五つの幻 「自由気ままの旅1」
大変遅くなって申し訳ありません。
時間かけた割には下手な文章ですが。
幻想郷に来てから大体一週間が経とうとしていた。
紫の家で家事とかをして過ごしていた。
他にやることと言えば修行ぐらいだろうか。
後はやたらと紫が私と一緒に寝たがるが、正直言って気味が悪いので断っている。
羨ましい?私はそうとは思わんがな。
そんなの恋人なりなってからじゃないか普通?
さて、ずっと屋敷にいるのもあれだしちょっと気まぐれで旅に出ますか。
もちろん二人には内緒だが書置きぐらいしておこう。
ちょうど二人とも出かけている訳だしな。
「しばらく気まぐれで旅に出ます。探さないでください。ちゃんと戻ってきます」
これで良し、なんだか家出みたいな感じだけどちゃんと戻ってくるからそこは安心してな。
さて、出発するとしようか。
「とりあえず教えてもらった人里にでも行くとしようか。……とその前に」
目を瞑り、体の内に眠る秘めた力を呼び覚ます。
そして髪が白くなり、段々と髪が伸びていき、ついでに服装も変わる。
現代にいた時に渋々受け取った私にとっては呪いに近い力。
私の一族はとうの昔に滅んだが、遠い国から来た奴らの力によって私だけが生き残っている。
昔、紫と昔戦った時には使っていない。
むしろその時死ぬつもりだったが何故か死ねなかった、奴らが私が必要だからとその力が勝手に守るからである。
ちなみにその力は奴らのほんの一部の力だが、それが四つもあるためかなりの力となる。
その力を使って変身するときは体の構造も微妙に変わり力も格段に上がるが、体の負担が相当大きい。
たまに変身して体を慣らせばある程度は軽減できるが。
「これでよし、一週間に一度ぐらいこうならないと変になるからな……紫、出かけてくる」
そう言い残して私は妖力を使って空を飛ぶ。
飛び方も一日でマスターしたので特に問題なかった。
とはいえ一つ問題が……。
「……人里ってどこだ?」
そう、人里があるというのは聞いていたがどの位置にあるかは聞いていなかった。
詳しく場所を聞いておけばよかったか。
「まぁいい、適当にふらつくか」
そういって飛ぶのをやめて地上に降り、草原を歩く。
近くに森があったのでそこに行くことにした。
瘴気がある様だがそんなもの私には関係がない。
入り口らしき所に建物が建っていたが、人の気配がしなかった。
「とりあえず森に入ってみようか」
特に目的があるわけではないがいずれ人里に着くだろうと勝手に思っていた。
かれこれ歩いて一時間、幻夜は迷った挙句明らかに人型ではない妖怪に出くわしていた。
狼の妖怪の様だ。
「ぐるるるる……」
「……」
しばらくお互い様子を見ていたが、痺れを切らしたのか向こうの妖怪が先に手を出した。
「ぐぁぁぁ!!」
狼の妖怪は幻夜に飛びかかる。
幻夜は微動だにせず呆れた様子で狼を見つめていた。
そして右手に剣を具現化させる。
幻夜は基本槍を使うが、変身状態では主に剣を使う。
「まあ、この状態で戦闘でどれだけ動けるか確かめるのも悪くはないな。しばらく遊んでやろうか」
そう言って狼の飛び掛かりをひらりと避ける。
幻夜はしばらくの間避け続け、攻撃が当たりそうになっても幻影で回避する。
狼の妖怪はばてたのか息を切らしている。
「そろそろいいか。残念だけどお前はここまでだ」
そういって霊力を溜め、周りが冷たくなる。
幻影だけど試してみるか。
ちなみにスペルカードと言うものを紫に教えてもらったが、面倒なので作らなかった。
「白き光、魂を凍らせよ『フローズン・レイ』!!」
冷気が狼を覆いそのまま動けないまま氷漬けになる。
こっちも生きるためだ、悪く思うな。
とはいえ幻影なのでそのうち術は解除されるようになっている。
「……この状態でもこれ位なら全然平気か」
体は特に違和感がないのでそのままその場を後にし、再び歩き続ける。
そのうち実戦に近い模擬戦でも考えていた、自分の力が今どれくらいなのか試したいからである。
考え事をしながらしばらく歩いていると、
「この森もだいぶ歩いたな……ん?家か、なぜこんな所に?」
この瘴気ではとても人が住めるような場所ではないからだ。
しかも妖怪もいる。
相当の物好きなのだろうか?
「せっかくだし人里の場所でも聞いてみるか」
そういって森の中に建っていた洋風の家の玄関に向かって歩く。
そして扉の前に立ち声をかける。
その前に変身を解いた。
別に深い理由もないがとりあえず。
「誰かいないかー?」
すぐには返事はなかったが奥から物音がした。
その音がだんだん近くなり玄関の扉が開かれる。
「どちら様?」
中から出てきたのは頭に赤いカチューシャを着けた青いワンピースの女性が出てきた。
私を見て驚くことなく話す。
「見かけない顔ね、ここに迷ったのかしら?」
「そんな所だ。人里はどの辺にあるんだ?」
「あの方角に行けば人里に着くと思うけど、妖怪のあなたが何しに行くのかしら?」
「ちょっとした観光だ」
「そう。……ねえ、あなたは外から来た妖怪かしら?」
「そうだが何かあるのか?」
何故外の世界の事を聞こうとしているのだろうか?
何か興味でもあるのか?
「私は人形について研究しているのだけれど、もしよかったら……」
「いいけどお前の為になるかどうかは知らんぞ?」
「別にいいわよ。そういえば名前を聞いてなかったわね。私はアリス・マーガトロイドよ」
「我は如月幻夜だ。……そういえばあの後ろに隠れてるのはなんだ?」
「ん?あぁ、あの子は上海よ」
アリスの言っていた人形か。
随分綺麗にできていると感心する。
「立ち話もなんだし中に入らない?」
「いいのか?」
「勿論、どんな話を聞かせてくれるのかしら」
「それはお楽しみだ。では、上がらせてもらうぞ」
そういって私はアリスの家に入る。
中を歩いているときもたくさんの人形が置いてあった。
夜に歩いたらちょっとしたホラーな感じになるだろう。
私とアリスが席に着くのと同時に先ほど上海と呼ばれた人形が何かを持ってきた。
「ありがとう上海。紅茶だけどよかったらいかが?」
「勿論いただこう」
そういってアリスはティーカップに紅茶を注ぐ。
何の種類かは分からないがなんとなく匂いでいい紅茶なのだろうと思う。
ティーカップに注ぎ終わるとそれを上海が持ってくる。
そして紅茶を一口に含む。
「ほう、日本茶とはまた違った味わいだ。中々の紅茶と見受ける」
「ありがとう。じゃあ、早速だけど……」
「そうだな……」
どうやらアリスは自立人形を作ろうとしているらしく、今の人形は一応命令すれば動くが定期的に魔力供給しないとダメとのこと。
今いる上海とかその他の人形がそうらしい。
参考になるかどうかは分からないが、ロボットと言うものについて話をした。
話をして大体十分位。
「……なるほどね」
「参考になったか?」
「ええ、聞かせてくれてありがとう」
「そうか、それはよかった」
「そうだ、あなた疲れてない?」
「特には疲れていないがどうしてだ?」
何故このような事を聞くかは分からないが何かあるのだろうか?
もしかして人里とこの森は遠いのか?
「一応人里の位置は知っているけど、私は明日そこに用事があって……」
「なるほど。明日になればお主も行くからついて来いと?」
「そういうこと。だから今日は私のうちで休んでいかないかしら?」
うーむ、人里の件に関しての問題はとりあえずどうにかなったとして、また別の問題が。
妖怪とはいえ男をそう簡単に泊めようとても平気なのだろうか?
「いいのか?」
「興味深そうな話も聞けたし、そのお礼としてね」
「君がそう言うなら……」
別に急ぎの用事でもないのでのんびりするのもいいと思い、アリスの家に泊まることに。
その夜、私は寝付けなくて外に出て、空を見ていた。
「幻想郷も外の世界と同じように星が綺麗だ」
この星を見ながら外の世界にいた時の事を思い出す。
そう、昼間変身した時のあの力を持つ者たちに会ったのも雲一つない夜の空の時だった。
「今思えばあの時あいつらにあったのが運の尽き、本来なら……」
あの時死んでいたはずだった、寿命で。
元居た一族よりも長生きしていたが、それでもいずれその輝きはなくなる。
しかし、その力を無くすのは惜しいと奴らに力を入れられ結果的に簡単には死ねないような体になってしまった。
「でも、あれが無かったらこの幻想郷は見れなかったのか。今思えばよかったのかもしれん」
今でもそいつらを八つ裂きにしたくなるほど恨んでいるが、この事だけは感謝してもいいかもな。
そう思った矢先、とある気配を感じる。
「……!?この気配は……何故奴がここに?」
私を追って来たのか?
もしそうだとすれば……。
「しかも一番やばい奴がきたか」
連れ戻されて堪るか、私はここで永遠を暮すと決めたのだ。
「邪魔をするなら……幻影の中で消えない苦痛を味あわせてやる」
そう心の中で決意した。
とある場所
「やはりここで間違いないな……」
姿は幻夜と同じような黒い服装で、しかも翼と尻尾が生えている。
「そろそろ彼も今の体のままではそう遠くないうちに朽ち果ててしまうだろう。その前にあの体を再構築せねばならん」
手に持っている宝形らしきものをギュッと握りしめ言う。
「さて、早く見つけなければ……」
その男は闇の中に姿を消した。
次は人里編です。
予定では一、二話ぐらい日常編で、番外編を挟んでその後異変に突入すると思います。