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侵食されている

以前、私の書いている小説の主人公の十六歳女子が、突然、敵っぽい相手に対し、「平伏(ひれふ)せばいいわ」などと言い始め、私が書いてはいるんだけれど、どうしてこの人急にこんな強気な事を言い始めたんだろうと、不思議に思っていたのだ。


おまえ自身が書いてるのに何言ってんの?思うかもしれないけれど、本当に不思議に思ったのだ。


以前も書いたけれど、私は放牧主義なので、登場人物達のセリフも自主性に任せてある。

登場人物の嗜好や考え方をある程度作っておいて、それぞれが言いそうなセリフを勝手に喋らせているのだ。

だから、登場人物のセリフを書きながら、何言ってんだろうこの人、と思う事もよくある。

それでストーリーや方向性が変わっても、まあいいかなと思いながら進めていくのだ。


でも、いくら登場人物が勝手に喋るとはいえ、私の中にない言葉は、登場人物達だって喋れないのだ。

平伏(ひれふ)せ、というセリフは、主人公が言いそうなセリフではあったのだけれど、その頃の私の中には、あまりピンとこない言葉だった。

時代小説にハマってた頃なら、ピンときたかもしれないけれど、最近読んでないし、その頃読んでたのはカササギ殺人事件でイギリスの小説だから平伏せなんて言うはずもない。

でもあのセリフを書く時、スルッと出てきた自然な感じが、なんだろう?何処からきたんだろうこのセリフ、と私を戸惑わせたのだ。

でも、この主人公には馴染んでいる気がして、そのまま投稿したのだ。


それで、その後も、どうして彼女は平伏せなんて言ったんだろうと、思っていたんだけど、その謎が最近解けた。

私がストーリーを考えている時の環境の問題だったのだ。


私は小説のストーリーを、通勤中に、めちゃめちゃ片手間方式で考えている。


メインの行動は職場に向かう事で、その最中に聴くともなく音楽を聴いていて、更にその最中に、なんとなく頭の隅の方でストーリーを流していく感じだ。

考えるというより、昔聞いた話を思い出しているような感覚で、出来ていくストーリーを、へーそうなんだー、と思いながら聞いている感じなのだ。

話の方向性を考えたり、辻褄を合わせたりするのは、あらかじめ集中して考えておいて、後は材料を放り込んだ頭の中で思い出のように流れていくストーリーを辿っている感じだ。


私は、このぐらいの気楽な感じの方が、ストーリーを考えやすいみたいなのだ。


それで問題は、その時に聞いている音楽なのだ。

元々、洋楽好きなので、聞いているのも洋楽が多い。

日本語の曲だと、頭が無意識に歌詞を追ってしまうので、考え事をしたい時や、ストーリーを考える時には向かないのだ。

英語の曲なら、母国語じゃないし、頭が歌詞を追うこともないので、考え事をする時に邪魔にならなくて便利なのだ。


でも、去年ぐらいから、リズムのいい日本語のラップなら、頭が日本語もリズムとして認識するみたいで、そこまで歌詞を追わないと気がついて、ストーリーを考える時にもよく聴いていたのだ。


で、その頃よく聴いてた日本語ラップ、まあ梅田サイファーなんだけど、その歌詞の中で、「ひれ伏しな」って歌詞があるのに、最近気がついた。

気がついた時には、これだ!と思った。


これがずっと頭の中に残ってて、いつの間にか侵食していって、スルッと主人公のセリフとして出てきたのだ。なるほど。

すっごい納得した。


今も、梅田サイファーとかCreepy Nutsを通勤中によく聴いているので、そのうちまた侵食してくるかもしれない。


登場人物達が、突然景気のいい事を言い始めたら、あ、と思ってもらって間違いない。

多分、何かに侵食されている。



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