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Dead end world.  作者: NPTNs
第一章
17/34

閑話

「(ん? 何だか凄く長い時間誰かを待たせたような気がする……)」


 冷えていると思われる手を少しさすった。この行為が意味があるか、と聞かれれば特にはない。


「(というか今更だけど、私と桜の口調が似すぎて区別つかないわ……)」


 桜(短髪美女)を微かに見ながら、私は思った。


「そういえば、ここって意外に寒いわよね」


 そう、桜が急に話す。


「まあ、季節はまだ冬だし、寒いのは無理ないと思うが」


 区宮の言葉に桜は「どうにかしなさいよ」、と無理なことを言い出す。


「いや、無理」


 即答。近くでは守太もちょこちょこ頷く。


「はぁ、私って寒いの苦手なのよね……。沖縄とか南国の国に行きたいくらいよ!」


 まるで子供のように駄々をこねる。

 ここが……否、この世界が現在(ゾンビ)と呼ばれる未知の化物の世界になりつつあるにも関わらず、のんきに沖縄に行きたいなど話している場合ではない。


「あのね――――」


 言葉を続けようと思った時、私は昔の体験談について思い出した。あれは、たしか家族旅行で沖縄に行った時の話だ。


「何? 話でもあるの?」


「桜、私の沖縄での体験、聞きたい?」


「へぇ~、恭香は沖縄に行ったことあるんだ。教えて!」


 ちなみに、桜が私のことを恭香と呼ぶのは、成り行きだ。


「わかった。区宮と守太も聞いておきなさい」


 二人はただ頷いた。そして私は噛まない程度に、遅くもなく早くもなく、話し始める。


****


 私が二十歳になった記念に、家族で沖縄旅行に行くことになった。

 私は暑いところは好きではなかったけれど、記念だし、と軽い気持ちで旅行に行くことにした。

 東京の空港から、二時間くらいほどで沖縄の空港へと辿り着く。沖縄は思っていたよりも暑くて、ジメジメしていて、とにかく暑かった(二回目)。


「あづ……」


「ここが沖縄か~」


 私の言葉を無視して、お父さんが爽やかにステップをする。


「ちょっとお父さん(笑)背中びしょびしょ」


 お母さんは汗で模様が出来たお父さんの背中を見ながら苦笑。

 私だけうちわで仰ぎながら、予約しておいたホテルへと向かうことにした。


****


 空港からホテルまで意外と遠く、バスを乗り継いで一時間半ほどかかった。

 ホテルに着いて、まずクーラーをつけて一休み。


「いやー、とうとう沖縄に来たって感じだな~」


「そうね~。早速、海に飛び込んじゃおうかしら(笑)」


 両親は上機嫌で、お父さんはいきなり私服を脱ぎ始める。


「ちょっ、お父さんっ!」


 咄嗟に目を隠そうとしたが、お父さんは私服の下に海パンをはいていた……。


「(子供かっ!?)」


 そう、ツッコんでしまった。


「お父さん、子供じゃあるまいし……」


 お父さんの行動にお母さんは若干呆れる。

 しかし、お母さんも私服の下に既に着ていた。


「(子供かっ!?)」


 思わず同じセリフを言ってしまった。


****


 両親のはしゃぎっぷりに負けて、私は休めないまま浜辺へと足を運ぶ。


「ほら見て、海綺麗ね」


「すっごいな~。流石は沖縄って感じだ」


 私の目の前には、鏡のように光を反射させて、美しく輝く海面。そして、透き通る青い海水。果てしなく続く広大な空。それは「美」という言葉しか思いつかないほどだった。


「……綺麗だ」


 思わず言葉がこぼれてしまうほど、私はその美しい青い海にみとれた。


「あら、恭香。顔がおかしいわよ」


「はっはっは、お先!!」


 お母さんは私をからかい、お父さんの後をついて行く。他にも人はいたが、両親は気にせず無邪気に走り回る。

 私はというと、五分くらい同じ景色を眺めていた。


****


 気がついたときには、既に両親は泳いでいる。

 私は呆れながらも内心は凄く楽しく、沖縄に来てよかったと感じた。

 急ぎ足で両親の元へと駆け寄り、私も子供のように無邪気に遊んだ。しかし、二十~三十分経過して、私は眠気に襲われる。


「ふわぁあ~あ……」


「あら、せっかく沖縄来たのにお昼寝タイム?」


「まあ、無理はないだろう。ここに来る前まで疲れてるようだったしな」


 あっはっは、と豪快に笑い、お父さんは「少し休憩するといい」と言い残しお母さんと去っていく。


「(いや、そこはホテルに戻ろうよ……)」


 それでも、若干暑いがポカポカする気温に、私は睡魔に勝てなかった。

 浜辺に寝っ転がって、数分して寝てしまう。それが、どんなに悲惨な結果を生んだのか、知る由もない……。


****


 気がつくと、私は室内(?)にいた。


「(お父さんかお母さんが運んでくれたのかな? 重かったかな?)」


 私はのんきにそう考える。その次の瞬間、私が横に動こうとした時、


「イッタァァ!?」


 あまりの痛さに、叫んだ。

 ガラガラ、とどこかの扉が開くと、


「恭香? だ、大丈夫か?」


「痛いの?」


 両親がすぐに駆け寄ってくれた。


「(って……なんですぐ近くにいないかな……痛っぁぁぁぁ!?)」


 再び背中と、今度は右手にも激痛が。


「痛いっ! お父さんっ!!」


「おお、す、すまん」


 咄嗟に謝るお父さん。


「どういうことなの!? ってか、ここどこ!?」


 それから私は、お父さんとお母さんから状況を説明してもらった。


****


 私が眠りにつき、二時間ほど経った頃。

 両親は飽きたらしく、私のところに戻って、私を起こそうとしたが起きなかったらしい。恐らく熱中症であろう。

 私はぐったりしていて(寝ていたのもあるが)、ずっと太陽の下にいたため、日焼けどころかやけどしていた。

 両親はすぐ救急車を呼んで、今に至るらしい。

 背中のやけどは砂浜の熱だと。


 それから私は夏も沖縄も苦手になった。


****


「――――ということなんだけど、どう? 沖縄なんて行きたくなくなったでしょう?」


「……いや、恭香、アンタ馬鹿ね」


「阿呆かもな」


「すみませんが、僕もそう思います」


「守太が初めて喋った!?」


 私に変な視線が向けられた気がした。


「馬鹿だ」「阿呆だ」「ひどい……」


 守太が一人、微かに泣いていた気がするが、私は無視をする。


「あ、ごめん。とりあえず、行きましょ」


 この日、私の称号が「馬鹿で阿呆で変人な変な人」、と二回も変な人と呼ばれるようになった。

無駄話すぎてすみません;;

しかもこれが第一章の1話という(笑

更新亀みたいに遅くてすみませんっっ!


12/02 『青々とした』を『広大な』に修正。間違った言葉を用いてしまいすみませんでした。また、他にも一部修正。

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