3,まさかのフォロバと「いいね」とコメント
夕食は、昼にコンビニでヤンニョムチキン弁当と一緒に買ったほろほろチキンカレーと、母にいつも野菜を摂りなさいと言われているのでグリーンサラダ(大)にした。
チキンカレーをレンジで温め、冷蔵庫からペットボトルのお茶を出して、自分の部屋に持って行く。家具や床をを汚したりしないよう、基本、自分の部屋を中心に生活しているのだ。
ヤンニョムチキン、チキンカレーとスパイシーで濃いものが続いて、ちょっと失敗したと思った。偶然だが、なぜかどっちもチキンだし。
明日は和食か、何かさっぱりしたものにしよう。そう思いながら、キッチンで後片付けをして、シャワーを浴びるためにバスルームに向かう。
シャワーを浴びた後、部屋に戻ってドライヤーで髪を乾かしてからスマホを見ると、SNSの通知が来ていた。反射的に開くと……。
ササジンが、僕をフォローしてくれていた。フォローバックだけならば、ただの儀礼的なものかもしれないけれど、いくつかの「いいね」とともに、昼過ぎに投稿した画像にコメントが書き込まれている。
―― どれも素敵な写真ですね。更新を楽しみにしています。
えっ? えっ? マジかーっ!? 僕は、スマホを握りしめたまま、ベッドに崩れ落ちた。
ササジンが、僕にコメントをくれた。「どれも素敵な写真ですね」と、「更新を楽しみにしています」と。
マジか? マジか? マジなのか!? う、うれしすぎる……。
もちろん、それだって儀礼的なものかもしれないけれど、それにしたって、僕のフォローなんて別にスルーしてもよかったのだ。
それをわざわざここまでしてくれたのだから、うれしがってもかまわないだろう。だって、ササジンがっ!!!
しばしベッドの上で喜びに悶えた後、僕は我に返る。そうだ。コメントにレスしなければ。
なんて書けばいい? それによって、今後の展開が違ってくるかもしれない。
ここは好感を持たれるような、この先も交流できるような、けれどもあまりなれなれしくならないようなコメントを返さなければ……。
さんざん考えた後、僕は慎重に文字を打ち込んだ。緊張のあまり、ちょっと手が震える。
―― コメントありがとうございます。フォロバもありがとうございます。
写真を見ていただけてうれしいです。僕もササジンさんの更新を楽しみにしています。
「ありがとうございます」二つはくどいような気もしたけれど、迷った末に、やっぱり二つで行くことにした。どっちもそれぞれに、すごくうれしいからだ。
あふれる思いはいろいろあるが、それを書いて引かれたくない。削りに削ってここまでシンプルにしたので、これ以上は削れない。
何度も読み返して、よし、これでいこうと決めて、気合いを入れてタップした。
送信した後は、すっかり疲れ切ってぐったりしてしまったけれど、胸がドキドキして、頭の中がササジンでいっぱいで、僕はベッドに寝転がったまま、アホみたいに天井を見つめ続けた。
SNSで見かけただけの人に、フォロバされてコメントをもらったくらいで、こんな気持ちになるなんて、我ながら大丈夫かと思う。こんなことで、いちいち興奮していては身が持たない。
これは多分、僕があまりにも孤独でヒマなせいだ。それはそうなのだけれど、別にササジンと付き合おうと思っているわけじゃないし、SNSを楽しみにするくらい、まあいいかとも思う。
誰かに迷惑をかけるわけじゃないし、とにかく楽しみがあるというのはいいことだ。うん、そうだ。
これも多分、ヒマなせいだと思うし、もともとの性分でもあるのだけれど、僕は何かと考え過ぎる傾向があるのだ。それで自滅することも、過去に多々あった。
学校に行けなくなったのも、そんな感じだ。でも、さすがにSNSくらいで自滅なんてあり得ないし、そうならないよう、冷静に冷静に……。
そうは言いつつ、その夜は、ずっとササジンのことを考えながら、いつの間にか眠りについた。




