一つの幻 「プロローグ」
東方竜波紋のほうが行き詰っているのでもう一個小説を作りました。
こちらもオリキャラ要素など含んでいるので注意してください。
ではどうぞ^^
平成××年 とある森
自分は今とある森の奥にいる。
今となっては昔に比べて随分と狭くなったもんだ。
これが時の流れか……なんだか短く感じる、ふとそう思った。
私は人間ではなく妖怪である。
ただ、今ではこの現代で生きている妖怪は私だけではないのだろうか。
だいぶ昔に私のとある友人が妖怪も生きていけるような世界を創ってから、この現代と呼ばれる所は妖怪が極端に少なくなった。
妖怪が住めるような森とかも少なくなり、どこもかしこも人が住むような家がたくさん並んでいる。
人が住む家の土地の確保の為に森も切り開く。
当然、人に自分の存在を悟られるわけにもいかず持っている能力ー幻影を操る程度の能力ーを使い場所を転々としているが、ここ最近はその回数が多くなった。
私がこの現代に住むのも限界が来たのだろう。
平安と呼ばれる時代から生きてきたが、私のたった一人の友人が見たら驚くだろう。
まあ、あのチート臭い能力でたまに見ているだろうが。
そんな人の姿に黒い獣耳を生やした妖怪が森の中をウロウロしていた。
名を如月幻夜という名の狐の妖怪が。
「……ふぅ、今日の食材は確保できた」
両手に山菜を抱えており、それを地面にゆっくり置く。
「しかし、最近はずっと近くにある山の山菜ばかりだ。この森あんまり果物とかないからな」
ため息を付きながらも少し遅めの朝食をとる。
とはいえ山菜なので特別調理するわけでもない、水できれいに洗えばいいのだ。
近くにある川で山菜を洗いそれを食べる。
「さて、朝食は終了だな。これからどうするか……っといってもあまりすることもないんだがな」
このところずっとこんな調子で過ごしている。
現代のお金を持っているわけではないので街に行くことはない。
あるとしても妖術の修行か、川魚を取りに行くかである。
そしてあの時の事を思い出したように呟く。
「あの時奴と一緒に行けばよかったか?いや、我は自分の道を生きていくと決めたのだ。いまさら……しかし最近は人を見ることすら避けている、人がどう歩んでいくか見るのが我の楽しみであったのに」
そう、この妖怪人が大好きである。
妖怪には力があるが、人にはそれがない。
だが、人には立ち向かう力という妖怪にはないものがあった。
人とは時には信じられないほどの力を発揮する。
それが人の強さだと幻夜は思った。
そんな人間が上に立つとどうなるか、どんな変化があるか。
人間に惹かれた妖怪はその行く末を見たくて妖怪が住めるような場所よりもここに残った。
しかし、最近はその人間の進歩が滞り昔のような惹かれるものが薄れていった。
そんな人間が見るのが嫌だったのか、最近は人を見ることすら避けていた。
「……どうすればいいいいものか」
「では、あの時いけばよかったという所に連れて行ってあげましょうか?」
「……相変わらずだな、八雲」
いつのまにか隣にいた人、もとい妖怪ーー八雲紫である。
幻夜のたった一人の友人である。
「腕にしがみつくな、気持ち悪い」
「ひどいわ、貴方のたった一人の友人なのに……」
「別に気にしないからいいけど」
「……」
「どうかしたか?」
「……別に」
なんだか顔が曇っていたが紫が幻夜に会うといつもこんな感じである。
「それで何の用?」
「用があるのは貴方の方でしょう?」
「そうだった、何処に連れて行ってくれるって?」
「私が創った幻想郷というところよ」
「へぇー、そんな名前がついていたのか。いい名前だな」
「でしょ?それで今からそこに貴方が良ければこのスキマを通って幻想郷に案内出来るわ」
「こんな力のない妖怪でもいいのか?」
「まだそんなこと言ってるの?貴方は十分力のある妖怪よ」
「そんなことないんだがな……早速で悪いが案内頼めるか?」
「なによ急に改まって、昔はもうちょっと乱暴な言葉だったのに……変な病気にでもかかった?」
「ある意味今の我の状態だな。生きる意欲を無くしかけている」
「それは大変ね、では早速行くわよ」
「おい、腕にしがみついたまんまか!?……まぁいいか」
こうして現代で生きていた一匹の妖怪が幻想郷の賢者と共に別の世界に足を踏み入れた。
次はキャラ設定を出したいと思います。
こちらの方もぐだぐだですがよろしくお願いします。