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過去の記憶と思われるもの

悪役令嬢とヒロインは仲良くしててほしい派


今さらだが、乙女ゲームを知っているだろうか


簡単に言えば

好きな男性の好感度を上げ、最後にハッピーエンドを迎えることを目標にしたゲームだ



この世界はきっと、乙女ゲームの世界なのだと思う



なぜ今さらそんなことを言い始めたのかと言えば

私がそう確信するような出来事が、学園の卒業の少し前に起こったからである




☆☆☆




「シオン!話がありますわ!」



卒業を間近に控え、ナターシャともだいぶ仲良くなっていた

いちいち突っかかることもなくなったし、普通に見ればただの友達である



「ナターシャ!またシオンに嫌がらせをするつもりか!?この前は水溜まりに突き飛ばしただろう!」


「これ以上するなら公爵令嬢といえどただでは置いておけないな。複数人で脅迫するなど人間の風上にもおけない」


「こんな性格の悪い女が貴族のトップ層にいるだなんて、考えたくもないな。階段から突き落とされるべきはお前の方だ」




まぁ、普通に見ることができない人もいるが。


偏見が悪化している。というか酷すぎる。彼らには違うものが見えているのだろうか?

水溜まりにも階段からも落ちたことなどないし、ナターシャに友達はおろか取り巻きすらいない



と言っても、こんな光景は慣れたもので

私とナターシャはいつものように、彼らを視界に入れないようにしながら人気の少ないところに避難した




「それで、ナターシャ。大切な話なんでしょう?」



慣れてるとはいえ、めんどくさいことには変わりないので極力関わるのは少なくしようとしている

それをわざわざ学園の教室で話しかけてきたのだ、急を要する話だということだ




「シオン、あなたも時々知らない記憶が見えると言ってたわよね」


「うん、見えるよ」



知らない記憶というのは、シオンの昔の記憶のことである

時折思い出してはいるものの、役にも立たないし理解もできないような情景ばかり


ただ一律して言えるのは、学園での出来事だということだろうか


そしてナターシャも知らない記憶があるらしい

ただ、私と違って学園とは限らないようだ



「私、今日もその記憶を思い出したのですけれど、それが何なのかわかった気がするの」


「えっ!?」


「シオン、あなたが思い出した記憶。言ってみてくれるかしら?」



最近思い出したもので言えば


後ろに壁があって進めないなと思った記憶

水に顔を近づけようとする記憶

天井が高くなっていく記憶


だろうか?


とにかく、人間が出てこないし視野が非常に狭くて何のことかさっぱりわからないのだ



「何か気づかない?」


「うーん、迷路にでもいたのかな」


「シオンがアホなのはわかったわ」


「アホって失礼な!?」



ナターシャが可哀想な目で私を見てくるが、そんなことを気にしている場合ではない



「今日、私がシオンを呼び出した時に脳内お花畑から言われた言葉」


脳内お花畑...間違ってはいないが真顔で言われると笑いそうになるのでやめてほしい



「...えっと、水溜まりとか階段から突き落とすだの、複数人で脅迫だの言ってたやつ?」



「それよ。あなたが最近思い出したその3つの記憶、もしかしたらその時のことなんじゃないかしら?」




「っ!言われてみれば!!」




壁があって進めない、つまり誰かに追い詰められているということ

顔を水に近づけているのは、水溜まりに突っ込んでいくところだった

天井が高くなるのは、階段から落ちていたんだろう



「それでね、ここからが大事なところ」



真剣な眼差しでナターシャは言う




「私は今日、その情景を思い出したのよ」





...どうやら、その一言だけで全てを理解するには私の脳みそは足りなかったようだ

シオンはツッコミ気質のアホ

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