清書……という名の『打ち込み』
物語を下書きしただけの状態では投稿できません。下書きは単にノートに書いた文字ですので、投稿できる状態にするには、何らかの方法でテキストデータ化する必要があります。最も簡単な方法は、ＰＣに向かい、ノートを見ながら、キーボードで打ち込むことです。ＯＣＲという方法もあるようですが、そのための機器を所持していませんので、この方法は採れません。ですので、投稿するためにテキストデータを地道に作る必要があります。
自分で書いた下書きをテキストデータ化するのは、意外と大変です。
まず、悪筆であることがあります。元々からして字が下手なことに加えて、書きたい文章に対して書く速度が追いつかないことも多く、余計に下手な字になります。頭の中に浮かんだ情景をとにかく早く文字にしたいと焦るばかりに、よく言われる『ミミズののたくったような』字になってしまい、後から読み返しても読み取れないことが度々ありました。そんなときは、ノートを斜めにして見たり、横にして見たり、前後の文脈から相応しい文字を推測したりと、何とか自分の書いた文字を探し当てます。そのたびにキーボードを打つ手が止まり、目も頭も疲れが増してしまいます。
次に、下書きの際は、「下書きが終わったら清書するのだから、何か変なところがあってもそのときに直せばいい」という思いで書いていたせいか、変な言い回しがそこかしこに存在します。『てにをは』がおかしな箇所や、部分的には正しくても全体としてはおかしな文や、漢字の誤り、意味の取り違え、などなど、いろいろとおかしな箇所が目に入ってきます。打ち込む際には、これらを正しく改める必要があります。ノートを見ながらキーボードを使用して打ち込むのですが、打ち込む際には日本語変換ソフトに助けられました。入力途中で、日本語変換ソフトがおかしいかもしれない判断した箇所を指摘してきますので、より正しいであろう表現に直すことができます。日本語変換ソフトの指摘がなければ、打ち込みはさらにたいへんだったと思います。
さらに、あまりに下書きの量が多いと――Ａ５版のノートで百ページを越えるほどになると――、下書きが完成してから清書しようというのは、時間を無駄にする可能性があると感じました。ノートの状態では紙ですので検索性能は最低です。或る登場人物の言葉を探す際にもノートを捲って探さなければなりません。下書きにしても、毎日書けるわけではなく、状況や場景などを考えているときには筆は進みません。その間は執筆が止まっていることになります。そんなときに、ノートを見ながら清書するのは、過去に書いた内容を思い出すことにもなります。文章の量が増えてくると、手書きでは台詞や場面についてほとんど頭に入るとは言え、初めのほうについては細かいことは頭の中から抜けていきますので、下書きを続ける上でも有効だと感じました。
いろいろと面倒ではありますが、下書き→清書、の方法を今後も採っていこうと思っています。
