スーパーマーケット (下)
入口ドアを開けた音で、近くの十数匹の化物は、私たちに気がつく。
私は二丁目の拳銃で、躊躇いなく近くの化物二匹を殺し、同時に銃声を店内へ響かせた。
「もう後戻りはできないぞ!」
「それくらいわかってるわよ!」
奥の方から、多数の化物が此方に向かってくる。その化物たちが此方に近づく前に、ここにいる化物を殺さなければならない。
「斎川さんは右側を!」
化物の数は左側の方が少なく、唐木さんは拳銃を発砲し続ける。
「(私に数の多い方を任せるなんて、自己中すぎるでしょ!)」
恐らく、唐木さんは私の戦闘能力を見越して、数の多い方を任せたと考えられる。しかし、勝手に決められたことが納得いかない。
愚痴を吐いても仕方ないので、私は残弾四発の二丁目の拳銃を構え、右側へと振り向いた。
「(お腹は空いてるし、左足も使えないから、化物に襲われたらどうしようもないわ。もしも、襲われた時は、死ぬしかない)」
今の私の状態では、数匹の化物に襲われれば抵抗もできず、食い殺されるだろう。
私は死の覚悟もようやく決め、徐々に迫る化物を殺しにかかった。しかし、空腹で手がブレる。頭に狙いを定め、発砲するもののうまくいかず命中が外れる。
「――――! そんな……全然当たらないなんて!」
命中率としては60%前後。確率で言えば、二~三発に一発が外れてしまう。これでは弾の無駄遣いに等しい。
二丁目の拳銃が使い終わり、三丁目の拳銃と交換する。四丁目の拳銃の装填中弾丸と合わせ、残り十発。
「(ここは慎重に頭を狙うべきか……いや、そんな暇はない。とにかく殺すしかない!)」
私と化物の距離はおよそ三mまで縮まった。
三丁目の拳銃を構え、ハンマーを起こして直ちに発砲する。しかし、やはり当たらない。続けてハンマーを起こし発砲。けれど、やはり当たらなかった。
「嘘っ!?」
三発目のハンマーを引き起こすが、構える前に化物が襲いかかる。私は咄嗟に右腕で顔を庇い、腕に噛みつかれた。
「くっ!」
痛みに耐えながら、三発目を化物の頭へとお見舞いした。銃口を額に当てた為、確実に殺す。しかし、噛みつかれた腕からの出血が止まらない。
「大丈夫か!?」
今頃、唐木さんは気がつく。近くの化物を数匹殺した後、ようやく私の方へ駆け寄る。
「――――噛まれたのか!?」
私の腕から出血は止まらず、歯型がくっきりと残っていた。肉は食われていないが、それでも出血量が多い。
「あ、あれは……生存者?!」
入口に顔を向けた唐木さんがそう言った。
化物が迫る中、よくよそ見をできるものだ。そう私は思いながら、入口へと顔を向ける。
白衣を着た男性らしき人物と、女性らしい女性と表現すればいいのだろうか。そんな美しくもどこか格好の良い女性が入口のドアを開けた。
「メグ、生存者だ。近くの屍を一掃するぞ」
その言葉に女性はただ頷く。
白衣男性の手にはコルト・ガバメント(M1911A1)、メグという女性の手には、グロック(Glock)17が握られている。
☆知らない方もいるかと思われる為、一応説明を入れておこう。
通称:コルト・ガバメントとは、銃器メーカーのコルト社によって軍用に開発された大型自動拳銃である。制式名称を『M1911』と呼び、後に改良が加えられたものが『M1911A1』である。.45ACP(.45Auto Colt Pistol)という大口径弾を使用し、M1911およびM1911A1の口径は.45ACP、装弾数はシングル・カラム・マガジンによる7+1発であるが、その後、9mmパラベラムや.40S&W弾など各種の弾薬に対応したバージョンが生まれた。ちなみに、ベレッタM92Fが制式採用される70年以上、アメリカ軍の制式拳銃であったらしい。
グロック17とは、オーストリアの銃器メーカーであるグロック社が開発した自動拳銃である。口径は9mm(9mm×19パラベラム弾)で、装弾数は複列弾倉による17+1発。グロックシリーズに使われているプラスチックはポリマー2と呼ばれる材質で、ガストン・グロックの発明品であり、摂氏200℃~マイナス60℃の環境下でもほとんど変質しないらしい。また、一般的なプラスチックよりも柔らかく、相当な強度を誇ると言われている。
☆★☆★
その拳銃をどこで手に入れたかは不明だが、只者でないことは確か。その二人は、息の合った協力プレイで、化物(屍と言うらしい)を一掃していった。
一方、私は唐木さんに肩を貸してもらいながら、スーパーマーケットの外に出ていた。
「一体何だアイツらは……」
「あの拳銃は、間違いなくガバメントとグロックだったわ」
あの二人が持っていることに、地味に嫉妬をする。
「(すべての拳銃が欲しいくらいだわ……なんで私が持っていないものをあの二人はetc……)」
****
数分して、あの二人がスーパーマーケットから出てきた。特に傷は見られず、本当に一掃したのだろうか?
「あれは数が多すぎる。とても今の状態じゃ全部を殺すのは無理だな。ところでそこの女、噛まれたのか?」
白衣男性は独り言を喋ったと思ったら、私に質問してきた。
「女って……私は斎川恭香って名前があるんだけど」
「チッ……」
舌打ちをして、小声で「これだから女は……」、と嫌味のように言った。それに対して私はムカついてしまう。
「何? 女って言ったら、そこのメグって人もそうじゃない。失礼過ぎにもほどがあるわ!」
「あ? メグは別に女じゃないぞ。俗に言うオカマというやつだ。声も裏声で誤魔化しているだけだがな」
呆気にとられた。ちなみに、唐木さんは驚きのあまりか、口をパクパクさせている。私はなんだか今日一日で数回呆れている気もするが、考えるのはやめておこう。
「んんっ、それはイイとして女、噛まれたのか?」
白衣男性は咳払いをして、再び質問を繰り返した。何度も聞くということは、余程意味があることなのだろう。
私は呆れながらも質問には答えた。
「ええ、確かに噛まれたわ。出血は酷いし、今も全然止まら――――」
言葉を続けようとした時、一発の銃声が耳に響き、私の左胸からは、これまでにない激痛と共に大量の血液が流れ出る。
「が……ぅぁ……!?」
「斎川さん?!」
激痛が走ったのは、ほんの一瞬。今はむしろ、痛すぎて、感覚とか意識が遠のいていく。
私の心臓は、風船のように破裂していて、今はもう既に機能していない。意識が遠のく中、唐木さんと白衣男性の会話が聞こえた。
『お前、同じ生存者だろ!? 何で仲間を撃つんだ!』
『ったく、この世には志悠みたいな利用価値のある同朋はいないのか』
『お、前……他の奴も同じように殺してるのか!?』
『あん? 勘違いされちゃ困るな。志悠はまだ生きてるし、今後も利用価値が高い。だがショウとか言ったガキは役に立たなかったな』
『お前……俺の弟を――――!』
『黙って死ね』
最期に聞こえたのは、三発ほど続いた銃声と、横たわる唐木さんの姿だった。
心臓を撃たれ、意識もなくなった私は、唐木さんと共に永遠の眠りについて死を迎える……ハズだった――――――――――。
しかし……私は……。
アイディアが尽きた私は、unlimited様の意見を参考に、遂に、やってしまった――――
報告もなく勝手に意見を取り入れて申し訳ありませんでした。
しかし、アイディアがない私には他の方の意見を参考にしないとやっていk(ry
10/17 修正
12/02 修正




