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におうエニロエ

更新内容:剣の設定を変更しました。

 他のモンスターの姿は確かに無かった。

 あまりにもいないものだから、そういうものなのかと思っていた。でもそれはおかしい。

 あの砂色のワイバーンはこの砂漠から来た。つまりはアレの胃袋を満たせるだけの食料があるということだ。

 しかしそれがいないということは……まあ〜異常事態ということになるぅ……のかな?


「なんで疑問系なのよ! ハチャメチャに異常よこんなの!」

「落ち着け落ち着け〜揺らすな〜あ〜」

「わ、わっ、落ち着いてネウク」


 帰りの馬車の中、ぐわんぐわんと揺さぶられてちょっと吐きそう。ネウクは実力者だし自分の力をよく理解しているのだろう、未だ見ぬモンスターがめちゃ強いことを悟って焦っている。


「ネウク、そんなにビビっても仕方ないよ。相手の実在すらまだ確定してないんだから。それに案外、全くの杞憂なのかも知れないよ?」

「あんたはなんでそんなに落ち着いてるのよ……はあ、でもそれもそうよね。気持ちばっかり焦ってもどうせ手出しはできないものね」


 半分呆れたようではあったけど、ネウクも落ち着いてくれた。トーアも一安心とばかりに、ふぅと一息ついた。


「とりあえず、あのデカいのをギルドに見てもらってからよね」


 私たちの乗る馬車の後ろには、もう一台、岩を運ぶためだけの馬車がついていている。トーアは自分が歩いて運ぼうかと言っていたがそれもあんまりだったから、こうなっている。どうせギルドが出してくれるのだ、甘えてもいいだろう。


「ファトゥスさんも驚くだろうなあ」

「そうだね」

「はあ、こいつの正体が分かるまでドキドキしちゃうかも。……正体によってはもっと心臓に悪いかも知れないけどね」


 やはり不安は拭えていないようで、ネウクは引き攣った笑みを浮かべた。

 私とトーアは事の重大さが分からないからこうやってヘラヘラしているが。


「どんな強いモンスターでもトーアならワンパンだよ! ね?」

「あはは、そうかも」

「楽観的ねえ……」


 ネウクを励ますって意味も込めて、お気楽な無駄話を弾ませながら、ギルドを目指した。


 翌日、昼過ぎ。


「な、なんですかこれは!?」


 予想通りファトゥスさんは目を見開いて驚いていた。

 ファトゥスさんによればやっぱりこのサイズの岩を持ち帰った冒険者はいないとのことで、調査が進む、ありがとう、報酬は弾ませてもらうと言われた。いやー、やったね。その間ネウクは風景記憶のマジックアイテムを提出していた。


 しばらくすれば調査の結果が出るだろうということで、クエスト終了。たまには遠出も悪くない。


「私、ダムさんのところ行ってくる」

「じゃあ私も」

「あら、なら私も」


 結局三人で向かうことになった。

 ネウクは疲れた様子を見せないが、こんな連続でクエストを受けて本当に疲れていないのだろうか。


「ノパエさんに依頼されるモンスターの素材って、あんまり狩りごたえないのよ。調査だって大したことはしてないし」

「あの狼を大したことないで済ませるのは、やっぱりさすがだね」

「ふふん。もっと褒めてもいいのよ」

「何も出なさそうだからやめとく」


 などと話しているとすぐにダムさんの店に着いた。

 トーアはいそいそとカウンターの奥に入っていく。二日や三日でそう進歩があるとも思えないけれど、それでもやはり気になるのだろう。


「あ、エニロエ、それにネウクも……」


 店の奥からダムさんが出てきた。その後ろから鎧を脱いだトーアもついてくる。トーアはなんだかいつもよりご機嫌にも見える顔をしているが……どうしたんだろ?


「あの剣のこと……少し分かった。あの剣には、敵を斬る度に強くなる魔法が掛けられている」

「へえ〜」

「つまり魔法剣ってこと? トーア、なかなかいいもの持ってるじゃない。ちょっとその剣見せてくれない?」


 店の奥でトーアに剣を見せてもらったネウクの「デカあぁっ!」という声が響く。その間私とダムさんの二人だけになった。

 ダムさんは私に近寄ってきて、


「ちょ、ちょっとダムさん!? だっ、ダメですよこんな昼間から、二人もいるんですし」

「静かに」

「ごめんなさい。でも……」


 私の周りをすんすんと鼻を鳴らしながら嗅いできた。静かに、と言われてもこれはちょっと……。


「やっぱり、あなたから、あの剣と同じ匂いがする。……禍々しい、魔力の匂い」

「え? え?」


 私って禍々しいの?

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