予言者の謎
アダムは思わず、手のひらで目を覆い、後ろを向いた。
「ガイア! き、気づけなくて、ごめん!」
「なんで謝るの?」
「だ、だって、殲神はみんな……男の人ばっかりじゃないのかい?」
「そうだよ。ヨグ・ソトースの細胞との融合が起こる時、XXXタイプの染色体と融合すると、女の子だけが持つ染色体のYがおかしなことになって、手術後に人間が壊れちゃうから駄目だって聞いた。それで、何人も死んじゃったんだって。」
ガイアが服を着る音は聞こえない。会話に夢中になっているからだろうか?
「と、ともかく服着て!」
「ん? わかった」
ガイアは特に感情を込めずにそう言った。アダムの顔は火がついたように赤くなり、頭の中が真っ白になったが、さっきガイアがこぼした染色体の話が気になり、追及した。
「じゃあ、ガイアはどうして平気だったの?」
「だって僕は女の子じゃないもの」
事態が全く飲み込めない。あの体は、どう見ても女の子だ。それに……アダムは多く浮かぶうちの、ひとつの疑問を口にする。
「な、なんで「僕」って言ってるの?」
「……女の子だって思われたら、いろいろ面倒なんだ」
ガイアが最後に、静かにつぶやいた言葉は真実らしく、そして少し重みをもって聞こえた。アダムは思考が混乱し、何をどう考えていいかわからなかったが、一つの結論に行きつく。
「ガイア、僕たちが一緒の部屋なんて駄目だ! 明日からは僕、兵舎に戻る!」
「なんで?」
「えっと、それは……ほら、今みたいなことが起こったら、どうしていいかわからなくなるというか……!」
「気にしないで。僕もそういうの、あんまり気にしないから」
「そんな問題じゃない! むしろ気にして!」
ガイアはアダムの方を見てから、俯いて呟いた。
「……僕は、いやだな」
「何が?」
「アダムが出て行っちゃうの、いやだ」
その声は、いつもよりか細く、どこか冷めたようなガイアの口調とは違っていた。アダムはなぜか、その声を聞くと、不思議と目の奥が熱くなるような感覚に陥った。
そして、何が正しいかはわからないが、ガイアがそれを望まないなら、そうすべきではない、と思った。
「ガイア、もう服、着た?」
「着た」
アダムが振り向けば、もう軍服に着替えたガイアがほほ笑んでいた。
その笑顔を見て、確かにこんなきれいな男の子はいない、と思った。
アダムは困惑したまま、ベッドの上に置いた服をかき集めながら、ガイアを見つめて宣言した。
「こ、これからは僕はお風呂で着替えるから! ガイアも今後、着替えるときは、お風呂! 鍵かけて! わかった?」
ガイアは一瞬首をかしげ、
「よくわからないけど、わかった」
そう言った。
アダムはそれから急いで、風呂場に向かい、鍵をかけた。そして、自然とオレンジの幻光が灯った部屋で、へたりこみ、呟いた。
「……聞いてないよ」




