5,新しい投稿とコメントのやり取りと頭の中がササジンでいっぱいな僕
午前中にスーパーに行って、惣菜や果物、その他モロモロと、店内で焼いているパンを買って、それを昼ご飯にすることにして、エコバッグを肩にかけて、ぶらぶらと歩いて帰る。
いつもの癖で空を見上げたら、雲がいい感じだったので、やっぱり写真を撮ろうとスマホを手に取る。
写真もいい感じに撮れたので、せっかくだから、その場で投稿し、結局は、またササジンのページを見に行ってしまった。すると。
ほんの数分前に新しく投稿されている。
―― 昨日の会社の飲み会で二日酔い。頭痛い。
えっ、えっ、それは大変だっ。僕は思わず書き込んだ。
―― 大丈夫ですか?
送信ボタンをタップしてから、頭が痛いって言っているんだから大丈夫じゃないに決まっているのに、ものすごくしょーもないことを書いてしまったと後悔したのだけれど、なんと、すぐに返信があった。
―― ありがとうございます。今、空っぽさんの空の写真を見て癒されているところです。
えーっ、マジか。う……うれし過ぎる。僕は思わず身悶えしそうになって、スーパーの帰りの路上にいることを思い出した。
とりあえず、道路の脇によって、さらに書き込む。
―― こちらこそありがとうございます。すごくうれしいですけど、スマホ見てると余計に頭が痛くなっちゃうかも。
大きなお世話のような気もするし、こんなことを書き込んだらムッとされるかなあとも思ったのだけれど、僕の正直な気持ちだ。そういうときは、目を閉じて安静にしていたほうがいいのではないかと思う。
これで終わりかと思ったら、ササジンからも、さらに返信が来た。
―― 優しいですね。お言葉に従って、一休みして、体調が回復してから、またゆっくり拝見します。
えーっ、えーっ、マジかマジかマジなのかっ。この僕が優しいって!?
うれしすぎて死にそうだ。いや死なないけど。
本心では、さらに返したいところだけれど、しつこいやつだと思われたくない。それに、何度もスマホに向かって文字を打つのは、頭痛のときには辛いだろう。
僕は、ぐっとこらえて、ササジンのコメントに「いいね」をしてスマホを閉じた。
僕の横を、サラリーマン風の男性が、駅方面に向かって歩いて行った。
いつまでもこんなところに突っ立ってスマホをいじっていては、通行のじゃまになってしまう。早く帰ろう。
マンションに着いて、エレベーターを待っているところまでは我慢していたのだけれど、誰もいないエレベーターに乗り込んだ途端に、僕はニヤニヤしてしまう。防犯カメラに映ってしまうなあと思いながら、うつむいて、やっぱりにニヤニヤしてしまう。
だって、ササジンといっぱいやり取りしてしまった。僕の写真を見て癒されているって、僕のこと、優しいって。
ああ、うれしい……。
だけど、二日酔い、大丈夫かな。会社の飲み会か。サラリーマンは大変だな。
じゃあ、さっきはベッドでスマホを見ていたんだろうか。いや、もしかしたら床に布団を敷いて寝ているのかも。
やっぱり一人暮らしなんだろうか。着ているのは、パジャマか、それともスウェット?
ああもう、頭の中がササジンでいっぱいだ。
チーズフランセと焼きカレーパンとチョココロネ、それにプチトマトのカプレーゼでお昼にした後は、トイレとバスルーム、及び洗面台の掃除をした。
水回りは、住んでいる限り、どうしても使わないわけにはいかないけれど、水垢やカビなど、やっかいな汚れがたまりやすい場所でもある。
だから、いつ叔父さんが帰って来てもあせることがないよう、掃除にはかなりこだわっているのだ。お掃除グッズもいろいろ駆使して気合いを入れて掃除する。
すっかりきれいになった頃には汗だくになっていたので、ついでにシャワーを浴びると、もう夕方だった。