人の方へ向いた。
「ドラマって、伊藤朱里のヤツ?」
「ああ」
と言い、片手をあげて挨拶をして再び足を進めて行った。
(あの人超美人だからなー羨ましい!!)
誠は心の中でそう叫びながら楽屋の中に入った。彰も後からついてくる。
中には誰もいなく電気もついていなっかったのでスイッチを押した。どうやらご丁寧に優真が消したようだ。
視界が明るくなると、冷蔵庫の中にあったミネラルウォーターを取り出して行儀悪く机に座ると、彰が本人のものでない携帯を手にしていた。
「ん、何それ」
誠はミネラルウォーターをぐびっ。と飲み、机の上にそれを置いてそう尋ねる。
「・・・・・ユーのだと思う」
彰は座っていた椅子から立ち上がるとドアへ向かったおそらく携帯を本人に返しに行くのだろう。―――が、誠が彰の腕をがしっ。と掴んでそれを遮った。
その行動に対して彰は振り返り、首をかしげた。
そして誠はさらに近づき
「気にならないのか?【あの】ユーを微笑ませていた携帯のやり取りの相手を!!」
と告げた。
誠は幼いころからやんちゃでいたずらが大好きだった。楽しければ、何に対しても罪悪感など生まれたことがないのだった。
対して彰は、双子とは思えないくらいおとなしく、無口だった。
そんな彼は意地悪そうに笑って彼の申し出を断る―――
「バレた時はよろしく」
―――はずもなく。
所詮双子は双子と言うことなのだ。
彰もそれに対してニヤッと口角を上げ、「交渉成立だな」と。
あたりを見回して、「トイレとのどが渇いたってことはないよな、ここ設備してあるし」と誠が言うと、彰が少しの間優真の携帯を動かして誠に向ける。
「最低でも3時間は戻ってこない」
向けられた画面を見てみれば【スケジュール帳】が開かれており、確かにドラマ撮影17;00~21;00と予定が入っていた。
(っていうか、なんでコイツユーがスケジュールをそこに書いたって知ってるんだ?)
誠は心の中でそう呟くと、携帯を受け取り【受信メール】を開き、一番最新の送り主の名前だけを見て首をかしげた。
「.....り、さ?って誰だ?芸能人でそんな人いたか?」
誠がそう尋ねると、彰は横に首を振った、彼も知らないということは一般人だな。と確信した。
誠は再び机に座り、一番古いメールを開封した。相手は“伊藤朱里”だった。内容は撮影の後での夕食の誘いだった。それからも3~4回程似たようなメールがあるが、【送信済みメール】を確認するとすべて断っている。
(なんて勿体無いことを!!)
なんてことを誠は思いながら他のメールを確認していった。
―――およそ15分後。
「コイツ、何股するつもりなんだよ・・・・・」
誠の呟きに彰もうなずいた。
最初の方は、ツッコミが入ったり笑いながらメールを拝見していたが、段々呆れてものも言えなくなってきたのだった。メールの履歴と言っても、決してそんなにたくさん見れるはずはないのに、ほとんどが異性からのメールだった。
しぃん。とした室内だったが、誠が口を開いた
「もうやめるか」
そういって携帯を閉じようとした誠の手を、彰が止めた。誠は少し驚き顔を傾げ彼の顔を見た。
「次」
そう言ってきたのに対して、誠は呆れた顔をした。
「もうどうせ似たようなメールだよ、アイツはどうせ腹黒だから心の中で女たちを笑ってたんだよ」
「いいから」
彰を説得しようと思ったのだが、頑固なことに携帯を自分の手に取り次のメールを開いた。
『予定が入っているので、無理です』
「ほら、どうせ誘いのメールとかだ・・・・・ろ?」
彰が持っていた携帯を除いた誠は、ポカンと口を開いていた。そして同時に優真の方から誘ったのだと理解した。
珍しそうに「面白い」と笑っている彰から携帯を取り上げると、すぐに【送信済みメール】を見た。
『土曜あいてるか?』
内容を読むなり彰の方を向いて、「妹か?」と尋ねた。当然の事だが分かるはずもなく「知らない」と返された。
残りのメールも古い順で受信、送信済みと順番に見ていき最後まで見終わると、「そういえば」と誠は呟いた。
「前さ、俺らと一緒に朝飯食おうって誘った時、急いでどっかに出かけて行ったことあっただろ?あの後マネが探してたから代わりに電話してやった時すごく機嫌悪くてさ・・・・・もしかしたらあの時にその子と会ってたとか?」
冗談で言ったつもりだったが、彰が頷いたので思わず「マジで?」と聞き返してしまった。
机に置いてあったミネラルウォーターを飲んでいると彰が口を開く
「背の小さくて、髪の長い子、年下」
「―――ぶっ!!」
(それってま、まさか・・・・・ロリコン?!)
思わずミネラルウォーターを吹いてしまったので、近くにあるタオルで口を拭きながら彰に目を向けた。
「なんで知ってんの?」
「その日誠にパシリにされた時」
「どこで」
「ファミレス」
それを聞いて、納得すると同時に、内心少しだけ後悔していた。なぜ自分はジャンケンに勝ってしまったのかと。
そして彰に向かって提案をした。
「よし、これからは俺らもあそこで夕食食うか」
と笑いながらそう伝えると、彰も笑って頷いていたのだった。