アイラヴユー
レビュー執筆日:2021/8/4
●「メロディアスさ」と「熱さ」で聴かせる、王道の日本語ロックバンド。
【収録曲】
1.今夜だけ
2.ハイライト
3.突破口
4.mob
5.自慢になりたい
6.パラドックス
7.アイラヴユー
8.予感 -Album mix-
9.時代
10.ひとりで生きていたならば
11.さよなら絶望
結成から15年以上とそこそこ長いキャリアも持ちながらも、ここ最近人気が上昇してきている4人組バンド・SUPER BEAVERのアルバム。私は今作で初めて彼らのアルバムを聴いたのですが、「かなりメロディアスな日本語ロック」という印象を受けました。雰囲気としては藍坊主に近い印象を受けますが、ファンタジックで文学的な歌詞を聴かせる彼らと比べて、こちらの歌詞は「アイラヴユーが歌いたい 愛してる 愛してる」(アイラヴユー)や「他人の目なんて あって無いようなものさ」(予感)と率直なものが多く見られます。また、ユニゾン(同じ音程)で歌声を重ねている箇所も随所に見られ、ボーカル・渋谷龍太の朗々とした歌い方も相まって「熱さ」というものも強く感じられるのではないでしょうか。
一言で表すなら「王道」を地で行っているところもあり、サウンドも結構迫力のある感じで、こういう作風は結構好みなのですが、ストレートであるがゆえに「ベタ」に感じられる点も少なくなく、他のバンドでは真似できないような「存在感」が欲しいところもあります。ただ、個人的には今作の収録曲の中でも、特に『突破口』『アイラヴユー』『予感』の3曲は「ベタ」な点が気にならないほどのメロディラインの良さとキャッチーさを備えている曲だと思うので、そういう点をもっと突き詰めていけば先程挙げた「存在感」に繋がりそうな感じがします。
昨年、メジャーレーベルに復帰したことで話題になった彼らですが、ある意味特に目新しいわけではない、まるで漫画等に出てきそうな「王道の日本語ロックバンド」がこの令和の時代にそういうフィールドでどのように活動していくのか、色々と注目していきたいところです。
評価:★★★★