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Dead end world.  作者: NPTNs
区宮志悠編
5/34

ウィルス(下)

 感染してからおよそ二十分が経過しただろう。

 俺たちは今、五人と四人の二グループに分かれ、抗ウィルス剤の在処を探している。女子五人の紗依さんグループは一~三階を探し、男子四人の拓斗グループは四~七階を探すことに。

 紗依さんが言っていたように(ゾンビ)はいないと思う。それでも念の為、紗依さんは女子たちと行動を共にすることにした。

 一方、むさくるしい男四人グループは一人を除き、異論はないまま抗ウィルス剤を探すことに。

 四階の各部屋は主にレポートが保管されていた。ある一室のレポートにはこれまでの調合、マウス実験、実験結果など記されて、およそ四百枚に及ぶ束となっている。

 四百枚の内、四分の一は赤いインクで×(バツ)印がつけられ、残りの百枚ほどに屍ウィルスについて書かれてあった。

 俺には時間が無いことは無論、承知している。そんな中でも研究者たちが一生懸命、研究してきたレポートに目が引き込まれた。

 俺は最後の一枚を手に取り、黙読する。


『この世で存在しない蘇生薬を作ろうと必死に研究と実験を重ね。

 それでも完成の兆しさえ見えない毎日。

 我らが研究と実験を重ねて、ようやく出来上がったのが屍ウィルス。

 見かけは蘇生に成功したかもしれない、しかし人間ではない。

 今はまだ完成とは言えない蘇生薬だ。

 この研究を遠い未来でも行い、いつの日か完成することを祈る』


「(俺たちの知らないところで、こんなことをしていたのか)」


 なんというか、素直に驚いた。

 たった六行の文章は、俺に衝撃を与えるのには十分だった。

 全てにおいて、立ち止まっていては一歩も進まない。ただ『一歩前に進もう』、と考えても、それを実行しなければ意味はない。そう、実行しなければ一歩すら進まないのである。

 レポートを見つめる俺に声をかける拓斗。


「区宮、四階にはない……って、お前だけサボるな」


 もう元気を出した拓斗はそう言った。


「(今はもう少し整理しておこう、その時が訪れるまで)」


 拓斗たちは四階を探し終え、五階へと向かっていた。俺も後ろからついて行き五階へ続く階段を上がる。


****


 五階は四階のようにズラリと並んだ扉ではなく、すぐ左に扉があり右には階段がある。

 拓斗は迷わず扉の中に入り、俺たちも入っていく。そこは実験室らしくマウスの檻が棚にびっしり並べられていた。

 俺たちが通るとマウスは急に鳴き、小さい檻の中で俺たちを睨みつける。


「可哀そうだな……このマウス全匹が屍だなんてよ」


 不思議にも、拓斗は悲しそうな顔をしていた。

 手を合わせ「ごめんよ……」、そうマウスたちに何かを謝って、一人先に実験室をあとにする。何を謝り、何故謝ったか俺には理解できない。

 男子二人は拓斗を真似て手を合わせて、出て行く。

 俺もここから出ようとした時、微かに唸り声が聞こえた気がした。


「――――!?」


 咄嗟に後ろを振り向き見渡す。しかし誰もいない。

 声は確かに聞こえたと思ったが、多分聞き間違いのようだ。

 感染してから三十分、早く抗ウィルス剤を見つけなければならない。


「(早く見つけて、ここから出よう)」


 そう思い、実験室から出る。


「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 その時、上の階から悲鳴が聞こえた。


「(紗依さん!? 一階~三階を探しているはずの紗依さんが何で!?)」


 俺はすぐ階段を上っていく。

 Y字形のになっている通路の左を走り抜け、真正面の扉を開けた。そこは円形の丸い部屋で、二つの扉がある。一つは非常用出口、一つは別の道らしい。その扉に紗依さんが腰から上が此方に出ている状態で、扉の奥にいる大勢の屍に足を掴まれていた。


「紗依さんっ!」


「区宮さん……っ!」


 扉の数cmの隙間から、大勢の屍が紗依さんの足を食いちぎっている光景が見える。

 紗依さんと共にいた女子四人の姿はない。


「一体何が!?」


「わからねぇよ! とにかく今は紗依ちゃんを引っ張れ、区宮!」


 男子二人は、此方に屍を来させない為に必死で扉を押さえており、拓斗は紗依さんの手をしっかり掴み、思い切り引っ張っている。それでも屍の力は異常に強く、紗依さんの体は微動だにしない。


「区宮さん……私のことよりもこれを……」


「区宮、早く手伝え!!」


 紗依さんは自分の首にかけているポーチへ視線を移す。

 俺は駆け寄り首のポーチを外す。そして紗依さんはこんなことを口にする。


「区宮さん――――そのポーチに抗ウィルス剤が入っています。私はもう助かりません……早く逃げてください!」


 よく見れば男子二人は押さえているのが限界らしく、少しずつ扉が開く。それでも拓斗は諦めない。


「区宮、早く紗依ちゃんを引っ張れ! 今は紗依ちゃんの言葉を真に受けるな!」


 俺は困惑した。ここで紗依さんを助けるか、ここで1人逃げるか。この二つの選択肢を、俺は決められない。ただただ時間が過ぎ、男子二人の力も弱まってくる。拓斗も必死で引っ張るが、どんどん引き込まれていく。

 助ける。逃げる。助ける。逃げる。助ける逃げる助ける逃げる……。


「(仕方、ない……)」


 俺は一歩引き下がり、拓斗の後ろへ付いた。そして拓斗に羽交い締めをかけ、拓斗を紗依さんから離させた。


「紗依ちゃんっ!!」


 拓斗は手を伸ばす。だがその手は届かず、紗依さんは屍に引きずり込まれる。

 紗依さんは最期、


「区宮さん、ありがとう。拓斗、これからも皆と生き続けて」


 そのまま……扉の奥へ吸い込まれていった。


「――――! 紗依ちゃん!!」


 しかし拓斗は俺から無理矢理離れ、扉へと走り出す。


「な、何してんだ拓斗!」


 無理に扉の奥へ手を突っ込む拓斗。腕と足は食いちぎられ、服は引っ掻かれて破ける。そして屍に肩を掴まれた。


「どけよてめぇら! 紗依ちゃんを返しやがれ!!」


「拓斗!」


 俺は瞬時に拓斗の体を引っ張る。

 肩に引っ掻き傷はできたものの、屍から離せた。そして同じことを繰り返さぬように、首を窒息させない程度片手で締め付け。

 非常用出口に足を運び、扉をもう片方の手で開けた。


「もう……限界だ……」


「俺も……」


 非常用出口に入り完全に閉めた時には男子二人の悲鳴が聞こえた。

 拓斗を開放したが、落ち着いたのか沈黙して立っている。そして顔を上げた途端に俺の頬に拳が飛び、


「クソ野郎!」


 俺はそのまま気絶してしまった。


****


 俺の判断で紗依さんを死なせ……否、俺が殺してしまった。そして拓斗の信頼も失ったまま、ここを立ち去った。

全然駄目だ。

ストーリーと良い文章が書けない…。

このままいけるかな? 不安がいっぱい。


10/17 修正

12/02 修正

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