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Dead end world.  作者: NPTNs
区宮志悠編
8/34

コンビニで…… (下)

 仕方ない……この街は既に死と化した街、良い気はしないが脅すしか方法はなさそうだ。

 俺は腰にあったリボルバー拳銃を右手で持ち、構える。


「おい! 騒ぐんじゃないぞ、大人しくしてれば命はとらない」


「ヒッ!」


 銃口を向けられた男性は驚く。指示していないのに両手を上げ、無抵抗を示す。


「悪いな、今は食料が必要なんだ。騒いだりしなければ何もしない」


 男性はコクコク、と首を縦に振り口を固く閉ざした。


「それと袋をくれないか? なるべく大きい袋を頼む」


 両手を上げたまま座り込み、袋を片手で取る。もう片方の手は上げた状態で立ち上がり俺に袋を手渡す。

 案外、話し合えばわかった奴だったのかもしれないな。

 食料はなるべく長持ちするものでないと後々大変だ。

 俺はこの行為に罪悪感を抱きながらも食料と水も確保し、十分袋に詰めたところでレジの前へと戻る。


「しかし、よく(ゾンビ)に襲われなかったものだな。お前は運が良いらしい、けどこの先気をつけろ。ここにもいつか屍はやってくる」


「(やばっ……何この臭さ)」


 自分で自分の言葉に臭さを感じながらも、コンビニを後にしようと自動ドアを開け歩き出す。ところが悪役を背負った俺に、ヒーローの仕事は無理だった。

 真正面から真のヒーローが、俺を蹴り飛ばす。


「ぬはっ!」


「アンタ、私のコンビニに手を出したわね!? 人間だろうが容赦しないわよ!」


 目の前に、いかにも格闘家と思わしき短髪美女が立っていた。それに顔立ちは紗依さんと似ている。


「な、何だ!? っぐ……腹痛ぇ……」


「『何だ』はこっちのセリフ。人の食べ物を盗むなんて、どれほどの悪人なのよ」


「(はは……短気な女子ほど短髪が似合うのは何故だろうな)」


 そんなことを思いながら、俺は目の前の美女に見惚れていた。

 短髪美女はというと、俺の拳銃をずっと見ている。


「それ、今すぐ渡しなさい」


 日の光のせいか輝いて見える美女は、拳銃を渡せと言う。これを渡せば唯一の対屍武器を失うことになる。又、この美女が俺を殺しかねない。

 俺はその言葉を拒み、拳銃を強く握る。


「いいから早く渡しなさい! 私たち、死ぬわよ」


 その言葉の後に続いて聞こえたのは、喉に力を入れた時のように発せられる唸り声。それも今までで特に大きな合唱であった。

 屍の数は十……いや、それ以上の大群で此方に向かってくる。見た瞬間に手の力が抜け、食料や水の入った袋を落とした。


「早く渡せ!!」


「……あぁ」


 頭の中は混乱して、俺は無意識にリボルバー拳銃と予備弾の入った袋を渡す。


「これの装弾数と残弾は何発!?」


「え、あ、装弾数は五発。残弾は二十発、だ……」


 言葉に従うしかなかった。この美女は怖い。その時、ようやく現状を理解し、


「……ってちょっと待て、この数を相手にするのか?! 無茶すぎる!」


 集まった屍は、軽く十八人はいるだろう。けれどリボルバーの反動は大きいらしく、頭に命中させるのは難しいはずだ。しかし、俺の心配など無用だった。短髪美女はリボルバー拳銃を両手でしっかりと持ち仁王立ちの状態で狙いを定め、頭を打ち抜き殺していく。それも連射速度が早い。体内時計で時間を計っただけだが、恐らく二秒間に二発は撃っている。


「(リロードは早くないけど……これならいけるっ!)」


 と、思ったがいつまで経っても構えない。


「何をやってんだ、屍が来るぞ!」


「うっるさい! これリロードしにくいのよ」


 不器用、とかそういう問題じゃない。リロードしようと弾を入れるが入らずに地面に落ちる。そして諦めたのか袋に弾を戻して俺に投げつけた。


「それリロードしておいて、私が何匹か倒しておく」


「お、おい――――」


 一人で突っ走っていく美女。

 彼女は自身の素手と足だけで残り十三人の屍たちを相手にする。驚きながらも、俺はリボルバーに残弾を装弾していく。


「(よし五発詰め込んだ。これで残弾数は十五発だが、なんとか大丈夫そうだな)」


「おい、リロードしたぞ! 早く受け取れ」


「オーケー!」


 俺の声に返事をして一人の屍を蹴り倒し、此方に向かい、そして先程と同じように的確な命中率で撃ち殺した。

 撃ち終わると美女は再び屍の方へ行き足止めをして俺はリロードを繰り返し、なんとか危機は去った。


「倒したのか、ふぅ」


「はぁ、はぁ……疲れた」


 安心して俺は座り込んでしまう。一方、美女は手に持っていた水を一気飲みする。


「ちょ、それ俺のじゃないか」


「なーにが『俺の』よ、私のコンビニから奪っておいてよく言えるわね」


「ここ、お前が店長なのか?」


 それを聞くと美女は「何言ってんの?」、と言わんばかりに呆れた。


「私のコンビニって言うのは、私専用のコンビニって意味よ。私が店長だったら蹴るじゃ済まさないし」


「ああ……そうか、行きつけのコンビニなんだな」


 ほとんど棒読みで返事を返してしまった。正直、馬鹿すぎてこっちが呆れている。


「(なんか……言動が残念すぎる。しかし、一体こいつは何者なんだ)」


 銃の扱いに長けてるし身体能力も並外れている。それにさっきの屍たちのヘッドショットが百発百中だった。

 美女はプハー、と美味しそうに水を飲み干す。この時、区宮志悠は気づかなかった。彼女が感染者だと。



To be continued....

これで区宮志悠編は終わりとなります。

え? あのコンビニ店員?

あの人は…これからのお楽しみですよ(笑


10/17 修正

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