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感情喪失  作者: 娑紅羅月
13/17

休み

更新遅くて申し訳ないです.....


話的にはそこまで重要ではないと思うので、登場人物だけでもさらっとお読みください。



「.....はい」

『あー莉彩久しぶり。元気してた?』

「うん、お母さんの方こそどう?」

『元気元気ー!』

莉彩の母親は元気に返事をした。対する莉彩は眠たいしだるいという状態。声も電話をする時は普段から小さい方だが、いつも以上に小さかった。


「今そっちはどうなの?」

『んー。12時だよ、ちなみに昼』

「そうじゃなくて、っていうか計算すればわかるし・・・・・仕事の方の話。もう慣れてる?ってこと」

『あぁ、そのことだったら大ちゃんがなんか仕事で成功したらしいの!それで、少し滞在が長くなるかもしれないって言ってた。でも慣れちゃえば楽しいもんよー、少しはこっちの言葉もしゃべれるようになったし、莉彩も来れば良かったのに!』

莉彩の母親は楽しそうにそう話す。

大ちゃんは大輔。莉彩の父親の名前だ。

「そうなんだ、良かったね。・・・・・こっちは特になんにもないから」

短めに話し終わった後に受話器から少し離れて我慢していた咳をした。


『そう言えば莉彩あんた・・・・・風邪ひいてるでしょう?その声と咳とか、花粉症じゃなさそうだし』

「うん」

『熱は?』

「測ってないよ」

莉彩がそう言うと、なぜか沈黙が訪れた。

電話越し(むこう)からバタバタと足音が聞こえた。

『莉彩!体調悪いのか?!』

母親とは別の人物の声を聞くなり音の大きさに耳が痛くなり、受話器を耳から少し離した。

「まあね」

『仕事は勿論休みにしろよ!』

『こ、声大きいわよ大ちゃん』

受話器から離れても十分すぎるくらいに聞こえて、母親から突っ込まれていた。母親の声が聞こえたということは、おそらく今現在莉彩が使っている電話とは違うものを使っているだろう。そうでなければお互いが密着しているか。間違いなくそれはないと思うが。


「.....わかったよ取りあえず明日になってから考える。父さん今夜中だし、もう寝るね」

普段は30分ほど通話をしていた気もしたが、時間も時間。さらに体の調子も良くないため莉彩は1分1秒でも早く寝たい気分になっていたためそれから数回ほど会話をしてから電話を切ってしまった。






そして寝る前に優真に一応気遣いでメールを送ってくれたのだから返さなければ、と思ったのか莉彩は携帯を開いて返信をする。



『ありがとうございます

できれば早めに受け取りたいので、明後日以降で一番最短で空いてる日を教えてください

私も仕事があるので正午か夜8時位が好ましいです』



いつも通り絵文字、顔文字のないメール内容を送信して、冷蔵庫から水を取り出し椅子に座ってそれを飲む。

ほんの少し前までは今すぐ寝たい、と思っていたが頭がボーっとしてそのまま椅子に座り込んでいた。




少し経つと、携帯がメールの受信を示した。莉彩は別の方を見て携帯を手探りで手に取りメールを確認した。


『明後日の午後8時にT駅のタクシー乗り場で集合な』


メールの内容を確認するなり『了解です』と4文字で返事を返した。

そして椅子から立ち上がって、眠りに落ちた―――





次の日、莉彩は携帯のアラーム音で目を覚ました。

昨日ほど体調が悪くはないが、それでもまだ体はだるい。

一瞬仕事に行こうかとも思ったが昨日のようなことがまた起こったらと思い事務長に連絡を入れる。

「..........ということなので、今日は休みます―――はい、では」

短く電話を終えると、莉彩はまたベッドに転がり込んだ。



ベッドに転がり込んでみたものの、驚くほどに眠気が来ない。数分位寝転んではいたが莉彩は立ち上がってお風呂へ向かった。寝ている間に汗をかいていたのだ。


服を脱いで、シャワーから出る水をお湯に設定して浴びる。



シャワーを浴びながら昨日のことをふと思い出すと、穂乃香に借りていた鍵を思い出した。

『返却は明日でいいですからぁ~』=明日には返却しろよ。とそう考えた莉彩は、シャワーを止めて服を着た。

ドライヤーで髪は乾かしたが、髪の毛は縛らずに鍵を持って部屋を出た。幸い鍵はタンスの中に予備が一本ある。




(そういえば、学校あるじゃないか?)

通路の曲がり角を曲がったところでそんなことを思っていると、運悪く同時に誰かが走ってきて来てぶつかってしまった。

「ご、ごめんなさい!大丈夫ですか?!」

ぶつかったのは女性で、莉彩よりも少なくとも10センチメートル以上身長が高く、後ろで髪を縛っている。


「大丈夫です」

莉彩がそう言うと、彼女はほっとしたのか頬を緩め、「良かったです、では」と言い残して行った。

莉彩もダメもとでも取りあえず行こうと同じく歩き出した。



穂乃香の部屋へ行くと、誰かと話していていた。服装的に学校はないようだ。

内容を聞いていると、男とけ喧嘩をしているのだと察しがついた。


「嫌って言ったら嫌なんですっ!」

穂乃香が一層大きな声で怒鳴ると男の方が小さく舌打ちした後に

「いいじゃん、減るもんじゃねぇのによ」

と呟いた。

穂乃香はその言葉はスルーして視線を別の場所にずらした。表情からしてこちらにも気が付いたようだ。

「あっ!りっちゃんじゃあないですか」

「うん、鍵返しに来たんだけど」

そう言って鍵を差し出すと穂乃香がそれを受け取り、元の場所に戻しに奥の方へ向かっていった。

莉彩は自分の部屋へ戻ろうと一歩踏み出したが後ろから手をつかまれた。振り向けば喧嘩相手の男の顔が。


「あんた、2-Bの篠原美咲って知ってるか?」

「知りません」

莉彩は男が訪ねてきた質問に対して、即答した。どうやら彼は莉彩の事を高校生だと勘違いをしている。


「身長がこれくらいで髪が後ろひとつ縛りの女だ」

彼は手で身長を示した。莉彩と10センチメートルほど違い、さらにひとつ縛りと言えば、今さっきぶつかった女性とバッチリ重なった。

「髪の毛が少し茶色っぽいですか?」

「.....!ああ、そうだ、どこで見た?!」


「りっちゃん!その男とは喋らない方がいいですよぉ、馬ッ鹿が移ります!」

奥から戻ってきた穂乃香が莉彩が答える前にそう言い放った。

邪魔をされたからなのか男は再度舌打ちをした。


「大体、勘違いされるような行動をとる貴方が悪いんですし」

「だから誤解を解こうと思ってお前の所に来てるんだろ!」

怒鳴る男に穂乃香はひるむことなく睨みつけている。


「りっちゃん。大人の意見としてどう思いますかぁ?」

もう部屋に帰ろうと思っているところで、呼び止められた莉彩は、「何の意見を?」と聞き返した。


「簡単に言うとぉ・・・・・付き合っている2人がいてぇ、男が二股しているのを女に目撃されて元から音信不通で言い訳が、別に二股はかけてなかったと言いたいらしく、穂乃香に連絡先を聞いてくるんですよー。答える義理はないと思いませんかぁ?」

つまりは男の方が今目の前にいる彼で、女の方が『美咲』だろう。だが莉彩は先程の彼女の顔を思い出すと、全く傷ついてる表情はなかったなぁと思った。

ついでに言うと彼は大人なのかと言いたげな顔をしていた。

「自力で探せばどうですか、彼女は別に何とも思ってないかもしれませんよ?」

「そうですよぉ、そこでまた女を頼る時点で終わってんだよ!」

最後の口調が変わって、吐き捨てるように言った穂乃香を見て、男は驚いた表情をした。


「悪い」

そう言い残して男がその場から消えて行った。

「本当にむかつきますねぇ・・・・・」


と言う穂乃香の独り言を聞いた後に、莉彩もその場を去った。








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