第十幕 診察
やっと書き上げれました!(汗)
アレから翌日。
いろいろ有ったが、何とか青年の受け入れを承諾して貰える事が出来た。
しかし…青年はアレ以来、目を覚ましてい無い。
内心では心当たりは有ったものの、その辺に関しての知識は全くの素人だ。其れならば専門の者が診て貰った方が良いと念の為、貴族公認の医師に呼び付けた。
医師が到着すると、早速青年の状態を調べて貰った。
すると診察を終えた医師は、眉間に皺を寄せながら顔色を曇らせながら「んー……」と、何か思い詰めている様子。
そして数分足らずの沈黙の後、漸く医師は重い口を開けた。
「この青年は、かなり深刻な状態にあります…」
審査結果は、多数の創傷及び栄養不足。そしてドラック…つまり麻薬による中毒。
創傷は、切創や擦過傷、物理的に出来た紫斑の事。栄養不足に至っても、青年の身体を一目見れば察しが付く。
しかし問題は麻薬についてだ。
最初に青年の身体をこの目にした際、主に左腕(手首から肘裏辺り)を中心に斑点の様な傷が集中していた。
恐らく、針の様な物による薬物摂取の後。
其れを見入れた時、まさか…と脳裏を過ぎらせた。
その反面、内心では何処か信じたくない気持ちが有ったのかもしれん。
しかし結果は変わらぬまま。…いや、それ以上のものを医師が口にした。
「可哀想に。恐らくは、もう…一月も持たぬでしょう」
その瞬間、医師の言葉に目を見開き絶句した。
その言葉は、遅かれ早かれ青年の命は一月…基一ヶ月も無い事を意味する。つまり余命宣告である。
そこまで深刻化していたとは…
拙者は無意識に手に力が入り、自身の裾を掴み、握り締める際に掌に圧迫感を感じていた。力んでいるせいか、手の甲には若干血管が浮かんでおり、腕の震えが止まらぬ。
あの身形…恐らく貧しさ故、其の日凌ぎの暮らしだったのであろう。其れらの者が稼ぎの為、薬物に手を出す者は少なからずいる。
一度煽れば夢心地であろうが、その先に待ち受けるのは幾度も終えぬ地獄。
強力な幻覚作用を齎し、人としての自我を失い精神を崩壊させる物。下手をすれば死に直結する事もある。
前世で、とある住職が麻薬に溺れ、その後正気に戻った際、その毒の恐ろしさに『今更震え上がった』と謳われる程だ。
そんな代物を、善良で生きるべき青年が手を出してしまった現実に心が痛む。
青年が死ぬと言うのか?
今の拙者と大差変わらぬ歳の子が?
死なせるのか?
己が助けると決意したと言うのに、このまま何もせず…ただ青年が事切れるまで黙って見ているだけか?
そんな事…認めぬ。断じて認めはせぬ!
で有ればこそ、必ずや方法を見つけ出し、救い出すまでの事。絶対に見殺しにはせん!
そう新たに決意を固め、目の前の医師に助け出す方法は無いかと尋ねた。
「…方法は、無い訳ではありません」
その医師の言葉に「其れは誠か!」と食いついた折、話の語尾に「しかし…」と付け加えられる。
「見込みとしては、かなり低いかと…」
詳しく聞いたところ、とある迷宮と呼ばれる所の何処かに存在すると言われる湧き水があり、何でもその水には毒を中和させる効果を持つと言われている。
「そして、そのダンジョンは難易度が高い上に、かなり入り組んでいるとの事。話によれば、まだ攻略した者は有りません。だった短期間で入手するのは困難…残念ですが、こればかりはどうしようも」
そう言うと医師は嘆かわしく思ったのか、眉を下げ瞼を閉じ下を向いた。
「なるほど……その湧き水を見つ出せれば、青年は助かるのだな!」
「はい、そうなんで―――はい?」
拙者の予想外の言葉に、医師は思わず下を向いていた顔を上げ、目を点にして見開く。
「うむ、承知した!」
「えぇっと…」
「拙者、レィジュ・フリンデルが必ずや"この手"で手に入れて見せましょうぞ!」
任せろと言わんばかりに意気込んでいる拙者の傍で、拙者のとんでもない発言に思考が追いつかず、あんぐりと口を開けて真っ白に固まる医師の姿があった。
そして、その光景は偶々通り掛かった執事見習いのリラクに目撃された。会話を聞かれていたのか、ガタガタと震えながら青褪めた表情をしていたのは言うまでもない。




