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ロイの冒険記  作者: DAT
12/16

パラモス

あの後、無事見つけてもらうことができ、マテラ先生はバースを、キアナは僕を治療してくれた。

キアナは、ほっぺを丸く膨らませながら、僕の傷口を叩いてきた。自分が除け者にされたようで嫌なのだという。


勝手に家を出て学校の裏庭で喧嘩をしていたと、周りの大人に説明して大目玉をくらった。

母さんからもこっぴどく怒られ、一週間の外出禁止を言い渡された。まだ完治してないのに外出した罰だ。




フェンリルの騒動で学校も休みだし、やることがない。

それに筋肉痛もまだ治ってない。治せる回復魔法もあるらしいが、マテラ先生もキアナも覚えていないという。…まあマテラ先生は本当かどうかあやしい顔をしていたが……。


そのためベットからも出られない。明日には治っているだろうが、今日はずっと寝たきり……。暇だ。


こんな時は魔力操作の特訓だ。いつも通り身体中に巡らせて……あれ?

いつもと感覚が違う。今までは流れる小川のような、緩やかな流れだったのに、今はかなり激しい。

魔力を流しやすい!こんな感覚初めてだ!

もしかしてフェンリルと対峙した時にキアナが言ってた、白くピカピカ?したのが原因かな?分からない。


それに体が軽い。なんだろう。重力を感じないような、まるで肉体を持っていないと錯覚するレベルで、軽い。

試しにベットから出てみる。さっきまで感じていた筋肉痛が嘘のように感じない。


もしかして魔力操作で回復効果があるのか?でもそんな話、パラモスからも聞いたことがない。


パラモス……


ふとパラモスを手に取る。確信があったわけじゃない。ただなんとなく、今の自分ならできるんじゃないかと、そう疑問が湧いたからだ。

今の全力の魔力をパラモスに流した。全力で流した魔力が、パラモスを通じて僕に帰ってくる。それを受け止めて、さらに強い威力でパラモスに送り返す。

徐々に体が熱くなってくる。心臓の鼓動も早くなってきた。ここまできたらもう自分では止められない。無理矢理止めたら自分ごと爆発しそうだ。


もう、なるようになれっ!!


そう願い、魔力を注いだ。すると、体全体が輝き始めた。まるで体全体が白いベールに包まれたような、そんか感覚がある。


すると、パラモスの書の魔法陣が金色に光出した!

自ら勝手にページがパラパラとめくれていく。僕の手から勝手に魔力が吸い取られていく……!


ずきっ!!


頭に激痛が走った。反射的に目を閉じる。そして目を開けた時、手に持っていたはずのパラモスがいない……。


「おい!もっと大事に扱ってくれよ、結構繊細なんだぜ?」


ふと声が聞こえる。懐かしい、このセリフ。足元からだ。

ぷかぷかと浮かんでくる。魔法陣がかかれた灰色の魔導書。偉そうな口調。間違いない。


「今度は気絶せずに済んだか。少しは成長したみたいだな。」


「パラモス!!!」


咄嗟に抱きついた。ほんとに死んじゃったかと思った。


「おいおい暑苦しいぜ。俺は湿気に弱いんだよ。」


「うるさいなぁ。ずっと海岸にいたくせに。」


この生意気な口調。なんか一緒にいて落ち着くんだよなぁ。



「なあロイ。この前の戦いで、だいぶ器がデカくなったなぁ。もう一回り成長したら、俺も手を貸せるようになる。」


「どうゆうこと?」


「そのままの意味だ。俺は神聖な魔導書だって最初に言ったろ?ただの喋る本じゃない。

フェンリル戦はかなり無茶をさせてもらった。無理やりお前の魔力を引き出したんだよ。器がしっかりしてないと、俺諸共爆発して全員あの世行きだった。だが突破できた!これは大きな進歩だ!予定より早く俺と組めるようになる!

……なんて言えばいいかな。俺はれっきとした武器になれるんだ。まあ魔法しか出せないがな。」


「そんなことできるの?」

うーん、イメージが湧かない。パラモスが武器??本の角で叩くとか?


「おい、今失礼なこと考えてるだろ!」


「よく分かるなぁ。てか待って。フェンリル戦で魔力を引き出したって、僕の白いピカピカと関係ある?」


ついでにフェンリルを追い払った後のこと、キアナにその場の聞いた様子についても話した。


「ああ、神化だよ。俺が手を貸せるってのは、そのことだ。一時的に俺の力を使えるようになる。まあこれも器がしっかりしてないと壊れちまうから、今まで黙ってたんだがな。

これは俺が隣にいないと使えないものなんだ。それにお前の器もまだまだ未完全。すぐに使おうとするなよ?」


「そうなんだね、分かったよ。」


とりあえず、パラモスのおかげで助かったらしい。ただの喋る本じゃなかった、それだけでもなんか嬉しいし誇らしい。


「ねえ、パラモスは、パルテナの書について、何か知ってる?」


一番気になる話だ。フェンリルがいうほどだ。パラモスはパルテナの書のことを知っているはずだ。


「パルテナの書ってのは、この世に十三冊ある。俺もその一人だ。……今言えるのはこれくらいかな。」


「え、なんでよ!もったいぶらずに教えてよ!」


「……すまない。このことはあまり話したくないんだ。でもこれだけは伝えておきたい。俺はお前と冒険に出て、他のパルテナの書に会いに行く。ロイが世界を見てまわりたいと思うのと同じように、俺も冒険に出る理由があるってことだ。」


そうか、話したくないことぐらいあるよな。パラモスが話してくれるまで、深く聞かないでおこう。


それに、ただなんとなくじゃなくて、パラモスにも目的があって一緒に冒険できるんだ。付き合わせてる感じがなくなって、嬉しい。


その後は、直近であったこと、母さんやキアナが怒っていたことなどをこと細かく話した。パラモスに思いっきり笑われたよ。


ベットの横に落ちている白い羽根に二人とも気付かずに……

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