第4話 初敗北
夜。
前線拠点の医療テント。
消毒薬の匂い。
ライトの白い光。
亮は、
簡易ベッドに
座っていた。
肩と腹に、
包帯。
「……情けないな」
自嘲気味に、
呟く。
桜庭源次が、
向かいに立つ。
「生きているだけで、
上出来だ」
「Sランク部隊が、
全滅している」
亮は、
視線を落とす。
「俺が、
止められなかった」
翌日。
別の都市。
勇者狩り部隊が、
再び出現。
亮は、
強行出撃した。
桜庭の制止を、
聞かなかった。
「今度こそ、
叩く」
廃高速道路。
瓦礫の山。
亮は、
単独で進む。
気配。
来る。
六体。
前回と同じ。
亮は、
深く息を吸う。
「……集中」
先手。
一体を、
瞬殺。
二体目。
斬る。
三体目。
魔法障壁。
剣が、
弾かれる。
背後から、
衝撃。
亮は、
吹き飛ぶ。
地面に、
叩きつけられる。
立ち上がる。
視界が、
揺れる。
「……まだだ」
四体同時。
囲まれる。
連続攻撃。
防げない。
斬られる。
殴られる。
貫かれる。
膝が、
折れる。
頭に、
浮かぶ。
異世界。
仲間が、
死んだ場面。
「……また、
守れないのか」
仮面の一体が、
近づく。
剣を、
振り上げる。
亮は、
動けない。
――終わる。
そう、
思った瞬間。
遠距離砲撃。
魔法弾が、
直撃。
仮面が、
吹き飛ぶ。
「退避!」
探索者部隊が、
なだれ込む。
煙幕。
勇者狩り部隊は、
撤退。
医療テント。
亮は、
ベッドで
天井を見る。
全身が、
痛い。
だが。
それ以上に、
胸が痛い。
「……俺は、
最強じゃない」
当たり前の事実。
だが、
受け入れたくなかった。
外。
あみが、
立っていた。
亮は、
目を逸らす。
「……見るな」
あみは、
首を振る。
「見る」
「負けたお兄ちゃんも、
お兄ちゃんだから」
亮は、
黙る。
「一人で、
背負わないで」
「私も、
一緒に強くなる」
亮は、
拳を握る。
涙が、
にじむ。
「……ああ」
負けた。
だが。
終わりではない。
ここから、
だ。




