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感情喪失  作者: 娑紅羅月
3/17

訪問者


4月20。身長諸々設定をアドバイスにより変更。アドバイス感謝です。



―――――コンコンコン



 ドアのノック音で莉彩は目を覚ます。


入室許可をしようと思った瞬間に、勝手に扉が開いたので訪問者に予想がついた。

莉彩はベッドから起き上がり訪問者を確認したところ、やはり予想通り。

莉彩が寝ているベッドを見つめ、口を開く

「暇そうだな」


普通、最初に挨拶をすることが常識だが、この男には常識はないんだろうな、と莉彩は思い返事をする

「そうですね、貴方も暇そうで・・・・・ついに仕事減りました?」

返した返事が、棒読みになるが両者は気にしなかった。

莉彩は縛っていた髪がほどけかけていたので、ゴムを外し、縛りなおす。


優真はフッ。と鼻で笑う

「いや、むしろ前よりも忙しいくらいだ、今はドラマ撮影が終わって2時間くらい休みをもらってる」

彼は得意げに言った。


 彼、山内優真は芸能人、俳優を仕事としている。

もちろん芸能人、ということでスタイルも顔も文句なしに良い。

それだけではなく演技力もずば抜けて良かったのだ、その実力はオーディションで、即受かれる位素晴らしいのものだった。

そしてドラマの主演や、映画に出たこともあり、莉沙も少し見たことがあった。


ちなみに年齢は23歳、莉彩の2歳年上だ。



「そうですか・・・・・・で、その休み時間にどうしてここへ来たんですか」

忙しいと言うくらいならここに来なければいい、と莉沙は思ったのだ。

すると彼は、スッ。と莉沙に袋を差し出した。

何が入っているのか警戒して、袋を受け取らずにいたら、優真がすかさず説明してくれる

「もうすぐ退院するとは思うが・・・・・常識だろ、見舞いだ」

「はぁ、有難うございます」

莉彩は袋を受け取った。


常識があるなら先に挨拶をしてはいることもして欲しいものだ。



彼は椅子に腰を掛けた。

まだ帰るつもりはないようだ。


「で、いつ頃退院するんだ?」

30秒程沈黙が続いた後、優真がそう聞いてきた。

莉彩は、縛り直した髪型を確認していて返事が遅れる。

髪型へのこだわりは日課だったため欠かせなかったのだ。


「明日か明後日だと思います」

莉彩は答えた。

それを聞いて彼は少し驚いた表情になった。

「・・・・・思ったより早いな。怪我はそんなに軽いのか」

思ったよりはとはどれ位を想像しているかは置いておき、今の莉沙を見れば大抵予想がつくだろう。

莉彩は頷いた。


「退院したらすぐ仕事通いか?」

「他にする事と言えば散歩または寝ること位ですし、むしろ今すぐ仕事させて欲しいくらいです」

莉沙は淡々と言う。


彼はそれを聞くと少し笑い、こう言った

「たくさん寝れば身長伸びるかもしれないな」

と。


以前の莉沙にとっての地雷だ。

今までいろんな人に身長が低いから「高校生?」とか最悪の場合「中学生?」とまで言われた時はついにキレた、そしてこう言ったのだった。

「未成年者ではありません!成人してます!!」と、心底大きな声で。


21歳の平均身長は158センチメートル、体重は49キロ。

一方、莉彩の身長は147センチメートル、体重が42キロ。

平均値よりも下であり、その上童顔っぽいというオマケ付だ。


そのせいで、小学校4年生のころから皆に「小さいね」と下級生扱い。

背の順は勿論不動の一番前。

最近は、かなり遅れての成長期か、3か月で3センチメートルも伸びて、以前ガッツポーズをしていた。

それでも、仕事仲間からは上から目線での「可愛い」だった。

要するに、莉彩は子供として見られることがあったのだ。



莉彩は口を開く

「そんなので身長が伸びていれば誰も苦労しないと思いますが?」

よく寝ること、そもそも莉彩は中学校3年生まで寝る時刻は9時より前だった。

しかしよく寝ても伸びないものは伸びない、という結論が出た。


 彼の方を見つめてながら莉彩は思う。

(相変わらず、身長高いな)


優真の身長は180センチメートル。

莉彩との身長差はおよそ30センチメートルもある。


「そうだな」

と返事が返ってきた。


 さらに彼は続けて話し出す

「親に連絡はしないのか?・・・・・確か今はニューヨークにいなかったか?」

覚えていたのか、と莉彩は一瞬思ったが、すぐに返事をした。

「大事には至らなかったし、あまり迷惑をかけたくないもので」


莉彩の両親は2人でニューヨークで仕事をしている。

本来は莉彩も行く予定だったが、直前にインフルエンザにかかってしまい、しばらく寝込んでしまったので断念したのだった。


「じゃあ、仕事仲間とかには何と言って説明するつもりだ」

「仕事場はここなので、このことはみんな知ってると思いますよ」

先程から質問攻めにされる。

(以前から彼はこんなによく喋る人種だったか・・・?)

莉彩は心の中で呟いたのだった。


「違う、こ・れ、の事だよ」

彼は胸をトントン。と叩いた。


それを見て莉彩は彼の言いたいことが理解できた。

一応莉彩は頭の回転は良いのだ。

莉彩は質問に答える

「直接言うのもアレなので、特定の人にメールで伝えておこうと思っています」

特定の人とは、友里と美香の事だ。

そもそも、それ以外の人とは連絡以外でメールをしたことがなかったのだ。

莉彩に返事に、彼は少し驚いた。

「隠すって、選択肢はないのか」

ため息交じりにそう言ってきた、莉彩にはなぜ隠す必要があるのか理解できなかった。



優真はスッ。と立ち上がり莉彩がいるベットに寄って、ベッドに腰を掛けた。

ミシッ。っと言う音が室内に響く。



「やっぱり前よりこっちの方が話しやすいな」

「は?」

彼が唐突に変なことを言ったので、莉彩は思わず聞き返してしまった。

ホストみたいなことを言われたので、莉彩はもしかしたら別人じゃないかと思っていた。


「別に変な意味じゃない」

とさらに付け足してきた、誰もそんなことは言ってないのに、だ。

今日の彼はどうかしてる。


「疲れてるんですか?」

と莉彩は彼に顔を近づけてそう聞いた。


 換気のため開けておいた窓から入ってくる風でカーテンが揺れる音が少しの間続くと、優真は「そうかもな」と言い、ベッドから立ち上がり、ドアに向かって歩いて行った。

「せっかく俺が持ってきたんだから、中身位見ておけよ?」

と言い残し、部屋から出て行ったのだった。



 優真が出て行って約5分、莉彩は彼にもらった物を開封しようとそれを手に取った。

案外大きいものだ・・・と思いながら莉彩は袋を開封する。

入っていたものを見た莉彩は一瞬固まった。


「・・・・これは」





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