ヒロインというより魔王
徐々に進めるつもりだったけど、すっ飛ばして急展開になってます
ナターシャは断罪され、ルーブルエ公爵家は完全に解体された
悪の根源はなくなったが、やはり平民であるハーナを快く思わない人はたくさんいる
「ハーナ、君に反抗的な家はとりあえず圧力をかけておいた
もし何かしてきたら俺に言ってくれ」
「あら、さすがねルイン」
「もうこの学園でハーナに嫌がらせをするやつはいねえよ!俺が目を光らせてるからな!」
「ええ、頼りにしてるわトリス」
「僕が学園長になったから、教員も総入れ替えしたよ。もう君を困らせる先生はいないはずだ」
「やるじゃない、ハイネ」
「王宮を君の住みやすいように作り変えた。いつでも俺と結婚できる」
「ありがとう、愛してるわクリス」
「逃げ出したくなったら俺に言えよ、準備はいつでもしてある」
「有能ね、マーカス」
学園も卒業間近に控えた頃になると、ハーナはまるで女王のように振舞っていた
逆らう者はみな反逆者として捕らえられ、学園のみならず世界はハーナの楽園と化していく
人の欲というのはどこまでも深く、どこまでも終わらない
クリス王子と結婚し、クリスが国王となった後もハーナの暴走は止まらなかった
「彼を捕らえなさい」
「ハーナ!俺は君のためを思って!」
「反逆罪だ、牢へ」
「殺したり痛めつけちゃダメよ、拘束だけしておいて」
命令だけ下すと、ハーナは振り返りもせずに部屋から出て行く
最初に犠牲になったのはトリスだった
王宮内の人間も片っ端から処分して行くハーナに「あまり減らすと今後困るんじゃないか?」と言っただけで、反逆罪として捕らえられた
次はマーカス
いざという時の逃走経路や場所を聞き出し、自分以外に知っているのは嫌だからと牢に捕らえられた
いわゆる口封じだった
そしてハイネ
学園長になった彼は、学園の解体と共に責任者として処罰され、罪人として牢に捕らえられている
次にルイン
権力の大きい家を危惧したハーナが、公爵家を全て犯罪者として処分した。ただ、それに巻き込まれただけだった
最後にクリス
自分よりも権力の高い彼を邪魔だと思ったハーナは『行方不明』として幽閉した
彼らを殺さなかったのは、「顔が好き」というハーナが観賞用として存在させるためであり、慈悲などはカケラも存在しない
そしてついに、この国に人間はハーナだけとなった
どう考えても異常、普通ならありえない
だが、結果としてこの国、いや世界にはハーナだけとなった
気に食わない、ただそれだけの理由でハーナはこの世界を焼き滅ぼしたのだから
盗賊もろとも辺り一帯を消し炭にしたあのヒロインはハーナでした