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四つの幻 「冥界の親友2」

後編です。

 紫の屋敷にも劣らない見事な屋敷である。

しかも庭もとても綺麗である。

誰が手入れしているのだろうか。


「あのー……」


「……ん?どうかしたか?」


「さっきからずっと庭を眺めているようですが」


「ああ、つい見とれてしまってな。いい庭だと思ってね」


「本当ですか?」


「我はよく嘘を吐くけど、これは偽りのない率直な感想だ。聞いた感じだと魂魄が……」


「気に入っていただけましたか」


「もちろんだ」


「ありがとうございます」


 本当にいい庭だから困る。

思わず見とれてしまう程にね。

今の現代だとこうゆうのは少ないからな。


「では、そろそろ中に上がらせて貰うかな」


「早速客間に案内しますね。紫様は先に行っておりますので」


 ともかく白玉楼に入れさせてもらうことにする。

そういえば会いたい奴とは一体どんな奴なのだろうか。

紫の親友とは言っていていたが……まあ、似たような奴かね。


「こちらになります」


 妖夢が襖を開けるとそこには、


「来たわね」


 余計な事をしてくれた紫と、


「あら~、あなたが如月幻夜さん?」


 水色の着物を着た女性がいた。

この人が私に会いたがっている人なのだろうか。


「あぁ、確かに我は如月幻夜だがお主は?」


「西行寺幽々子といいます、よろしくね幻夜さん」


「よろしく西行寺」


「とりあえず座ったら」


 そう言われとりあえず腰を下ろす。

紫と幽々子はお互い向き合って座っていた。

四角いテーブルの空いている所に座った。

妖夢からもお茶を貰い話題を切り出す。


「っで、西行寺とやら、我に会いたいという理由で紫と手を組んであんなことしたのか?」


「妖夢の事ね。確かに会ってみたいついでに、強いって紫から聞いたからいい修行相手になると思ったのよ」


「……っで、紫は魂魄にあんなことを吹き込んで我を陥れたわけか」


「いいじゃない、いい修行になった手でしょ」


「長引くと不利になりそうだったから本気出したがね」


「そういえば途中から二人になっていましたけど、あれはなんですか?」


 妖夢から質問される。


「それは我の能力の幻影を操る能力だ」


「幻影?」


「試してみると……ふん!」


 そう言って鏢を幽々子に向かって投げる。

もちろん幻影なので実際には投げていない。


「幽々子様!幻夜さん、いきなり何を……」


「安心しろ魂魄、これが幻影だ」


「えっ……あれ?」


「分かりやすく説明すると幻を見せる、あたかもそのように見せる物だ」


「じゃあ、さっき投げた物も」


「幻影だ。少しは分かってくれたかな、西行寺に魂魄?」


「突然でびっくりしたけど面白い能力ね」


「逃げる時にも便利だし戦闘でも便利、こんな能力持っててよく弱い弱い言ってたわね」


「あんまり目を付けられても困るしな、我は静かに暮らしたい派なのだよ」


「その割には昔、同族……いいえ妖怪殺してたわね、幻夜も妖怪なのに」


「今でも人間が好きだしな。後、それと能力を応用してこんなこともできる」


「「「……?」」」


 三人が不思議そうな顔で見る。

まぁ、紫には見せていないが魂魄にはさっきの戦闘で見せている。

戦いに夢中だったからよく覚えていないのだろう。


「紫、適当に板でもなんでもいいから何か隙間から取り出してくれ」


「これでいい?」


「十分だ」


 そういって立ち上がり、その板を手に取る。

鏢を手に取り軽く傷をつける。


「これは本物。けど、これから見せるのはちょっと手品のようなものかな」


「手品?」


「こうゆう風にな」


 そういって板を投げ、続けて鏢も投げる。


「二本になった!?」


「でも、幻影なのでしょう?」


「そうでもないんだな、これが」


 庭に落ちた板を拾い三人に見せる。


「嘘……触れるのこれ……」


「紫、どういうこと?」


「幻影に妖力を混ぜ込んで、ちょっとした時間だが質量を持たせられるのだよ。ただし、量が増えれば増える程持続時間が短くなる」


「じゃあ、私があれを叩き落としたときの妙な違和感は……」


「本物の様で本物じゃないと言ったところか、不思議な感じがするだろうね」


「あなた、こんな規格外な術いつ身に着けたの?」


「ざっと百年掛かった。最初はほんの出来心だよ」


「幻夜さんってすごいのね~、紫に聞いたけど戦ったことあったんですって?」


「紫様と!?」


「あれか、幻想郷が出来る前になちょっとしたきっかけで戦うことになったが……」


「結果は引き分けでお互いボロボロだったわ、懐かしいわねー」


「引き分けね~、今やったらどうなるのかしら」


「さあね、まともにやり合ったらきっとそこら一帯が焼け野原になる事は確かだがね」


「そんなにすごかったんですか……」


 あんまり昔話をすると長くなりそうなので私はとある一つの疑問を口にする。


「一つ質問いいか?ここは冥界か?」


「よく分かったわね」


「やはりそうか。スキマで落とされた場所もそうだが、途中で霊を見たしな」


「そう、私はこの冥界の管理を任されているのよ」


「紫とはずっと知り合いなのか?」


「記憶がない生前含めてもそうね、結構長い付き合いよ」


 言われてみるとなんか紫と親友だと納得する。


「……」


「西行寺、なんだ?我の顔になんか着いているか?」


「いいえ、こうして見てみると紫が言ってた通りの人ね。馴染みが浅い人にはなんとなく距離を置いている気がするのよね」


「そうですね、なんとなく壁を作っているような感じですね」


 痛いところ突かれたな。

元々私がいた一族はあまり力ない妖怪の集団だった。

しかし、私だけは力が強すぎた。

皆は普通に接していたが、突き放されるのが怖くて自ら距離を置いてしまった。

しかも遠い昔に一族が滅んでも私だけは生きていた。

ある意味呪いなのかもしれない。

力を持った者の代償として。


「……まだ癖が抜け切れてないか、直そうと思ってもどうしても一族の事を思い出してしまう」


「……幻夜さん」


 なんか暗い感じになってしまったな、どうしたものか。


「紫、そういえばあの時聞きそびれたんだけど」


「どうしたの幽々子?」


「好きな人いるの?」


「え、えっと、それは……///」


「おい、何故こっちを見る紫」


 なんだんだぁ、今のはぁ?

妖夢が状況が呑み込めてないのか、頭に?浮かべてんぞ。


「くすっ、とっても分かり易い回答ありがとう紫。それにしてもいい顔してるわね、幻夜さんって。モテないのが不思議なくらい」


「モテようがモテまいが我には関係ない」


「残念ねぇ~、……そうだ!えい!」


 急に私の方に向かって飛びついてきた。


「ちょっと、幽々子様!?」


 まぁそれはびっくりするわな、私もびっくりだがね。


「ふふ、なんだか安らぐわね」


「幽々子、今すぐ離れなさい!」


「少しぐらいいいではないか、紫もやっただろうが」


「あの時とは状況が違うわよ!」


「あんまりうるさいとここに居つくぞ」


「……ごめんなさい」


「ついでに頭も撫ででくれると嬉しいかな」


 そう言って帽子を外し、頭を撫でる。

……そんな目で見るな紫、後でやってやるから。


「あの~、幽々子様。さすがに幻夜さんも困っていると思うので……」


「それもそうね」


 時間の感覚からして十分は経っていないだろうが、大体そのぐらい幽々子とくっついていたような気がした。

紫は顔に私はムカついていますと言っているかのような状態、そう怖い笑顔の状態である。


「幻夜、そろそろ時間も時間だし戻りましょう」


「そうだな。今日は楽しかったよ、御二方」


「こちらこそ失礼を働いてしまって」


「構わないよ、少しはにぎやかな方がいいと思うが?」


「そうよね~、また遊びに来てね」


「機会があればな」


 二人に手を振った後紫の隙間に足を踏み入れ、紫の屋敷に戻っていた。

紫たちがスキマに入った後。


「なんだか不思議な人でしたね」


「えぇ、外は冷たくても中は暖かい、そんな人でしたわ」


「というと?」


「冷たく軽くあしらっていても、結局は動いてしまう人だという事よ」


「そうですね。また会いたいところですね」


 紫の屋敷では。


「幻夜、なんで簡単に抱きつかせちゃうの!」


「いいじゃないか、何か不都合な事でも?」


「えーと、それは……」


「……まだお昼三時位だし、ちょっと来い」


 そういって私は廊下に出てその場で正座した。


「……何?」


「膝枕と言うものは知らんか?」


「一応知ってるけど……えっ」


「えっじゃない、ここに頭乗っけて昼寝してもいいぞ」


「本当にいいの!?」


「いいから早くしてくれ」


「では、遠慮なく♪」


 やれやれ、本当にコロコロ変わる奴だ。

しかもすぐ寝やがった。

○び太か己は。


「すぅすぅ、えへへ~げんや~」


「一体どんな夢を見てるんだ」


 しかし本当に幸せそうに寝ているな。

昔、私が手を下した出した奴でもこんな寝顔になっているのだろうか。

主に妖怪だが、さぞ幸せそうに寝るだろう。


「……我もこんな風に笑えるのだろうか、鏡がないから分からんが笑ったことがない気がする」


 いつかこんな風に笑える時が来る、そう思ったが急に来た眠気で目を閉じてしまった。



 遠くから見ている九尾というと。


「なんだか二人を見ていると恋人みたいな感じですね、二人とも寝ていますし」


 そう、膝枕の状態で。


「さて、夕飯の仕込でもしますかね」


 その見つめていた眼はなんとも羨ましそうであった。

……なんでこうなったのかな、まぁいいか。


予定としては後2,3話ぐらい書いた後、永夜抄の異変に入りたいと思います。

しかし主人公は戦いません。

非常な場合を除き、基本は姿をくらまします。

昔と違って面倒事が嫌いだそうなので。

多分散歩気分でぶらつくんじゃないでしょうかね。

その辺はじっくり考えます。

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