進一の記憶 2
進一が放り出されたのは森のなかにあるチョッとした広場みたいな所だった。
その広場みたいな辺りをプラプラと散策する進一。
(もうこれも役に立たないよねー! ラノベの異世界物なんかじゃ滅多に活躍しないしぃ…)
握り締めていた学生鞄をテキトーに放り投げる。当然ながら中身は教科書、ノート、缶ペンケースとか携帯なんかといった類いである。基本的に彼は勉強が好きではないのである。
進一は考える。
ラノベだとトテツない容量で時間の経過もないマジックバッグが、主人公にギフトされるのに。しかも重量ゼロなんだよなァ~✌ アレ質量保存の法則を絶対的にガン無視してるよね! それでいてチートなスキルとかが転生や転移のときに貰えるんだよね。
彼が考えているのは、人や物のスキルとかHPのような能力が鑑定できたり、異世界にはないオーバーテクノロジーな機械なんかを錬金術で発明したり、聖剱とか貰ってドラゴン退治やバトル無双して勇者になることを意味している。
進一は思い出そうとする。
たしかアノときは同じクラスの同級生と登校中だったんだよな~。エーッとエーッと誰だったかな~? 思い出せ、思い出せ、鳥頭のオレ!
そうだ、大親友の山岡鉄砕クンと同じマンションの住人の坂野愛里チャンと学年で成績がいつもナンバーワンの武智さとるクンだった、思い出せてよかった♬
四人で登校中に昨日見たドラマやロードショウ映画、クイズ番組にスポーツの話題で盛り上がってダベってたんだよね~♪
そしたら突然、さとるクンが空を見上げて「ヤバイッ! みんな逃げろ!」って叫んだんだ。
その瞬間、鉄砕クンにありったけの馬鹿力で僕は突き飛ばされていた。少なくとも10メートルは吹っ飛んだと思う。
地面に転げ落ちる寸前、あたりの空気がグチャグチャに圧縮されて、メチャ熱くて息苦しいと思ったら世界が真っ白になったんだよね………
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『た、ただいま、有島市の誠明中学校付近に飛来した隕石で、多くの登校生徒や住民が被災した模様です』
震える声で生原稿を読み上げるラジテレビの雲木茂アナウンサー。
『のちほどヘリリポートで被災した現場の様子をお伝えいたします』と言って長めのCMとタカグテレショップの時間に移り変わった。キンキラキンのハイトーンボイスのタカグ社長がダイツンの掃除機の利便性を冗長に説明し、オドロキの購入価格発表されたあと、テレビ画面が切り替わる。
『えー、現場ヘリの相楽特派員。相楽特派員! 聞こえますか?』
雲木アナの眉間に深いシワが寄る。
すでに映像としてはるか数十キロメートル先に爆撃されたように燃え上がる市街地が映し出されている。
『は、はい。現場は巨大なクレーターとなっており周辺の家屋が、木造でしょうか? 燃え上がっています』
『相楽特派員、現場はとんでもない状況のようですが、有島市民の避難状況やクレーターのサイズなどを随時連絡してください』
『了解しました』
バラバラバラバラとジェットヘリが有島市の被災地上空を飛んで行く。
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「鉄砕クン、今ごろどうしてんのかな~?」
涙目で独り言を紡ぐ進一。
「愛里チャンもさとるクンも異世界に跳ばされたのかなァ⁉」
まさかモウ会えないなんてと思うとグシグシと両目から温かいものが転び出る。
「元気でいろよな~、テッサイ! もう一度お前に会ってありがとう言うんだからなぁ!」
プロットもなく思い付くままテキトーに書いていきます。
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