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第十六幕 冒険者ギルド

大変お待たせ致しました!

今回は少し長めに書いて居ります。

 時刻ときひるかた

 たつこくを過ぎた頃に屋敷を後にしたと言うのに、最早一刻半も経つ。

 現在、拙者は水煉華すいれんかの者達と共に冒険者ギルドの入り口付近に立っている。




「此処がオルタンシア支部の冒険者ギルドです。さぁ、中へ入りましょうフリンデル様!」




 入り口の方へ手を指し、ブーケ殿に案内されながら共に建物の中に入ると、其処には見た事の無い光景が広がっていた。

 先ず、最初に飛び込んで来た第一印象は、矢張り内装の広さだろう。

 前世ひのもとでは、ここまでの広さを誇る内装は、早々お目に掛かれる物ではない。正に圧巻である。

 辺りを見渡しながら中へ進むと、居酒屋も経営しているのか、入って直ぐの右側に飲み食いが出来る場所がある。其処には、まだ日も高いのにも関わらず、何人か者達が酒を煽りながらガバガバと雑談に花を咲かせている。

 正面奥側には受付所と思しき所が三箇所あり、左側の壁に大きな掲示板が設置されていた。

 掲示板には多くの依頼書の紙で埋め尽くされているが、良く見て見れば分かりやすい様に、しっかりと分類別に貼られている。

 受付所前まで来ると、ブーケ殿が役者と思しき女性に声を掛ける。




「あの…すみません」


「はい、如何なさいましたか?」


「此方の方に、冒険者登録をお願いします」


「はい、冒険者登録ですね。かしこまりました。では、少々お待ち下さいませ」




 笑顔でそう告げながら一礼した後、一度その場を離れ、テキパキと動き始める。そして一分も経たない内に登録用紙等を持って戻って来た。




「はい、お待たせしました。此方に必要事項の記入をお願いします」




 渡された登録用紙は、和紙等の木から採れる植物紙では無く。動物の皮から作られる動物紙であった。

 前世むかし、まだ拙者が家臣として主人あるじに仕えていた頃、外交の際に贈られた品の一つに動物紙なる物を一度見た事がある。

 そして、この鳥の羽が付いた"羽ぺん"と言う筆を使い書き始める。

 南蛮国こちらに来て暫く経ってからの頃、この筆には少々苦戦を強いた。何せ、前世ひのもとで使っていた筆と、使い方から丸っ切り違う。今は難に感じぬ程度までには書ける様になっているが、当初は墨汁いんくが垂れたり、線が曲がり字が滲んだりと、とてもでは無いが読める代物では無かった。


 記載された内容を確認しながら記入して行く。

 氏名・年齢・出身地に、自身が使用する主な職や武器等についての簡単な内容であった。

 職に至っては、南蛮国このくにには"さむらい"と言う職が無い為、最も侍に一番近い職で有ろう"剣士"と言うに名の職にした。

 

 記入し終えた登録用紙を受付嬢じょせいに渡すと、その場で確認してから「はい、問題有りません」と申した後、横に置かれていた物を取り出す。

 頭一個分以上の大きさをしたそれは、形状は先程申した前世むかし見た贈り物の中にあった"砂時計"言うものに少し似ているが、頭には半球体の水晶が施されており、水晶内はまるで夜空の如く、また数多ある星屑の様に煌めいていた。

 しかし、形状が似てたとしても同じ物とは限らぬ。

 其れに、そもそも砂時計アレは確か…時間を図るものだった筈。この場で使う代物ではない。

 一つ確かめて見るとするか。




「もし…此れは一体なんぞ?」


「はい、此方はギルドカードを作成する為の魔道具になります。この水晶面に手を翳すと、其の者の手に流れ出る魔力を読み取り、下にセットされたカードにご自身の魔力が刻まれて行きます。そうする事によって、冒険者としての自身のステータスや実績の証明と言った個人情報が表示されます。それと此方のカードは特殊な素材で加工している為、自身の魔力でなければ反応ひょうじされませんので、情報が漏洩による防止されております。しかし、紛失などにより再発行を余儀無くされた場合につきましては、資金などの手続きが必要になりますので、充分ご注意してください」




 ここまで宜しいでしょうか?と、笑顔で返された拙者は、承知したと言いながら頷いた。




「では、水晶面こちらに手を翳してください」




 その言葉に頷きながら、拙者は受付嬢じょせいの指示のもと、水晶の上に手を翳す。

 すると、水晶内にある星屑が徐々に渦を巻き始め、下の受皿さかずきへと溜まって行く。そして一定の量まで溜まり始めた際、下に付いている針の様な空洞から光の砂が流れ込み、かーどと言う小さな板に降り注がれる。

 そして、かーどに光が触れた瞬間、発光し始め、直ぐ様収まっていった。




「はい、これで登録は完了になります。此方がギルドカードになります」




 そう伝えられると、受付嬢じょせいから手渡されたかーどを受け取る。

 一見、何も書かれていなかったかーど。しかし実際に手に取って見ると、触れている指先から広がる様に、そこには先程何も書かれていなかった筈の面に文字が刻まれていた。

 成る程、こう言う仕組みで有ったか。

 そう感想に浸っている拙者に、受付嬢じょせいは説明を続ける。




「冒険者には、其々にランクが分け与えられて居ります。Fランクを始め、Eランク・Dランク・Cランク・Bランク・Aランクの順に上がって行き、最終到達点であるSランクが最高上位とされてります」




 受付嬢じょせい説明はなしから考えるに、どうやら冒険者には"らんく"と言う階級制度が存在して居り。そして拙者は、冒険者登録を終えたばかりである為、現在は初めの"えふらんく"と言う物に当たるらしい。

 ちなみにだが。今回の依頼に引き受けてくれた水煉華の者達は、"えーらんく"に昇格を果たしたと申していた。

 "えーらんく"と申せば、先程の説明はなしによる処のかなり上位に当たる階級。

 拙者は今回の依頼に置いて、その様な上位に組み込める程の者達と共に、迷宮だんじょん探索を行える事に、改めて感謝と心強さを感じたのであった。


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