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Dead end world.  作者: NPTNs
第一章
21/34

彼女の過ちと選択・救出……?

 すっかり慣れてしまった身体に安心する一方、いつ屍になってもおかしくないという不安が残っている恭香。また、恐怖をスリルと感じることもできなくなり、心が何かに怯え始めていた。

 寒さなのか怯えなのか、廊下を歩く恭香の身体は震えていた。


「(まだ……。冬モ終わりそウにはないわね)」


 意味もなく両手を温めようと何回も息を吐きかけ、その度に白い息は一瞬で消えていき、微かに感じる温かさもその一瞬で消えてしまう。


「(どうして……キエるのかしら……)」


 儚く消えていくそれを、見たことのない未来の自分と重ね合わせていた。

 恭香は考え事をやめて前に一歩踏み出した時、目の前が突然暗転した。この世界ではなく、恭香の見る視界が真っ暗闇になる。


「(なんだこレは!?)」


 感覚は先程までと変わらないにも関わらず、潜在意識や心の中と言っても過言ではない未知の世界に恭香は立っている。すると、その未知の世界で恭香以外の誰か……否、その世界の恭香の声が聞こえ始めた。


『寒い冬の季節。息を吐けばそれは白くなる。けれど、一瞬で消えてしまう。貴方もわかっているはずでしょう? いえ、貴方ではなく、私でもある斎川恭香ね』


「なんで私がもう一人いるの!?」


 恭香の潜在意識又心の中にいるもう一人の斎川恭香は、顔も身体も何もかもが似て、瓜二つと呼ぶべきほどである。しかし、もう一人の恭香の傷は今の恭香よりも酷くなっていた。


『私が通った過ちを繰り返さないためにも言っておくわ。恭香、貴方は早めに消えなければならないわ。つまり、死ななければならない』


「何を言ってるの……?」


 未知の世界にもう一人の自分。それだけでも恭香の頭は混乱しているのにも関わらず、もう一人の自分は自分に『死ね』と言っている。

 恭香は白昼夢だと信じながら必死に頭を叩いていた。ところが、もう一人の恭香がこう言う。


『これは夢でもなんでもない。貴方が未来で変えるべき選択肢は六つ。

 一つ、武藤桜華の救出。

 一つ、隣町と繋がる橋の爆破。

 一つ、飛行機の守護。

 一つ、仲間全員の安全確保と脱出。

 一つ、区宮志悠の抹殺。

 一つ、屍ウィルスと共に斎川恭香の消滅。

 これらが、貴方が残り五日間に変えるべき選択肢』


 この言葉をゲームで例えるなら、最初は片方の選択肢を選んでBADENDしたのをやり直し、今度は別の選択肢を選んでクリアするかのようである。もしもこの例えが本当であったのなら、何度BADENDを繰り返してきたのか想像はつかない。


「貴方、この世界はゲームじゃなくて現実よ。それに、貴方が未来予知できることを仮に信じても、下の二つはお断りするわ」


『ふーん。自分自身が死ぬことが嫌なのはわかるけど、区宮志悠の抹殺を断るのはどうしてかしら? 貴方はこれまでに大量の屍を殺した挙句、人間まで殺めたじゃない。今更人間を殺すことに躊躇いを感じる必要性はあるのかしら?』


「っ!」


 もう一人の恭香は、恭香を指差して、


『貴方が感じてきた苦しみは、私にもわかる。でも、区宮志悠を殺さなければ世界は止めの効かない死の世界へとなってしまうわ。後悔しないよう、二度とやり直しができないよう、貴方は選択肢を間違えないでほしい――――』


 未来で苦しみしか待っていないようなことを話した。

 気がつくともう一人の恭香は徐々に消えていき、恭香の視界はボヤけている。

 恭香は最後に、


「選択肢なんて間違えないっ! 区宮も殺さず、私は屍にならず死なずに生きる選択肢を選ぶわよ――――」


 そう言い、何かが断ち切られたような音がして意識は元に戻った。

 視界には学校の廊下が映り、恭香は一安心する。


「(一体、今ノ白昼夢は何だっタのかしら……)」


 もう一人の恭香が言っていた残り五日間ということは今から数えて五日、恐らく二月十六日に何かが起こると示唆していた。

 区宮志悠の抹殺、斎川恭香の消滅。何故区宮を殺さなければならないのか、恭香は、もう一人の恭香の言葉を信じない、と言ったが考えずにはいられずにいる。


「(モヤモヤするワ……あーもうっ! 今ハ浜島と守太のことが最優先!)」


 結局モヤモヤが解消されないまま、恭香は放送室へと向かう。


****


 現在九時二十七分、あれからおよそ三十分経過。

 この学校にはもう屍がいないのか、職員室の場所から今まで一度も遭遇せずに放送室前へと辿りついた。


「(意外とアッさり到着しタわね……あの私はコれを知ってテ私を?)」


 最初は白昼夢だと自分に言い聞かせていた恭香は、もう一人の恭香の言葉を少しずつ信じるようになっていた。

 恭香は放送室のドアを二回ノックして、中に守太か浜島がいるか確認をする。

 すると、


「斎川さん……ですか?」


「その声、守太ネ!」


「あ、少し待っててください。すぐ開けます」


 ガチャ、と鍵を開ける音が聞こえ、ドアが開かれる。開いた隙間からは見慣れた顔が恭香を覗いていた。


「えーと……お疲れ様です斎川さん」


「ありガトう守太。そっちこソ、お疲レ」


 守太は一つ笑顔を作ったと思えば、再び真面目顔に戻り、


「あの聞きたいことがあるのですが、その声、どうしたのですか?」


「こレ?」


 恭香が喉を人差し指で差すと守太は頷く。


「アー……これは、そノ……の、喉を潰しチャってね。そ、それヨりも浜島は!?」


「喉を潰したのですか? あ、浜島さんでしたら……えーと、寝てます」


「…………へ?」


 守太が凄く呆れた顔をして、ため息まじりにそう言った。


「……いや、もう一度聞いていいかな? よく聞こえなかったわ」


 恭香も「冗談だろ?」、と言わんばかりに耳に手を当てて目をパチクリしている。


「聞かなかったことにしたい気持ちはわかりますが、実際に見たほうが早いと思います」


 こんなに気持ちのこもらない会話は初めてです、と守太は思ったという。そう思いながら守太はその居眠り爺さんの方へと指を差した。


「うん。間違いナく浜島ね」


「僕がここへ来たときは起きていて、中へ入れてくださったんですが、寝ました」


「はぁ……」


 「安心した」、という意味のため息なのか「呆れた」、という意味のため息なのかわからなかったが、恭香の表情はふんわり軽そうな気がした。

 恭香は浜島(熟睡中)の元へ足を運び、躊躇なしに鼻をつまんだ。


「ええ! 大丈夫なんですか!?」


「まあ、見てナさい」


 鼻をつままれて数秒、浜島から「ふご……」という奇妙な声が聞こえはじめる。


「ふぬ……ふ、ふごぉ…。ふごっ! ぷはっ!!」


「オハヨウ浜島」


「あ、えと。おはようございます?」


 恭香は若干棒読みになりながら挨拶し、守太は何故か疑問系を付け加えながら挨拶。

 無理に起こされた浜島は、周りをキョロキョロ見渡しながら頭をかいている。恭香の方へ向くと、眼光をカッ!! と見開き「あ」、と一文字声で発した。

 ふふぁ~あ、と大きな欠伸をかいてから再び恭香の方へ向き直り、


「お久しぶりじゃの、斎川」


 挨拶をした。


「っテ、浜島もしかしてボケ老人になっタワけじゃナいわヨね!?」


「誰がボケ老人じゃああああああああああ!!!」


「あ、いつモ通りだったわ」


 その怒声を聞いた守太は口をポカーン、と開きっぱなしでいた。呆れるを通り越して若干放心状態になっている。その後、ボケ老人……否、浜島現校長に経緯を話した。


****


「いやいや、いきなり怒鳴って悪かったの~わしは睡眠を邪魔されるのが嫌いでな」


「まア、私は高校時代散々聞いたカラ慣れてるけどね」


「はぁ……」


 「そうですか」、と言わんばかりに小さなため息をもらす守太。

 恭香はそれに続くように、


「とこロデ、浜島はこの街……いや、世界ガどうなッテいるか知っているト思うけど。あの化物、屍を殺……殺す方法は大体二つ。

 一つ、首の神経系を壊す。簡単に言えば首を折るコトね。

 二つ、脳の活動ヲ止める。

 二つ目に関してハ、銃でも何でも、頭を割る方法でも活動を停止できるカラ。浜島、そこで浜島の秘蔵コレクションを役に立たセテ欲しいんだケド」


「ほう……わしのあれを実戦で使う、と?」


 何か意味ありげに「あれ」を強調する浜島。恭香も意味ありげに強く頷く。一方、守太は仲間外れにされている気がしたのか、涙目になっていた。


「ふむ……まあ、緊急事態でもあるわけじゃし、卒業生の頼みじゃ、断るわけにはいかんの。わしについて来なさい。とっておきのあれを見せてやろう」


 再び意味ありげに「あれ」を強調する。

 恭香は浜島を「変わり者」と言っていたが、その通りである。

 浜島が放送室を出て、目の前の校長室へと素早く入っていく。それに続き恭香と守太も中へと入っていく。


****


 流石は校長室だ、と呆気にとられる恭香と守太。

 机などの脇には、サバイバルブックや拳銃図鑑、といった怪しい本が置いてある。

 恭香と守太が隅々まで見渡していると、浜島が、何か大きな箱を二つほど引きずりながら持って来た。


「ふんっ! よいしょっと……ふぅ、わしにはこれが重労働に感じるわい」


 大きな箱は手入れされており、埃などは肉眼では見えない。


「何カ……また増えテない?」


 何度か見たことあるような口調でそう言うと、浜島はイッシッシ、と歯を見せながら笑う。そして座り込み、箱を丁寧に開けた。


「えぇぇぇぇ!! な、何ですかこれ?!」


 浜島が持って来た二つの箱の中には、大量の拳銃が綺麗に並べられて入っていた。それも種類はさまざまで、ハンドガン,サブマシンガン,ショットガン、挙げ句の果てにはスナイパーライフルが簡単に分解されて入っていた。


「とうとうスナイパーライフルが、秘蔵コレクションに加わったのネ……」


「ハッハッハ! 諸君、見よ! これはわしが何十年もかけて入手した拳銃の数じゃ」


「あ……えと……モデルガン、ですよ、ね?」


「お前さんは馬鹿かあああああああ!! 偽物をコレクションと呼べるかああああああ! まあ、これらを集めるのには苦労したがな」


 あっはっは、と豪快に笑う浜島。


「えと……ちゃんと許可書のようなものは、ありますよね?」


「ん? ない」


 とうとう守太の顔は、某ムンクの作品のような顔へとなってしまった。

 そこに浜島は付け足すように、


「じゃが、わしの秘蔵コレクションは今後とも役に立つじゃろう? この日のために集めたと言っても過言ではないわい」


 恭香と守太は、「絶対に嘘だわ(です)」と二人でハモったが、確かにこの拳銃は後々使える、と考えを改めた。


「さて、お前さんたちから先に選びなさい。若いものが年寄りを守るのは義務のようなものじゃからな」


「お言葉に甘えさせていただきます」


「そうね。さて、ドレを選びましょうかね」


 そう言って、恭香と守太は箱の中から好きな拳銃を選び始める。



To be continued....

長すぎましたね;

とうとうハツラツ爺さんならぬ浜島校長登場って感じです。

なんだか最近、やたらご都合主義が満載すぎて、ご都合主義作品になってきちゃいました(泣

やはり、私はダメですね(笑


さてさて、話は変わりますが。

もう一人の恭香が登場し、ストーリーが急展開!? 一体、あの恭香は何者でしょうね~

それに武藤桜華、区宮志悠という固有名詞もあげられましたが……。

拙い文章ですが、今後ともよろしくお願いします。


12/02 若干修正

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