名前をつけるときってふざけたくなるよね
だいたい1話に1人、新しい攻略対象が出てきます
ゲームであることはわかった。
じゃなかったらこんな文字入力画面なんて出てこないし、そもそも教師が名前知らないのがおかしい。
うーん、しかし名前か...
...
「あああちゃんっていうんだね。ふふっ、可愛い名前だね」
どこが?
いや、ふざけた私の非は認めよう。こういう展開を予想してたのも認めよう。
でもいざ言われると何言ってんだこいつと思ってしまうわ
「い、いえそんな...普通の名前です///」
どこが?(2回目)
でもやっぱり、こういうのはゲームならではだよなぁ。『おばあ』とかにしておけばよかったかな
「あっ、もう行かなきゃ。またね、あああちゃん」
「は、はい!」
【男の人と会話するの慣れてないから緊張しちゃったなぁ...次はもっと上手く喋れるといいな】
そう言って廊下に出ようとすると、不意に声をかけられた
「あなた、また会いましたわね!」
「あっ、さっきの...!」
どうやら朝に突っかかってきた令嬢のようだ
ここにいるということは、この人も今日が入学式だったはずだが、私より後から教室に向かって間に合ったのだろうか...
まぁ、ゲームだから瞬間移動ぐらいは可能か。うん、そういうことにしよう。
「あなたのお名前、あああっていうんですのね!ふふ、平民にお似合いのセンスのない名前ですわ!」
平民でもいねえよ。センスがないのは認めるけど。
「そんな!私のお母さんが付けてくれた大切な名前なんです!侮辱しないでください!!」
私だったら改名するけどね
というか何でこんな名前の話ばっかするの?ふざけて付けたのバレたの?
「公爵令嬢であるこの私に向かって何たる言い草...!!立場をわきまえなさい!」
「何の騒ぎだ?」
少し影のある雰囲気を醸し出す男性が近づいてきた。もちろんキラキラのエフェクト付きだ
「ルイン...!!い、いえ。何でもないわ。用事を思い出したから失礼するわね」
そう言って令嬢が逃げ出したせいで、ルインと呼ばれていた男と2人きりになる
「あっ、えっと...初めまして?」
【うわぁ、ハイネ先生もかっこよかったけど、この人もかっこいいなぁ。輝いて見えるよ】
そりゃキラキラのエフェクトついてるからね。輝いてる(物理)よね
「...覚えてないか」
「えっ?今なんて...」
「いや、何でもない」
耳遠くね?
え?
聞こえなかったの今の声?普通に聞こえたけど?
完全に初対面じゃないじゃん、天然ぶってるじゃん私
聞きて〜〜どこで会ったのか聞きて〜〜〜
「すまない、自己紹介が遅れたな。ルイン・シフォードだ。一応、公爵家の長男だから気を使われることも多いが、できれば気にしないでほしい」
「は、はい。わかりました...!」
【少し影があるところがまたかっこいいわ。どこかで見たことがある気がするけど...気のせいよね】
気のせいじゃなーーーい!!気のせいじゃないよ!!!思い出して私!!
くっそ、何で記憶がないんだ!初めて記憶がないことを恨んだ!!
「先ほどナターシャに絡まれていたようだったが...大丈夫か?」
「あっ、あの方はナターシャ様というんですね」
「知らなかったのか?ナターシャ・ルーブルエ。公爵家の長女で、私の幼馴染...みたいなものだ」
「みたいなもの?」
「昔は仲良くしてたんだが、最近は傲慢になってきてな。目に余る行為も増えてきたから咎めてはいるんだが...先ほどのように逃げられるようになってしまったんだ」
はぁ、とため息をつくルイン様はやはりイケメンだ。
「そうなんですか...」
「だから、何かあったらすぐ相談してくれ」
「は、はい!ありがとうございます!!」
感謝の意を告げると、ルイン様は嬉しそうに微笑んで「じゃ、また」と言ってその場を離れた
うーん、やっぱ気になるなぁ、どこで会ったのか。
物心つく前とかだよね、きっと
ルイン様の姿が見えなくなり帰ろうとしていると、ふと声が聞こえてきた
「何なの、あの女!ルイン様と親しそうに...!」
「さっきはハイネ先生とも楽しそうに話してたわ!」
「まぁ!身の程をわきまえない平民はこれだから!!」
声のする方を向くと、灰色の人型が3つほどあった
何だあれ、化け物か?
名前、ふざけました。
笑いながら書きました。すみません。