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新たな学び舎 1

お待たせしました。新章開始です。

第一話は短いです。

 旧市街区のつくりは、一言でいえば猥雑という言葉が当てはまる。

 商業区や学園区と違い、そのつくりは、空中都市建造当初からほぼ変化していない。

 そんなどこか古めかしい街を歩きながら、ルビーは携帯端末とにらめっこしていた。


「まさか測距ナビが二〇年前のデータで止まっているなんて……」


 測距ナビアプリは、座標を入力すればその場所へとナビを行ってくれるアプリケーションだ。

 当然ルビーの端末にもアプリケーションはインストールされているが、マドロに教えられた座標を打ち込んだところで『住居データがありません』というエラーメッセージが出て来た。


 ナビアプリはその性質上、地図データが更新されていなければ道を教えることが出来ない。旧市街のデータが更新されなくなってどれほど経つのか、ルビーには想像できなかった。


「マドロさんも最近街に出てきたって言ってたし、測距ナビアプリのこと忘れてたのかしら……」


 そうため息を付き、ルビーは歩き出す。歩いていればいずれ到着するかもしれない。とあてもなく歩き始めた次第だ。


 だが、歩き始めて早数一〇分。


「完全に迷ったわ……」


 ルビーはさびれた路地で途方に暮れていた。


 思えば、測距ナビアプリに頼らずに街を歩いたのは初めてだ。

 旧市街区の鉄道駅のターミナルには地図があったような気がするが、そもそも地図の見かたが分からない以上、後悔する気も起きない。


「住人の方に道を伺えば問題ないかと思ったけれど、甘かったわね……」


 想定外の事象と言えば、街の住人が異常によそよそしいこともあった。

 当然、旧市街区の一戸建てやビルの廃墟などに住んでいる住人もちらほらと居た。


「あっ、すいません。少し、よろしいですか?」

「うん? ……なんだ。学生か」


 だがルビーが声をかけた途端、そっけない態度を取られてしまう。

 姫として畏怖されたり逆に敵意をぶつけられる体験は数多かったが、『なんだてめえ』という風な怪しむような感情を向けられるのは初めてのことだった。


 箱入り娘に近しいルビーは、やがて街の人たちに声をかけられなくなってしまう。

 測距アプリを見ても道が分からず、街の住民たちには嫌そうな顔を向けられ、土地すらない。


 ルビーの新たな門出は、開始想像暗礁に乗り上げてしまった。


「落ち着きなさい。まだ諦めるには早いわ」


 太陽も天頂を回ってしばらくたつ。勢いで宿舎を引き払ってきてしまったため、今夜寝るところも無い。どちらにせよ、進むしか無い。そう考えたルビーが気合を入れ直した、その時。


「お前。何してんだ?」


 涼やかな声が、路地の入口から聞こえてくる。ぱっとルビーが振り向いた先に居たのは、茶色の紙袋を抱えて首を傾げる、白髪の男性の姿だった。

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