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第2話 妹の決意

 


 朝。


 


 テレビは、

 どの局も

 同じ映像を流していた。


 


 燃える街。


 


 逃げ惑う人々。


 


 崩れるビル。


 


 


 アナウンサーの声が、

 震えている。


 


 


『各地で

 魔物の侵攻が続いています』


 


『政府は、

 全国に非常事態宣言を――』


 


 


 あみは、

 ソファに座ったまま、

 画面を見つめていた。


 


 


 昨日。


 


 亮は、

 帰ってきていない。


 


 


 スマホを握る。


 


 


 既読は、

 つかない。


 


 


「……無事、だよね」


 


 


 呟く。


 


 


 だが。


 


 


 不安は、

 消えない。


 


 


 あみは、

 立ち上がる。


 


 


「……行こう」


 


 


 クローゼットから、

 装備を取り出す。


 


 


 Dランク用の、

 軽装防具。


 


 


 短剣。


 


 


 初心者向けの

 魔力補助リング。


 


 


 弱い。


 


 


 それは、

 自分でも分かっている。


 


 


 それでも。


 


 


「何もしないで、

 待つだけは、

 嫌」


 


 


 


 探索者ギルド支部。


 


 


 普段の何倍もの

 人。


 


 


 怒号。


 


 


 泣き声。


 


 


 受付カウンターの

 前に並ぶ。


 


 


「後方支援、

 志願します」


 


 


 あみは、

 松岡優子に言った。


 


 


 松岡は、

 あみを見る。


 


 


「葛城あみさん……」


 


 


 端末を確認。


 


 


「Dランクです」


 


 


「分かっています」


 


 


 あみは、

 視線を逸らさない。


 


 


「それでも、

 行きます」


 


 


 松岡は、

 少し黙る。


 


 


「お兄さんは、

 知っていますか」


 


 


「……いいえ」


 


 


 松岡は、

 ため息をつく。


 


 


「正直に言います」


 


 


「前線は、

 死にます」


 


 


「それでも?」


 


 


 


「はい」


 


 


 声が、

 震えない。


 


 


 松岡は、

 桜庭の方を見る。


 


 


 桜庭は、

 腕を組んだまま、

 頷く。


 


 


「後方医療班に回せ」


 


 


 


 簡易医療テント。


 


 


 負傷者が、

 次々と運び込まれる。


 


 


 血。


 


 


 うめき声。


 


 


 悲鳴。


 


 


 あみは、

 吐きそうになる。


 


 


 だが。


 


 


 逃げない。


 


 


「回復ポーション!」


 


 


「包帯!」


 


 


 指示に、

 必死に応える。


 


 


 手が、

 震える。


 


 


 ポーションを、

 こぼす。


 


 


「……ごめんなさい」


 


 


 医療員が、

 首を振る。


 


 


「いいから、

 次!」


 


 


 あみは、

 唇を噛む。


 


 


「私……

 弱い」


 


 


 分かっている。


 


 


 だからこそ。


 


 


「せめて、

 邪魔にならない」


 


 


 


 数時間後。


 


 


 搬送されてきた

 担架。


 


 


 血まみれの男。


 


 


 フード。


 


 


「……お兄ちゃん」


 


 


 あみは、

 走る。


 


 


 亮は、

 意識がある。


 


 


「……あみ?」


 


 


「なんで、

 来たの!」


 


 


 あみの声が、

 裏返る。


 


 


「家にいろって……」


 


 


「嫌だよ!」


 


 


 涙が、

 溢れる。


 


 


「お兄ちゃんだけ、

 戦うなんて……」


 


 


「私も、

 一緒に戦う」


 


 


 亮は、

 天井を見る。


 


 


「……バカ」


 


 


「死ぬぞ」


 


 


「それでも」


 


 


 あみは、

 睨む。


 


 


「一人にしない」


 


 


 亮は、

 何も言えなかった。


 


 


 しばらくして。


 


 


 亮は、

 起き上がる。


 


 


「後方支援だけだ」


 


 


「約束しろ」


 


 


 あみは、

 頷く。


 


 


「約束する」


 


 


 だが。


 


 


 胸の奥で。


 


 


 あみは、

 誓った。


 


 


 ――もっと、

 強くなる。


 


 


 守られるだけの

 存在には、

 ならない。


 


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