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ドリフト―TrifT―  作者: kishegh
第1章
19/85

莫迦来襲

さらっと読み流して下さい


翌朝。  と言うか深夜。


「師匠、俺を弟子にして下さい。師匠、お願いします」


明日に備えて眠っていた俺は、侵入者の気配で目が覚めた。バイエルラインだと言うのはわかっていた、昨日の恨みからの行動かと思ったが、敵意や害意が無いので、暫く待っていると、先ほどのようなことを言いやがった。うわぁ、涙まで流してる。


「お前は、時間や機会というものを考えないのか。明日に備えて休んでるんだが。あと、師匠って呼ぶな」


「申し訳ありません。師匠。ですが、師匠が有名になったら他にも弟子入り志願が来ると思いまして、急いできました」


予想に反してバカだ。頭を床にこすり付けている、土下座って世界が変わっても有効なんだな。


「とりあえず、誰が来ても断る。俺は誰かに教えるような器じゃない」


「そんなことは仰らずに、師匠―」


「だから、師匠って呼ぶな」


フレッドやミリアも起きてきた様だ。扉の向こうから、フレッドとミリアとメイちゃんが覗いている。


「フレッド、お前からも言ってやってくれないか」


「無理です」


即答された。


「いや、無理ですって。お前の配下なんだろ。命令してくれよ、無理だって」


「ですが無理です。言うことを聞く人間ではありませんから。私の配下であっても、仮に私が王でも無理です。自分の決めたことは曲げませんから、バイエルラインは」


とことん面倒な奴だ。どうしたものかな。


「おい、バイエルライン」


顔を上げて嬉しそうにしている。犬みたいな特性なのか?でも自分勝手みたいだしな、よく分からん。


「はい、師匠」


「だから、師匠と呼ぶな。弟子の件だが、試験をして決める。合格できたら、弟子にしてやる。ダメなら諦めろ」


「ダメです。弟子にして下さい」


人の譲歩案がまったく分かってない。大丈夫なのかこいつ?なんか不安になってきたな、ストーカー被害とかってのは、こういう人間がするのか?


「認めない。試験を受けないのなら、単純に姿を消すぞ。機会を与えてやってるんだ、それで我慢しろ」


何で俺が説得をせねばならんのだ。間違ってる。


「えぇー」


「えー、じゃ無い。これ以上は認めん」


「では、今すぐ試験を」


「時間掛かるから、今度だ。まぁ、こいつは置いておいて。フレッド、ミリア、お前たちも起きてしまったんだ。チョット付き合え」


背嚢を持ち上げて、部屋を出る。二人を引き連れて、一番大きな倉庫へ行く。


「明日、と言うかもう今日だが。王宮に行くにあたって、武器は俺が預かっておくが丸腰では危険だ。そこで、一見武器ではない武器を貸してやる。チョット練習が必要なので、今から渡すぞ」


俺は、cz75をミリアに、vz85をフレッドに渡す。マガジンはまだ抜いてある。


「それは銃と言う武器だ、銃弾、つまりは小型の金属の塊を、高速で飛ばすことが出来る。人間に対しては、非常に殺傷能力の強い武器だ。注意するように、今はまだ銃弾を入れていないので、問題ないが、銃弾を入れた後は、気をつけなければ自分で自分を傷付ける事になるぞ」


まずは、ミリアのcz75にマガジンをこめる。後ろから抱き込むようにして、銃を構える。なにやら赤くなっているが、今は気にしない。


「いま、銃弾を入れた、そうしたら安全装置がある。この安全装置を解除する。そして、銃の先端を相手に向けて、引き金を引く」


バスッ  二人とも、目を見張っている。だが、浮つく感じはない、とっさに、冷静に考えることが出来る人間は、強い。


「もう一度だ、銃の上の突起、その窪みと突起が重なるところを、撃ちたい所と重ねるんだ。そして、引き金を引く」


バスッ  今度は、きちんと、把握して打っている、俺は手を添えているだけだ。


「どうだ分かったか。実際には、この消音装置、つまり音を小さくする装置ははずしていく。かなり大きな音がするから気をつけろ。これで相手を倒すのが目的では無い。知らない攻撃には相手も驚く、その隙を突くんだ」


続いて、フレッドにも同じように教える。撃ち方は、単射だ。


「よし、二人だけで撃ってみろ、あまり練習できるだけの銃弾は無い、丁寧に覚えていけ」


二人が、それぞれマガジンが空になるまで撃つ。


「よし、そこまでだ、フレッドの銃は30発、ミリアの銃は15発撃てる。自分が撃った銃弾の数を覚えておけ、無くなったら、勿論弾は出ないぞ」


「アルトさん、貴方は何処でこのようなものを」


当然来ると思っていた質問だ。だが、それに答えるわけには行かない。


「秘密だ」


銃をいったん回収する、この後メンテナンスをして置く必要がある。


「まぁ、俺の立場が悪くなりかねないものを貸してやってるんだ。感謝して使ってくれ。あと2時間は寝れる。寝ておいたほうがいいぞ」


二人が頭を下げているのは分かっているが、振り向かずに部屋に帰る。


明日が、あいつらにとっての正念場だ。





部屋に帰ると、バイエルラインがいた。どうやら試験を待っているようだ。ケツを蹴り上げて、部屋から叩き出す。


バカが扉を叩いている。


煩いよ。


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