音楽
●王道を突き詰めて熱く鳴らす「音楽」がここにある。
【収録曲】
1.切望
2.グラデーション
3.ひたむき
4.リビング
5.値千金
6.めくばせ
7.奪還
8.決心
9.幸せのために生きているだけさ
10.裸
11.儚くない
12.小さな革命
前作から約2年振りとなるSUPER BEAVERのアルバム。今作を聴いて印象に残るのはやはりその「熱い」歌詞でしょうか。かといって手垢が付いたものになるでも無理に押し付けるでもなく、「無償の愛じゃない そこに気持ちの往来」(切望)や「自分は自分だからってのはさ 言い訳の そのための 決意じゃなかったろう」(ひたむき)、「損得も 忖度も 死ぬ間際に抱きしめるようなもんかよ」(小さな革命)のように「熱くも決して勢い任せではない、血の通ったメッセージ」が丁寧に綴られており、それがある種の「個性」として確立してきたように思えます。
曲調としては、相変わらずメロディアスなギターロックを中心とした印象。サビでストリングスが入ってくる『グラデーション』や『幸せのために生きているだけさ』、ピアノで始まるバラードの『儚くない』で見られるように、前作と比べればサウンドがやや豪華になった傾向があるのですが、どれも別段珍しい手法ではありません。そういう意味では「ベタ」な点が否定できないものの、前述の「歌詞」のおかげか、曲として見るとしっかりと「SUPER BEAVERらしさ」に溢れているように感じられました。中でも、『儚くない』は「生きること」を徹底的に肯定する、力強くも繊細な名バラードに仕上がっているのではないでしょうか。
彼らが鳴らしてきた「熱い日本語ロック」が見事に結実したアルバムと言えるでしょう。「王道も突き詰めれば個性になる」ということを大いに実感てきた一作でした。
評価:★★★★★