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異邦人  作者: 三鷹 功
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太陽に挨拶をして月を見上げて彼を想う

1日空いちゃいましたすいません。

まずは読んでいただきありがとうございます、続きです。

 作者は胸焼けしそうです。


 「はぁ……」


 リンファは突然の告白にあの後返答出来ず固まってしまって居た。

 その様子を見て居たアデルは「また来ます」と一声かけて帰ってしまったのだ。


 「好きだなんて初めて言われたわ」


 今年で14歳、彼女は告白されたことは実はこれが初めてでは無い、面と向かって告白されたのが初めてだったのだ。

 例えば、花を渡されてその花言葉が『愛してる』だったり、『毎日貴方の作るスープが飲みたい』だったり。


 例えとして適切なのかは分からないが、彼女は遠回しに好きだと言われて居たことは何度もあった、ただ彼女がそれに気付いていないだけだった。


 「どうしよう……また来ますって言ってたけど……」


 また来ると言うことは、また明日来るのだろうか? 悶々とした感情でリンファはあの青年のことを思い描く。


 優しそうな顔で、気弱そうで、でもその青い瞳はどこか神秘的で聡明で。


 彼のことを思うと心の中の退屈な自分の感情が少し晴れて行く気持ちがした。


 「悩んだって仕方ない、明日また会った時に聞けば良いわ」


 結局自分の今の感情をうまく表すことの出来ないリンファは、先延ばしにして明日の出来事に胸を膨らませるのだった。


 そうして明日がやって来た。


 自分の整理したい気持ちと、なぜ自分が好きなのかを知りたかった、だがその日の朝から店番を変わって待ち続けても来るのは喧しい行商人ばかり、昼を超え夕方になっても彼の姿はどこにも無かった。


 「うーん、来ない……」


 アデルは来なかった、その次の日もまたその次の日も。


 「……何で来ないのよ!」


 一向に来ない、一週間ずっとリンファは店の前で待っていた。


 もう一週間過ぎた頃からヤケになっていた、絶対に次あったら問いただす「良い度胸してんな」と。


 そんなリンファだったが二週間過ぎた頃からどうでも良くなっていた、あの出来事は夢だったんだと。


 「何だろう……虚しいなぁ」


 アデルという青年を自分は勝手に作り出していたんじゃ無いかと、あの日店番して良い天気だったからうたた寝をして夢を見ていたんだろうと。


 そうして自分に納得を無理やりつけていた、その考えでさえも一ヶ月立ってしまえば忘れ去られて、あの日の告白は忙しい毎日によって消え去ってしまっていた。


 そうして月日は経ち、あの告白から二ヶ月後。


 「また来ました、リンファさん」


 優しい顔でそう声をかけて来たのはアデルだった、良く晴れた日に最初に会った時と同じように気弱そうに。


 リンファはアデルの事をすっかり忘れていた、だからこんな言葉を返してしまう。


 「えーと、誰?」


 その言葉を聞いたアデルは目を見開き、一瞬悲しい顔をした。


 けどすぐに表情を戻し、諦めもせずにリンファに向かって告白するのだった。


 「覚えていませんか? 貴方に一目惚れした男です」


 その言葉を聞いてリンファは半目だった目を見開いた、思い出したのだ二ヶ月前自身に告白して来た酔狂な青年のことを。


 「あ……アデルさん?」


 「良かった、覚えていてくれたんですね」


 「え……えぇ、中々に衝撃的だったので」


 「そうですか、それは良かったです」


 「それはそうと、随分と話が流暢になりましたね」


 「はい、あの後更に東に行きまして唐の国を回っていたら上達しました」


 「はぁ、それで遅くなったのですか……」


 「遅くなった?」


 「……こっちの話です」


 アデルは頭にハテナマークを浮かばせて眉をハの字にしていた、その様子を見てリンファはため息しか出ない。


 「そうです、リンファさんにプレゼントがあるのです」


 「プレゼント?」


 そういって、彼が荷物から出して来たのは一枚の押し花だった。


 「リンファさんは言ってましたね? 「蓮の花」が名前の元だと」


 「えぇ、もしかしてこの花は蓮の花ですか」


 「そうです! 旅の途中に咲いていたので押し花にしました」


 何だろう、この青年はどこか残念な感じがして来た。


 「アデルさんこう言っては悪いのですが」


 「?」


 「蓮の花は我が家の家の裏にもあります……」


 「oh……」


 沈黙が二人の間を駆け抜ける、リンファは言っちゃいけなかったと後悔した。


 「あ、でもでもこの押し花は嬉しいです! 有難うございますアデルさん」


 「そうですか……優しいですね」


 「本当ですよ! 元気出してください!」


 何で私が元気付けないといけないのか、若干のもどかしさを感じながらもリンファはアデルに会えた事を素直に喜んでいた。

 

 二ヶ月経った後でも彼は私の名前を覚えていてくれた、それが嬉しかった。


 「アデルさん、貴方にまた会ったら聞きたい事があったの」


 「うぅ……えっとはい! 何でしょう?」


 「何で私の事が好きになったの?」


 「……それは」


 アデルがどもる姿にリンファは少し落胆した、言い淀むような事なんだろうか。


 そのあとに続いた言葉に赤面すると思いもよらずに。


 「……そうですね。貴方を遠くから見かけた時、髪が輪っかに光ってまるで天使のようでした」


 「……」


 「近付いてみると、貴方が眠そうにいる姿がどこか愛らしくて、何処を眺めているのか分からない鳶色の瞳がとても神秘的に見えました」


 「……」


 「話しかけた時に億劫に手を振る貴方が、私の心をオアシスのように満たしてくれたのです」


 「……恥ずい」


 「どの街でもどの店も笑顔で接してくれました、けど何処か金だけの客だと素っ気なく言われているようで心が苦しかったんです、それを貴方の仕草が私には身近に感じれたのです」


 「ただメンド臭いだけだったんですよ」


 「それでも良かったんです、私はそんな貴方に惹かれたのです……貴方を好きになったのです」


 真正面から二度目の告白をされたリンファは恥ずかしくて悶絶しそうだった。


 (よくもそこまで言えるわね)


 呆れるほどに私の好きを丁寧に説明されて顔を赤くしない人は居ない、リンファもゆでダコのように真っ赤になって居た。


 「……よく分かったわ、取り敢えずありがとう」


 真正面を直視できないリンファは顔を背けながらそう声をかけるしか出来なかった。


 「今の貴方の真っ赤な姿、私は可愛くて好きです」


 追い討ちを掛けるように畳み掛けて話してくるアデルにリンファはノックアウトして居た。


 「もういいから、分かったわ」


 「良かったです」


 ニコニコと笑う彼を見て、何故だか無性にムカムカして居た。


 「私が聞きたかったのはそれだけよ、ありがと」


 そう言うと更に顔を背けて視界にアデルを入れないようにした。


 「……どうやら怒らせてしまったようですね」


 「……そんな事ないわ」


 「ごめんなさい」


 「だから怒ってないって」


 「……そうですか、仕方ないですね今日はおとなしく帰ります……」


 そう言って次の言葉を言った。




 ——また来ます——




 帰ろうとする彼の後ろ姿を見て思わず声をかけた。


 「……また来ますって、今度はいつ?」


 聞くべきではなかったのかも知れない、その言葉は何よりもの口説き文句だった。





 ——明日です——





 ニコッと笑う彼の姿を見て、不覚にもドキッとしてしまった。


 リンファはこの時気付いてしまった、また二ヶ月会えないと考えた時、胸が苦しくなったのを。


 どうしようもなくそのことに寂しさを感じたのを。


 自分の気持ちに気付いてしまった。


 あぁ、やっと分かったわ。


 私はどうやら。


 優しくて、気弱で、引き込まれそうな青い瞳をした彼を。


 アデルの事を。




 好きになってしまったようだ。

 

アデルは商会の一員として商売をしている行商人です。


その為、最初に会った時は既にその日の内に離れないといけなかったのです。


そうゆう話をページを使って書くとグダリそうなのでここに書いておきます。

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