先輩と私の消えることのない一つの光。
心と足は繋がっている。
高校2年の夏。私は事故に遭った。
幸い、命に別状は無かったが、右足を切断することになった。
切断したら、もう走れない。
私は、陸上部に入部していた。
部長として、部員を支えていた。
そんな私が、もう走れなくなるなんて。
そして、私の右足が無くなった。
私は、病室でずっと泣いていた。
朝食も昼食も夕食も、食べなかった。
どんどん痩せていく私の体。
自分が嫌いになりそうだ。
幾日か経ち、私の病室に、青年が来た。といっても、同じぐらいの人だと思う。
「こんにちは。結城鈴さん。私の名前は、天野光瑠です。これからよろしく。」
彼がそう言った。
天野光瑠って、私の学校の先輩だ。
私は焦った。この人が私を支えるなんて。
「ひ、光瑠先輩!私を支えるなんて、絶対できないと思います!」
そう言うと、先輩は、口を開けて笑った。
「あははは、鈴ちゃん面白い子だね。俺は、君の足をつくるんだよ。」
「はい?先輩何いってるの?足なんてつくれるわけないわ」
先輩が急に足を作ると言ったのだ。
「義足を作るためにも、お客様の要望を聞かないとね」
私の要望。
それは、たった一つしかない。
「部員たちを支えたい。」