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ロイの冒険記  作者: DAT
9/16

神域戦争

「……フェンリルだ」


実物は見たことない。だが、僕の直感がそう告げている。昔父さんの貰ってきた本で読んだことがある。


神域戦争(後編)という本だ。前編がなかったため、あまり好きではなかったが、内容は覚えている。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


神域戦争(後編)

約千年前、五つの大陸は一つの大陸でした。

そこには多種多様な種族と神が平和に暮らしていました。

しかしある時、膨大な力を持った魔王が生まれ、世界を征服しようと試みました。

人々は故郷を追われ、大地は枯れ果て、最後には豊かな土地と食料を求めて魔王と関係のない種族同士で争い始めました。


この様子を見ていた神はひどく嘆きました。

そして、この大陸の真ん中に巨大な雷を落とし、大陸を五つに分けました。

このおかげで、種族間の争いを収めることができました。


しかし大地は枯れ果てており、ここアルカディアの人々は困窮しました。

その時、神々しい光と共に、四匹の神の使いが現れました。


神狼 フェンリル

神蛇 ヨルムンガンド

神馬 スレイプニル

神鷲 グリフォン


彼らは周囲の大地を瞬く間に緑に変え、人々の不安を解消しました。

そして役目を終えた神獣たちは力を使い果たし、人々が立ち寄れない遥か深く遠い場所に姿を消しました。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「貴様らか?我をここに連れてきたのは。」


上からギロリと睨みつけられる。攻撃的だったホワイトウルフも、フェンリルの言葉に反応し、フェンリルの足元に集合した。


「親父!キアナ!」


バースが叫び駆け寄った。周囲を見ると、ゴートとキアナは傷だらけで倒れている。一刻を争う状態だ。


「今は我が聞いておる!!」

フェンリルが巨大な尻尾を振り、駆け寄っていたバースに直撃した。バースは木に打ち付けられ、思いっきり血反吐を吐いた。


「まあ聞かずとも分かるがな。そこの小僧、お前だろう。我をここに呼び出したのは。」


ドクン…ドクン…ドクン…

はぁはぁはぁ……だめだ。何言ってるんだ。訳がわからない。ゴートは?キアナは?バースは?無事なのか?わからない。分からない分からない分からない分からない分からない分からない………


「ロイ!集中しろ!相手をよく見るんだ!!」


ドクン…ドクン…ドクン…

パラモス?そうだ。パラモスがいる。でもだから何ができる。死ぬのか?ここで?冒険もせずに?こんなあっさり?


「パルテナの書か…!なぜこんなところに…!」


「……ロ…イ……、に…げ………ろ……。」


消えかかった声で、ゴートが僕に声をかける。

そうだ。犠牲を出しても逃げなきゃ。教わったじゃないか。このことを知らせるんだ。そうだ。それが正しい。


「まだそんな体力があるか。やれ。」


そういうと、一匹のホワイトウルフが、ゴートの左腕を噛みちぎった。空中に舞う血しぶき。


ドクン…ドクン…ドクン…

仲間が殺される。僕の前からいなくなる。みんな……みんないなくなっちゃう……


ドックン!

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