黒い宇宙船
暗く重い宇宙に恒星の光を浴びた星々が輝いていた。その空間の中で一際小さな宇宙船がふわふわと漂っていた。既に数ヶ月感もろくに食事を取れていない船員達は死んだ魚の目をしていた。
「ここで死ぬのか…?つまらない人生だった…。まぁいい、この広い宇宙で死ねるんだ。」
「あぁ、もう残すことは無いな…。」
この船員達の言葉はまさに自殺願望のようなものだった。ただ、どれだけ言葉を発しても彼らの命を削るだけだった。
ある日、いつもの様に星を見つける為宇宙を旅していた船はある物を見つけた。大きな黒い何かは船員達の士気をものすごく上げた。
「おい!!見ろ!約1年ぶりに宇宙船が見えたぞ!しかも巨大だ!」
「きっと中には食料や水があるに違いない!」
船員達は次々に理想を言い合い、その船に近づいた。
「あーあーあー。こちら○○船、こちら○○船。決して危険なものではありません。我々は〜…。」
スピーカーを使い相手の船に向けて連絡をした。返事はないものの攻撃をしそうにないので船長は我々の頼みを承諾したとして船に近づいた。
その時だった。船が急に吸い寄せられエンジンを掛けることなく船は巨大な宇宙船に近づいて行った。
「船長!!これは危険です!今すぐ引き離しましょう。」
「いや、問題ない。これは恐らく向こうの宇宙船の機能だろう。我々を安全に近づける為の一種の電磁石のようなものだ。」
危険を感じる船員に対し、船長は自らの経験を頼りにし、ますます船に近づいた。
しかしその経験とやらは誤っており、よくよく見るとあの巨大な黒い物体は宇宙船ではなかった。
「船長!!あれは宇宙船ではありません!!突然できたブラックホールです!!」
「どうやらそのようだ!すまないが急いで逆方向にエンジンを掛けてくれ!!」
船長の指示が通る前にエンジンごとブラックホールに吸い寄せられた。死にかけだったはずの船員達はこの危機を脱しようと必死に船を動かした。
「ここで死ぬのか…?もっと長く生きたかったなぁ…、、」
働きながらも船員達は皆、こんな言葉を呟くのだった。