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Dead end world.  作者: NPTNs
斎川恭香編
15/34

私と感染者と生存者

 いつもより力がみなぎっている状態で……私は目覚めた。とても今の状況を把握できない。心臓を撃たれたはず、私は、死んだはず――――――――助かった? 心臓を撃たれて?

 私は何とも感じない身体を起こし、少しふらつきながらも立ち上がる。しかし、生まれたての小鹿のように足元がふらふらして、どうにも思うようにうまく立てない。

 不意に左胸を見たが、流れ出ていた血はもう固まって、痛々しい傷(胸を貫通)が残っている。ところが、いくら触っても痛くない。いや、それ以前に、心臓が動いていない。


「(待って、ちょっと待って。心臓が動いていない?)」


 そんな時、私の視界の下に唐木さんの死体が見えた。頭に三発も銃弾を撃ち込まれ、即死に近い。

 目が開きっぱなしの唐木さんの瞼を閉じ、手を合わせた。


「(私は一体……どうなってるの……?)」


 心臓が機能していない点を考えると、奇跡的に生き延びた、なんてのはありえない。そして、脳に全く傷害がないことも考えると、答えは一つしか思いつかない。


 私は、化物((ゾンビ))になってしまった、ということ。


 しかし、おかしい。化物には理性がなく、肉を求める死者である。それが何故、私だけが理性を保ち、こうしていられる?

 色々なことを考えているが、全くわからない。ふと、何かが近づく音が聞こえてくる。そこに現れたのは、唐木さんと私を殺した張本人の白衣の男だった。


「なっ!?」


 驚いている、というレベルではないほど驚愕していた。それは後ろからついてきたオカマ(メグ)も口が半開きになっている。そして、近くにはコンビニ店員のような男性ともう一人男性がおり、美女と呼ぶに相応しい短髪の女性がいた。


「き、気をつけろ! あ、あれは屍だ! メグ、志悠、女、全員で――――」


「遅いわよ?」


「ぅぐっ!?」


 七mほど余裕で離れていたにも関わらず、その一瞬で、私は白衣の男の場所に行き首を掴んだ。苦しそうにもがく白衣の男。


「ぅがぁぁぅ!」


「エ、エス!」


 一人の男性(コンビニ店員じゃない方)が拳銃を構えた。しかし、発砲するも、私はそれを避ける。


「避けた!? ありえな――――」


 エスと呼ばれた白衣の男の首を片手で掴みながら、その男性の腹を蹴り飛ばす。足加減はしたが、優に一mは飛んだ。

 首を掴まれたエスは、必死に助けを求める。


「ぇ……メ……グェ……がすけ……てぐ……ぇ」


 そこでようやくメグが動き出す。拳銃では効果がないと察したのか、体術で攻めてくる。だが、拳銃でさえ当てられなかった私に、体術ごときで当たるはずもなく、先程の男性と足加減以外は同じく蹴り飛ばした。ところがメグは諦めずに蹴り飛ばされた後、すぐに体勢を立て直して、その位置から拳銃を発砲した。だが、当たったのはエスの身体である。


「ぐぅぁぅ!! メゥ……グ……!」


 そう言い、エスは恐らく窒息により死亡した。メグは、何故かその場で自殺を図った。

 残るはコンビニ男性、短髪美女、幸薄そうな男性の三人だけだ。コンビニ男性は持っていた武器を落としていて、震えるだけなので害はない。残り二人は諦めていないのか、その場で拳銃を手放さない。


「二人がかりで攻めるわよ、区宮!」


「わかった!」


 その合図で、短髪美女は私の左側に、区宮と呼ばれた男性は私の右側についた。俗に言う『挟み撃ち』だろう。


「(武器の構え方を見ると、美女の方はそこそこ扱いに慣れているわね。けど、男性の方は素人。そうなれば……)」


 狙いは男性の方だ。そう決め、二人の気の緩まる機会をうかがう。傍から見れば、私を挟んだにらみ合いだ。


「(それはそうと、さっきからずっと私を見るコンビニ男性の目が気になる。けど、今はこっちに集中しなきゃ)」


 私が一瞬気をそらす。その瞬間、短髪美女が発砲してきた。間一髪、頭部への命中は避けられたが、私の体勢が崩れ、二人が一気に攻める。


「区宮っ、足を狙いなさい、行動を止めろっ!」


 その言葉を聞き、区宮という男性は集中的に私の足を狙い始める。しかし、素人が撃った弾は一発も当たらず、地面へめりこむだけだった。それをチャンスに私は一気に距離を縮め、今度は足加減せずに横っ腹を強打した。


「うぐっ!!」


 肋骨の一本くらいは折れただろう。さほど苦痛はないと思われるが、うずくまっている。

 私はトドメをさそうと足を振り上げるが、後ろにいた美女に攻撃を阻まれる。


守太(まもりだ)! 区宮を安全な場所に!」


 ずっと震えていたコンビニ男性が、区宮のところへ駆け寄り、肩を貸して安全な場所に避難する。

 私と短髪美女のにらみ合いとなった。


「私と一対一で勝負するつもり? 貴方なら私のことわかるでしょ」


「あんまり信じたくはないけど。アナタは私と同じ感染者。いや、アナタは完全に屍ね」


 短髪美女は断言した。躊躇いもなく、私が屍だと。

 私は既に死んでおり、今や理性だけで動いている化物(屍)である。


「でも、私は今でも理性があるわ。例え身体が死んでいても、脳は生きているって状態かしら? そこで提案だけど、今後生きていく上で契約を交わさない? 私は貴方たちを守る、貴方たちは私を殺さないって条件で」


 その言葉に一瞬驚いたが、すぐに冷静さを取り戻したのか、


「あくまでもそれは、アナタが理性を保っているからって事じゃない。アナタが理性のない屍にならない保証もないし、色々怖いわ」


 今まで気がつかなかった私の欠けた考えが、彼女の一言で補われた。なぜなら、私は化物だ。生存者でなく、死してなお肉を求め続けるあの化物だと。ようやく本当に理解した。


「そういえば、そうだったわね。私は化物だったわね」


「――――? いきなり何を言っているの。アナタ自身、自分で自覚してたんじゃなかったの?」


 構えていた拳銃を下ろした短髪美女。遠くから見ていた守太と区宮は短髪美女を心配そうに見ている。


「それ、構えなくていいの? 私を殺すには絶好のチャンスだと思ったけど」


「契約云々言っていたわりには、死にたそうな発言ね。ま、アナタは元々死んでいるのだけど」


 拳銃を構える様子はない。短髪美女も殺す勢いできていたわりには、全く殺そうとする気配が感じられなかった。契約のことを話したことが要因かもしれないが。


「攻撃する気配がないってことは、契約成立ってことでいいのかしら?」


「ま、結果は大体予想つくし、ここで死にたくないからね。でも、アナタが屍になった時は、躊躇いなく撃ち殺すからね」


 美しすぎる女性はとても言動が残念だ。と私は心の中で思った。

 少々ビビリながらも、残念系美女は握手を求めた。


武藤(むとう)桜華(おうか)。コンビニの制服着てるのが守太恭助(きょうすけ)、もう一人が区宮志悠(しゆう)。桜華って名前すきじゃないから、さくらって呼んで」


「わかったわ桜。私は斎川恭香。私が死ぬか、貴方たちが死ぬまでよろしく」


「ま、その前に私が屍になるかもしれないから、何とも言えないけどね。コチラこそよろしく」


 十六時二十分を回った頃、私と感染者(桜)と生存者(守太、区宮)の契約が成立した。しかし、二人を納得させるのに十分以上は経過した。

アイディアはもらいましたが、書き手が最悪だとこうなりますね。

なんか、申し訳ありません;;


10/17 修正

12/02 修正

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