蛇足 徳の話2
そういえば、【三国志 別伝 香りたつ甄夫人の手紙と 安郷侯 曹植の慟哭 後編】に五行の「徳」について書いた記憶がうっすらと・・・
そこでは、五行の相生関係について書いた記憶がある。
今日は、五行の相克関係にも触れてみよう。
かなり、面倒だけど・・・
◆ ◆ ◆ 五行説 ◆ ◆ ◆
土徳・木徳・金徳・火徳・水徳の五行の循環による「徳」が、五行説の徳だ。
易姓革命は、この徳の交代劇である。
王朝も、五行のいずれかの徳を持って、循環するのである。
徳を失った現在の王朝に天が見切りをつけ、これを悟った天子が、自ら位を譲るのが【禅譲】であり、天に見放された偽帝が、武力によって追放されることを【放伐】という。
長かった漢王朝の徳は、途中で色々と変遷した。
歴史的に、理屈のこじつけが、まだきちんと出来ていなかったのだ。
「黄帝」→「夏」→「殷(商)」→「周」→春秋戦国
→「秦・始皇帝」→「1漢・劉邦」→
「2漢・武帝」→「3王莽」→「4後漢・光武帝」→
【中華、帝国の順番】
1.「劉邦」は、【水】徳。(漢1)
2.前漢の「武帝」は、【土】徳。(漢2)
3.前漢末、「王莽」【土】徳をはさんで・・・
4.その後の「光武帝」からは、【火】徳。(漢4)
まず、【周王朝】は、【火徳】である。
五行の【相克】関係で、「水は火を消す」より・・・
秦王朝は、水徳。なのだが、劉邦は、始皇帝の秦は、偽物の王朝なので認めない。
よって、始皇帝は、無かったことになった。
なので【漢王朝】は、【水徳】と言い張った。
言ったのは、劉邦じゃなくて、家臣だけどね!
【漢王朝】は、【水徳】のはずだったけど、【黄帝】が、【土徳】であることをいいなぁって、思った人がいた。
漢の武帝である。
うん。「景帝のお子ちゃま」だ。
武帝は、帝国の最大版図を築いた「漢帝国の祖」として、自らが【土徳】であると改変した。
武帝は、かっこいい【黄帝】と、同じが良かったのだ。
よって【武帝以降の漢】は、【土徳】である。
この物語でいっぱい語った景帝の子孫が・・・うんぬんの根拠の1つは、ここである。
その後、続いた漢王朝も、王莽への禅譲で途絶える。
王莽は、五行の【相「克」関係】を使わなかった。
禅譲であるからだ。
打ち克つのではダメ。
打ち勝った【放伐】じゃなくて、自ら位を譲る【禅譲】が行われたのだ。
劉歆さんって人が、アイディアを出した。
じゃぁ【相「生」関係】で、行きましょう!
ってことで、まず、【王莽】も、【土徳】にした。
「【黄帝】が【土徳】だから、【自分】も【土徳】がいい!」
武帝と一緒・・・わがままなお子ちゃまであった。
五行の相生関係で、
「火が燃えると、灰になって、土が生じる」
「【王莽】は【土徳】ってことに決定したので、じゃぁ【漢王朝】は【火徳】になるよね。」って変更した。
こうして【劉邦の漢王朝】は【水徳】【武帝以降の漢】は【土徳】とかいう面倒な話は、消しゴムマジックされた。
【漢王朝】は、【火徳】となったのだ。
劉邦は、赤龍の子となった。(火徳は、赤色)
その後に起こったの「赤眉の乱」は、王莽を倒す戦い。
よって、【火徳】の象徴、眉毛を【赤】く塗って戦った。
赤色の火徳は、劉邦の漢王朝なので、漢の復活を目指したのだ。
この乱を、なんだかんだで光武帝が、鎮圧する。
後漢の誕生である。
そうして、【漢王朝】は【火徳】なので、「連続した王朝」である【後漢】も【火徳】となった。
「漢王朝・劉邦」→「新王朝・王莽」→「後漢王朝・光武帝」
ではなく、
「『漢王朝』劉邦→→→→→光武帝」
という形の、連続した漢王朝という認識なのだ。
◆ ◆ ◆ 黄巾の乱 ◆ ◆ ◆
王莽以降は、禅譲するには、打ち克つのではダメなので【相生関係】で、行くことになった。
さて、ここですごく気になることがある。
それは、黄巾の乱のスローガンだ。
「蒼天已死 黄天當立 歳在甲子 天下大吉」
「蒼天」已に死す、「黄天」がまさに立つ・・・
【漢王朝】は、【火徳】である。
五行の相生関係で、
「火が燃えると、灰になって、土が生じる」
より、【土徳】の【黄色】の「【黄】天がまさに立つ」のは、良い。
「黄巾」・・・黄色い頭巾を頭に巻いて、反乱を起こすのは、「赤眉」同様に、理に適っている。
じゃぁ、「【蒼】天已に死す」は???
【青】は、【木徳】である。
【蒼天】・・・正直、違和感しかない。
木(青)→土(黄)への移行は、五行の「相生関係」を満たさない。
そもそも、漢は、火徳(赤)であり、木徳(青)ではない。
劉邦の水徳(黒)、武帝の土徳(黄)とも、矛盾している。
ということで・・・
黄巾の乱は、その「スローガンからして間違っていた」ため、五行の易姓革命的「徳」の部分から見て「張角への禅譲は起こらず失敗する」ことが運命づけられていたといえる。
◆ ◆ ◆ 相克?相生?関係 ◆ ◆ ◆
【相克】は、相手側を損なう 五角形をした、じゃんけんの関係
【木】は【土】から栄養を吸収する。
【土】は【水】をせき止める。
【水】は【火】を消失させる。
【火】は【金】を溶かす。
【金】は【木】を断つ。
【相生】とは、相手を産み育てる関係
【木】が燃えて【火】がおきる。
【火】燃え、灰が【土】となる。
【土】中より、【金】が溢れる。
【金】脈より、【水】が湧く。
【水】は、【木】を育てる。
◆ ◆ ◆ おまけ ◆ ◆ ◆
【2025年の運勢】2025年2月の節分以降に有効