イケメンなら何でも許される風潮
ゲームのご都合主義ってエグいよね
「おい嬢ちゃん、その制服着てるってことは貴族だろう?」
「有り金全部置いてきな」
なるほど、盗賊だね
どこぞの犯人じゃなくてよかった。良くないけど。
「わ、私は平民なのでお金は...」
「ああん?じゃあ体で払ってもらうしかねえな!」
「顔はいいしな、いくらで売れるか」
グフフとゲスい笑い声が響く
【ど、どうしよう...!】
「離れろ」
不意に、フードをかぶった青年が盗賊と私の間に割り込んだ
いやどこから湧いてきた?
前から歩いてきてたなら気付くし、後ろから来てたら盗賊がこんなビックリしないだろ
いやまぁ、ゲームだからな。瞬間移動ぐらいする...よね
「おいてめぇ、邪魔すんなよ。殺されてえのか?」
「おいおめーら!やっちまえ!」
そう言って盗賊は正体不明の青年へと襲いかかる
「遅い」
だが青年はいとも容易く盗賊をのしてしまった
「く、くそう!引くぞお前ら!!」
「「「覚えてろよ!!」」」
覚えてたら都合が悪いんじゃないだろうか?
まぁ、私には関係のないことか
「ケガはないか?」
青年が私に声をかける
「あっ、はい。おかげさまで...」
「そうか。よかったら家まで送ろう」
「い、いえ。そこまでしていただくわけには...!」
「嫌ならやめるが」
「い、嫌ではありません!」
え、嫌だろ。
フードかぶっただけで顔が全部隠れてる違和感は置いておいても、顔を晒さないような男に家特定されるとか怖すぎだろ
私何考えてんだ...
「ふっ、そうか。なら家までお送りしよう」
そう言って青年は手を差し出してくる
私はおずおずとその手をとった
エスコートしてくれるらしい。
そうして歩いていると、不意に強い風が吹く
「きゃっ」
スカートを抑えつつ、青年の方を見上げるとフードが取れて素顔が露わになっていた
金髪に青い瞳。そしてまぁ、キラキラのエフェクトだ。
「っ!」
青年は急いでフードを被り直す
「あ、あの...」
「な、なんだ」
「着きました」
「っ!そうか、ではまたな」
そう言ってさっさと青年はいなくなってしまった
【またってどういうことだろう...?ふふ、でも王子様みたいでかっこよかったな】
...フラグじゃん。
端からフラグを立てていく女をヒロインと呼ぶ