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感情喪失  作者: 娑紅羅月
12/17

忘れ物


5/9(水)名前の食い違いを修正しました。

他話もちょくちょく直していきますが、間違っている場所がありましたらご指摘ください。今回も連絡感謝です!





「.....ん」

莉彩は体のダルさに目を覚ました。



目元にかかっている髪が気になり頭を揺らすと額に乗っかっていた冷たいものが落ち、それを求めて手を伸ばした。



莉彩は手に取った物を首へ持っていくと、ヒンヤリとしていてとても気持ちが良かった。

何時いつの間に家に帰ってきたのだろうか。と思ったたが、頭を軽く回して部屋を見回すとここは莉彩の部屋ではないようだ。莉彩の住んでいるマンションとは比べ物にならないくらい豪華な場所だ。だがホテルというには何かといろいろ足りないような気がした。


莉彩は今度は上半身を起こして周りを見渡すと、小さい電気を置いてソファーで本を読んでいる人と目があった。

彼は本を置いて立ち上がり、莉彩の座っているベットへ近づいてくる。


「起きたか」

当然今の莉彩を見ればわかることだったので、返事はしない。

「ここってどこですか?」

莉彩は間を開けずにすぐそう言っていると、部屋全体が薄暗かったのか、彼が電気をつけてくれる。


「.....俺の家」

少し間を置いてそう言われて、心の中で莉彩は納得した道理でほとんどのホテルにある電話やらタンスがないわけだ。

(でも私はどうしてここにいる?)

昨日、彼と桜を見に行った。と言う所までは覚えていたが、そこから先の記憶がなかったのだ。莉彩は先程の疑問を口にした。


「.....お前、自分が高熱だったってこと知ってたか?いきなり体が傾いて池に落ちるかと思ったぞ。その後、何回も起こしてみても一向に起きる気配もなかったからとりあえず俺の家に連れてきたって訳だ」

彼は少し呆れた顔でそう言った。

「家に送ってくれても良かったんですか?」

莉彩は【送ってくれる】を前提に話が進めている。優真も気にすることはなく話を続けた。

「部屋番号は知らないからな」

「起こしてくれても良かったと思うのですが?」

「起きなかったって言ってるだろ?・・・・・というかそもそも何でそこまで自分の家に帰りたいんだ?」

「.....親から家の固定電話で通話をする予定になっていたはずなんですが。というか今何時ですか?」

莉彩は大まかに事情を説明して、時計を探すために部屋を見回す。が時計は見当たらなかった。

優真が携帯電話を開く。

「1時8分だ」

「昼ですか?」

「まさか、夜に決まっているだろう・・・・・そういえば携帯が鳴っていたぞ」

優真がそう言うと、莉彩はベッドから降りてすぐ近くにの机の上にある自分のカバンを開いて携帯を探す。携帯を探しているとき邪魔なものは机に置いた。


携帯を開くと、相手は友里だった。莉彩はメールを開封する。

『莉彩の机の上に、財布置いてあったよ?

一応机の3番目に突っ込んでおいたからね』

メールを見て始めて莉彩は財布がないことに気が付いた。


(帰れないじゃん)

今自分がいる場所を知らない。タクシーはおろか財布の中に定期券を入れている莉彩は帰る術がないということになる。だが結構過保護な親だ。電話をしておかないと非常にまずいような気がする。実際、以前も不味かった。



「取りあえず帰ります」

結論だけを述べた莉彩に優真は何故か一瞬驚いた顔をした。

「熱はないのか?」

「分かりません」

「それもそうか・・・・俺の家(ここ)には体温計を置いていないからな」

優真は莉彩に一歩、二歩と近づいて「動くなよ」と言われたので莉彩は小さく頷いた。






「.....何しているんですか」

「体温計無いんだよ」

「知ってますよ、別に測る必要はないでしょう?特にこんな方法でって」

現在優真は、莉沙の額に自分の額を合わせている。


莉彩は「動くな」と言われていたがすぐに身を引いた。

「結構熱いぞ」

「別に特に以上はないですけど」

本当は頭がぼーっとしていてたまに痛みがあったりするのだが面倒なので莉彩はそこで話を切った。

優真は少し莉彩から離れると、椅子を引っ張り出してそれに座った。


「どうやって帰る?」

優真にそう言われて、莉彩は考えていた案の1番手っ取り早い方法を考えそれの結論を話す

「優真さんが送ってくれればいいんじゃないですか」

「今をトキメク有名人に飲酒運転をしろと?」

優真が自分で普通言うなよ。ということを真顔でいうが、あながち嘘ではないので莉彩は「今をトキメク」という部分はスルーした。

「なんでお酒入ってるんですか」

「.....自分の家に居るんだから構わないだろ」

「それは否定しませんが。では私の家と近いですか?」


「いや」と彼は首を横に振った。莉彩は仕方ない。と言い1番面倒な方法を選んだ。



「.....お金貸してください」

「は?」

「タクシーに乗りますから。勿論、お金は返します」

莉彩は当然。と言った雰囲気でそう話した。


一瞬不思議そうな顔をした優真だったが、すぐに元に戻り頭を縦に振った。

「ありがとうございます」

と言い莉彩は早速帰ろうと鞄を取り立ち上がった。


「これで足りるだろ」

「ありがとうございます」

優真は2千円札を莉沙に渡した。


(あ、2千円札久しぶりに見た)

と莉沙はそう思った。





(あれ?おかしい)

自分の家の前で莉沙は鞄を漁っていた。


鍵が見当たらないのだ。

莉彩は頭をフル回転して鍵のありかを探る。と、優真の家にいたときに適当に荷物を出したのを思い出す。

あの中に含まれていたものは。

コスメポーチ

スケジュール帳

筆記用具

それと



鍵だ。

鞄の中を探ってみても、それらは見当たらない。間違いなく優真の家に忘れたのだろう。

携帯を開き時刻を見れば午前2時少し前だった。


(仕方ないな)

と心の中で呟き莉彩はその場から立ち去った。




「穂乃香ちゃん」

莉彩はマンションの管理人の娘―――神崎穂乃香に会いに来た。

高校2年生、顔は莉彩と同じ童顔っぽく、さらにツインテールという完璧にかわいい系 (ロリータ)だ。

彼女は管理室でソファーに寝転がりながらテレビを見ながら何やらお菓子を食べているようだ。


「あ、りっちゃんじゃないですかぁ~どしたんですかぁ~?」

莉彩の存在に気が付いた穂乃香は立ち上がってこちらに寄ってくる。

今が深夜、と考えればおかしいことだらけだが莉彩は気にせずに伝えたいことだけを伝える。

「私の部屋の鍵貸してくれる?」

「おやおやぁ?なくしたんでしかぁ?」

「知人の家に忘れたの」

「あーそうなんですかぁ・・・・・本当は色々ちゃんと聞かないといけないんですけどぉーりっちゃんなら特別に今すぐ渡しちゃいますぅ!ちょぉっと待っててくださいぃ」

(あんたが面倒なだけだからだと思うけど)


のそのそと奥に消えて行った穂乃香を見た後、部屋をぐるりと見回すとずいぶん穂乃香に浸食されてるなぁ。と莉彩は思った。マンガとDVDの山にパッと見なければ気づかないような場所にポスターが貼ってあったりするのだ。さらに今ついているテレビは深夜アニメだ。



これ知ってる。と思いながら莉彩はテレビを見ていると、穂乃香が鍵を持って戻ってきた。

「どうぞぉ」

「有難う」

「返却は明日でいいですからぁ~」

鍵を受け取ると莉彩は早速自分の部屋に帰った。


時計を見れば電話がかかってくるであろう予想時刻の20分前。

莉彩は何とか間に合ったな、と思いながらベッドに転がる。頭痛がしたのだ。

このまま転がっていれば眠ってしまいそうな気がしたのでふら、と立ち上がって冷蔵庫からスポーツドリンクを取り出してそれを飲む。


することもないから莉彩は先ほど穂乃香が見ていたアニメを見ようかとリモコンに手を伸ばそうとしたが、携帯にメールが届いた。相手は優真だ。


『色々忘れてる。鍵もあったが』


どうやら気が付いてメールをしてくれたようだ。


知っています。と返信しようと打ち出したが不意に電話が鳴る。

莉彩は携帯を机の上に置き、電話に出た。





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