三つの幻 「冥界の親友1」
とりあえず冥界へボッシュートしました。
紫を出すならこの人も出すでしょう。
後、この物語の時間軸としては萃夢想が終わった後あたりです。
幻想郷に来てから三日がたった。
とりあえずここでのルールなどいろんなことを紫、藍に教えてもらった。
なかなか興味深い話が聞けたと思う。
この屋敷で家事などしながら時間が経っていったって感じかな。
そんなあるときである。
「幻夜、あなたの事を親友に話したらぜひ会ってみたいって人がいるんだけど」
「ふーん、どんな奴だ?」
どんな奴だろうか?
抜け出すことも間々あるので別に気にしていなかったが。
紫の事だから何かあるだろうが。
「まぁ、会ってみればわかるわ……はい」
「ん?……おい紫」
「スキマに一名ご案内^^」
「……はあ」
突如足元に開いたスキマに呑まれた私。
何か面倒事が起きそうで不安であった。
「……なんだここは?」
いつの間にか倒れていたので体を起こす。
スキマで移動している途中で気絶でもしていたのだろうか、情けない。
辺りを見渡すと空気がひんやり感じる。
どうやら屋敷とは違う場所にいるようだ。
そして長い階段があった。
「ずいぶん長い階段だな、運動がてら飛ばずに行くか」
一応幻想郷に来てからすぐに空を飛べるようになったが今までの生活がまだ染み付いているせいかどうも違和感を感じる。
じきになれるからいいかもしれんが。
「さっきから見える白い物は……霊か?」
そう、それはいたるところにいた。
霊がいるとなると現世とは違うところなのだろうか。
これは誰かに聞かないと確証を得ないので、とりあえず頭の中から外す。
「しかし長い階段だこと。いつ終わるんだ」
終わりの見えない階段に心底うんざりしていた。
しかし、会いたい人がいるならば直接送ればいいのにわざわざ変な所に落としたのは何故だろうか?
相変わらず何を考えているのか分からない奴だ。
「……むっ、家らしきものが見えるな」
ようやく人が住みそうな物が見えた。
しかしよく見ると緑の服を着た一人の女の人がいた。
「すまない、お主はここの家の住民か?」
「はい、そうですけど?」
「八雲紫はいるか?」
「さぁ?私はとある人物がここに来ることは知っていますが」
「とある人物?」
「如月幻夜という人です」
「ふむ、なら我がその如月幻夜だ」
「……そうですか」
「何だ……っ!!」
今喋っていた人がいきなり持っていた刀で斬りかかってきた。
どうにか紙一重でかわした。
私は何かしたのだろうか?
「……何のつもりだ?」
「紫様から聞きました、とても悪い奴が今日ここに来ると」
紫の奴、変なこと吹き込みやがって。
帰ったらどうするか、お仕置きしておくか。
しかし面倒だ、どうにか説得させるには武器を手に取るしかないか。
「だからここで成敗します!!」
「やれやれ……どうにかなるといいけどな」
空中に浮かぶスキマに見られているとも知らずに。
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一方白玉楼の中。
「いいの?妖夢の修行の一貫といってもあんなこと言って平気だったの?」
「大丈夫、幻夜なら許してくれるわ」
いいえ、絶対許さないでしょうね。
「大変ねその人も、幻夜さんだっけ?」
「そうよ。自分が弱いって言ってるけど本当は強いわよ」
「妖夢でも勝てるかしらね?紫が言うのだから相当腕に覚えがあるようね」
「結構昔だけど私と引き分けたわ。幽々子でも勝てるかどうか」
「へぇー。こうして今隙間から見てるけど本当に強そうね。戦うのはいいけどいつ止めるの?」
「それは私の判断で決める。それなりに楽しめそうだし」
「そうね」
何とものんきな二人である。
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場所は戻って白玉楼の階段付近。
「はぁ、やぁ、せい!!」
「……(速いし剣筋もなかなか、ちょっと本気で行かないとやられるか)」
緑の服を着た人は相当の剣の達人なのだろう。
かなり剣筋が鋭く、隙も少ない。
気を抜けば確実に貰うだろう。
「いい加減ちょこまかと……こうなったら」
「(何をしてくる?)」
「スペルカード!人符『現世斬』!!」
「っ!(さっきより速い。それよりもスペルカードって……あぁ、紫に教えてもらったあの事か)」
幻想郷に来てから必要最低限の事を紫に教えてもらった。
スペルカードは簡単にいうと決闘方法の一つだとか。
あいにくスペルカードは持ち合わせていないが。
とにかく今は戦いに集中しないと。
「今はまだ序の口ですよ。断迷剣『冥想斬』!!」
「(今度は剣が光るか……仕方ない、長引かせてもあれだしそろそろ仕掛けるか)切り刻まれろ、妖爪羅刹閃!」
「そんな飛び道具一つだけでは……」
「一つではない……何倍にも増やしてやる」
「えっ!?本当に増えた!?」
鏢を一本投げ妖術で高速複製し敵を斬り付ける技。
ちなみに妖術で複製した鏢は切れ味を持つ。
しかし本物は一本だけだが。
「ですけどこんなもの全部叩き落として見せますよ!はああああああ!!」
ものすごいスピードで斬撃を放ち鏢をすべて撃ち落していく。
緑の服の人こと妖夢は違和感を感じていた。
「(しかし妙な武器ですね、手ごたえがあったのは最初だけでその後はまったくない。一体どんな技を……叩き落とした武器が一本だけ?)」
「あれを全部落とすか……あんまり長引くとあれだし一瞬で決めるか(戸惑っているようだし決めるなら今かな)」
そう言って私は妖力を解放する。
普段は制御しているが戦闘の時は話は別である。
そして右手に槍を具現化させ、手に取る。
「それがあなたの主力武器ですか、いいですよかかってきてください」
「……そうか」
「消えた!?」
私の能力を使って姿を隠す。
しかしこれ程の腕の奴ならすぐばれそうだが。
「……そこ!!」
「ばれたか、しかし今お前の後ろにいるのはなんだ?」
「えっ?」
妖夢が後ろに振り返るともう一人いた。
「分身!?」
「よそ見してる暇はないんじゃないか?」
そう言って私はあらかじめ出しておいた幻影と共に斬りかかる。
「くっ!」
かなり速い動作で二人を斬った。
しかし、両方とも幻影である。
「やっぱり大したもんだ。すごいよお前は……けどもう勝負はついている」
「……いつの間に目の前に」
すでに槍を緑の服の人の首筋にあてている。
もちろん一振りで仕留めるつもりだが。
「さぁね、これから死に逝くものに答える義理はないよ」
殺す気はないけどね。
「!?」
「驚いた顔してるけど我を殺すつもりで来たのだろう?では……」
そう言って斬る動作をするが不意に腕を掴まれる。
多分奴だろうが。
「紫……」
「幻夜、そこまでよ」
「あんな出鱈目なこと吹き込んでおいて何がそこまでだ」
「ごめんなさいね、ちょっとあなたの実力を確かめたかったの」
「そんな事だろうと思った。すまないな緑の人、あんなこといって」
「いえ、私は大丈夫です」
「とても腕だな、我も内心ひやひやした」
「ありがとうございます。しかし、あなたは一体……」
「その辺も含めて白玉楼で説明するわ。では、改めてお邪魔するわ。あっ、そうそう幻夜は本当は客だからその辺よろしくね妖夢」
「調子のいい奴め、そういえば名前を聞いてなかったな」
「魂魄妖夢といいます」
「魂魄か、よろしく。我は如月幻夜だ」
「こちらこそ幻夜さん、白玉楼へようこそ」
面倒事があったがどうにか片付いた。
魂魄が会いたい人ではないとすると、一体誰なのだろうか?
後編らしきものに続きます。
戦闘描写はやはり難しいです。
誰かコツを教えてください。