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全裸で異世界召喚されたので、速攻で帰ることにした

作者: 獅堂 凛

こんな展開が無いのは、需要が無いからだ!

だからこその隙間産業・・・

そこは魔王軍の脅威にさらされていたとある王国の王城の中。


大きな魔方陣が光りだし、落ち着く頃には一人の男性がそこに居た。


「おお、勇者召喚が成功した!」


「やった、これで救われる!」


など騒いでいる周囲を余所に、男は考えていた。


(呼ぶならせめて、風呂上がりの服を着てからにして欲しかった・・・)


男は全裸だった。







「「「ゆ、勇者様、このたびは誠に申し訳ありませんでした!!!!!」」」


その場にいた全員から頭を下げて謝られた男。


誰かが服を用意するよう部屋の外へと指示を飛ばしていた。


頭を下げつつもこちらをチラチラ見る人も居た。


男は考える。


こんな世界、さっさと帰ろう、と。


そこで男は着飾った男性が前に出て何かを話そうとする前に、


「ワールドアナライズ!」


とりあえず、状況を把握することにした。


男はこれまでに、何度も何度も異世界に召喚されては送還されてきた。


とある世界では邪龍を倒し、とある世界では魔王を倒し、とある世界では邪神を倒してきた。


時には人同士の争いの駒にされかけたので逆に世界を統一したりもした。


そうこうして、これまでに関わった世界は実に999、そしてこの世界で1000となる。


そう、1000となる、記念回である。


1000回記念で呼ばれたのは全裸召喚という晒し者だったのだ!


早く帰りたい早く帰りたい早く帰りたい早く帰りたい早く帰りたい早く帰りたい、・・・


男の頭の中はこれで埋まっていた。


だからこそ、過去に覚えた超越魔法の一つ、ワールドアナライズを使ってさっさと帰ることにした。


効果は単純で、今居る世界の情報を一瞬で把握できるというドンデモ魔法。


普通の人間どころかありふれた魔王程度でも、情報量の多さから脳の容量が一瞬でパンクして廃人になってしまうが、強くなりすぎたこの男にとってはほんの少しめまいがする程度でしか無かった。


そして男が片手を挙げると光の球がいくつも現れ、そして何処かへと飛んでいった。


「よし、状況は理解した。今、魔王は討伐したし、四天王もついでに倒しておいた。魔王復活プロセスも修正したので、人類同士が大規模戦争を行わない限り魔王は復活しない。じゃ、これで!」


そう言い残し、男は再び光に包まれ、そして光が落ち着くとそこには誰も居なかった。


この間僅か10秒。


王様が説明のために口を開くまでの、わずか10秒の出来事だった。


残された人達は目の前の状況が理解できず、ただただ呆然とするだけだった。







「はーーーー、男の全裸召喚とか、誰得・・・」


元の世界に自力で戻ってきた男は、しょんぼりしながらも急いで服を着ていた。


何故なら、次の召喚が既に始まっていたからだった。


「風呂上がりさえゆっくり出来ないとか、どれだけブラックなんだろう・・・。いや、風呂の最中じゃ無いだけマシなのか・・・?」


男のつぶやきは、光と共に消え去ってしまった。


しかし、下着以外の服が残っている以上、きっと彼は次もまた速攻で戻ってくるのだろう。




おしまい

お読み頂きありがとうございます。

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